創業融資における資金繰り計画作成の考え方

資金繰り計画の考え方

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創業融資の計画書。できるだけ売上は大きくね♪

なんて間違ってますから。残念っ!

ということで、「創業融資における資金繰り計画作成の考え方」についてお話します。

銀行が知りたいのは「ほんとうに返してもらえるか?」

開業・創業時の融資を受けるときには、「資金繰り計画」が必要になります。こんなカンジのものです ↓

  ×年1月 ×年2月 ×年3月 ×年4月 ×年5月 ×年6月 ×年7月
売上 1,000 1,000 1,500 1,500 2,000 2,000 2,500
経費 -1,500 -1,500 -1,750 -1,750 -2,000 -2,000 -2,250
設備投資 -8,000            
自己資金 4,500            
新規借入 7,560            
返済   -90 -90 -90 -90 -90 -90
資金増減 3,060 -590 -340 -340 -90 -90 160
月初資金 0 3,560 2,970 2,630 2,290 2,200 2,110
月末資金 3,560 2,970 2,630 2,290 2,200 2,110 2,270

この「資金繰り計画」で表現すべきこと、作成にあたり必要な考え方はなにか?ということについてお話します。

冒頭、大事なことをひとつだけ。

金融機関は、
「(会社が)どうなりたいか?」を見たいわけではありません。
「いくら儲かるか?」を知りたいわけでもありません。

知りたいことはただひとつ。貸したおカネを返してもらえそうかどうか、それだけです。金融機関は「必達」の計画書が欲しいのです。

この「必達」の計画書作成にあたり、具体的には次の3つです。

  • 売上高が必要以上に大きすぎない
  • 創業後半年で資金繰りが黒字に転換する
  • 黒字までのあいだも、資金にある程度の余裕がある

 

売上高が必要以上に大きすぎない

バラ色の計画を見た金融機関は、「絵に描いた餅ではないか」と警戒します。

必要な売上高=資金繰り分岐点売上高

はじめに、「必要な売上高」についてを説明しておきます。

ここで言う「必要な売上高」とは、「資金繰り上トントンになる売上高」のことです。具体例で考えてみましょう。

《 例 》毎月の固定費支払 1,120千円、毎月の借入金返済 70千円、原価率 30%である事業の「必要な売上高」を求めよ。

  • (1,120千円+70千円)÷(1-30%)= 1,700千円

よって、毎月1,700千円の売上があれば、この事業は資金繰りがトントンになります。「月1,700千円」が、この事業の「必要な売上高」です。

売上高は低いほうが銀行は安心する

銀行など金融機関に提出する計画では、「売上高が大きすぎない」ことが大切になります。

なぜなら。さきほどの「必要な売上高」を大きく超えるような「売上高」の計画を見て、金融機関はこんなことを思うでしょう。

  • こんなに大きな売上高を、ほんとうに達成できるんだろうか?
  • ほんとうに達成できるとしたら、借入は必要ないのでは?

大きすぎる売上高を見て、「貸しても大丈夫?」「貸す必要ある?」ということを疑いはじめるわけです。

「売上」と言うと、大きいほうがいいように感じるかもしれませんが。必ずしもそうではない、ということです。

 

創業後半年で資金繰りが黒字に転換する

「必要な売上高」がわかったら。それをもとに、創業後の売上高の推移を考えます。

創業してしばらくは「おカネは減る」もの

通常、事業が立ち上がるまでには時間がかかります。創業間もなくは、売上も低調に推移するのが一般的です。この期間の売上高を算式で示すなら、

創業間もなくの売上高 < 必要な売上高

この期間は、資金繰り上はマイナス。毎月の売上から、原価の支払い、固定費の支払い、借入金の返済をするとマイナスになる。

おカネが減っていく期間にあたります。おカネが心もとない。ここに「おカネを借りる必要性」があるわけです。

創業直後から事業が立ち上がるような計画書だと、「おカネ借りなくてもいいよね」というものが出来上がってしまいます。注意しましょう。

では、どのくらいの間、おカネは減っていくものなのか。

創業後半年が黒字転換の目安

「創業半年」くらいを、事業が立ち上がる目安にするとよいでしょう。事業が立ち上がるとは、資金繰り上の黒字転換のことであり。これを算式で示すなら、

売上高 > 必要な売上高

これにより。毎月の売上から、原価の支払い、固定費の支払い、借入金の返済をしてもなお、毎月々おカネが残る。という状態に変わります。

計画書では、創業後半年あたりまではおカネが減り続け。その後事業が立ち上り、おカネが少しづつ増えていく様子を描くことになります。

 

黒字までのあいだも、資金にある程度の余裕がある

創業後半年ほどは、おカネは減り続ける期間にあたります。それでも、あまりに汲々としていたのでは資金繰りに詰まってしまいます。

月商の1か月分くらいのおカネは想定する

資金繰り計画書の中では、「月単位」でおカネの残高を表現します。が、現実には日々おカネは増減しています。

ですから、計画書上のおカネの残高はギリギリ「プラス」であっても、現実には日々の資金繰りに窮することはあるわけです。計画書上の資金残高を低くし過ぎないように注意しましょう。

事業の内容にもよりますが、最低でも「月商の1か月分」くらいの残高は欲しいところです。

 

まとめ

創業融資の資金繰り計画を作成する際の考え方についてみてきました。

「必要な売上高を逆算」したり、「売上は大きすぎない」など、テクニック的な感じを受けたかもしれませんが。なにも、「志」や「高い目標」を否定しようというものではありません。

もちろん目標は目標であってOK、あってしかるべき。ですが、融資計画書は「目的」が異なります。

冒頭で触れたとおり、金融機関が見たいのは、「(会社が)どうなりたいか?」ではありません。「いくら儲かるか?」を知りたいわけではないのです。

借りたおカネを返済できることを示すための、「必達」の計画書作成の考え方を身につけましょう。

 

 

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  きょうの執筆後記
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ABOUTこの記事をかいた人

税理士レス経理エバンジェリスト、フリーランス型税理士。1975年生まれ。 フリーランスの経理・会社の銀行融資支援を得意にする、横浜市の諸留誕税理士事務所・所長。2016年4月、18年間の「勤め人」を脱して独立開業。以来、ブログを毎日更新中!