抵当権と根抵当権の違いってなに?どっちがイイの?

抵当権

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抵当権と根抵当権ってなにが違うの?

なんとなくわかるような、わからないような・・・そんな抵当権と根抵当権のことについてお話しします。

そもそも抵当権とはどういうものか?抵当権と根抵当権の違いとはなにか?などなど。

融資と担保と抵当権のサンカク関係

まずは「抵当権」ってなんだろう?ということから、見ていくことにしましょう。サクッといきます。

地獄の沙汰も担保しだい

融資を受けようとする際、銀行にこんなことを言われることがあります。

「今回のご融資、担保無しでは難しいですねぇ」

これをあけっぴろげに言い換えると、

「返済能力がアヤシイですなぁ・・・借金のカタとして何かいただけませんかねぇ」

ちょっと悪意を感じる言い換えであるのは誇張にしても。意図としては合っているはずです。

つまり銀行は、借り手の返済能力の不安を補うために、万一の場合の手段として。「担保」を要求するわけです。

2つの担保と抵当権

銀行が言う「担保」には、厳密には2つの意味があります。

  • 人的担保
  • 物的担保

この2つです。

人的担保とは、カンタンに言えば「保証人」のことです。借り手本人が約束通り返済できない場合、代わりに責任を負うのが保証人。

「保証人にだけはなるな」は家訓になるほど恐ろしいものであり。いずれ詳しく説明することにして。

今回お話ししたいのはもう一つ、物的担保のほう。土地や建物など「物」を借金のカタにとる。このときの土地や建物が物的担保です。

物を借金のカタにとる、担保にすることを、正式には「抵当権を設定する」と言います。

抵当権設定の流れ

たとえば、自宅の土地・建物という不動産を物的担保として抵当権を設定する場合。具体的には次の2つの手続きが必要になります。

  • 抵当権設定契約を結ぶ
  • 抵当権を登記する

「抵当権設定契約」というのは、銀行と借り手との間で「抵当権を設定しますよ」という約束をすること。これを契約書として書面で取り交わします。

この抵当権設定契約にもとづいて、自宅不動産の登記簿謄本に抵当権を登記します。

これにより銀行は、万一の場合には「あなたの自宅を競売で処分し、その代金でおカネを返してもらいますよ」という体制が整います。

抵当権が設定された担保を処分し、返済に充てることを「抵当権を実行する」と言います。

 

抵当権とは?根抵当権とは?をやさしく解説

抵当権はさらに、普通抵当権と根抵当権にわかれます。

一般に「抵当権」と言えば、それは普通抵当権のことであり。それとは別に「根抵当権」というものが存在します。

抵当権と根抵当権の違い

それでは、2つの抵当権の違いについて。ここはひとつ、わかりやすさを重視して。「くだけた具体例」で説明を試みます。

《抵当権の具体例》

地下アイドル命のAくんは、プレミア価格となったライブチケットが欲しくてしかたありません。

ところが軍資金は枯渇し、やむにやまれず友人のMくんにアタマを下げることにしました。

Aくん 「というわけで、おカネを貸してもらえないかな?5万円なんだけど」
Mくん 「うーむ。返済できるアテはあるの?」
Aくん 「(ちっ、やっぱりそう言うか)もちろん、来月のお給料で」
Mくん 「だいじょうぶかなぁ・・・」
Aくん 「(しかたない、アレを出すか)じゃあ、コレを君に預けるよ」

そう言ってMくんが渡されたモノは、伝説的地下アイドルのDVD!といっても、Mクンにはその価値が理解できず。

Aくんに促されるままにヤフオクで検索してみると・・・なんと軽く10万円を超える驚愕の逸品。

時価変動のリスクはあるものの。友人の頼みということで納得したMくんは、DVDを借金のカタに5万円を貸すことにしました。

慎重なMくんは、念には念を押し。怪訝な顔をするAくんには構わず、一連の約束事を契約書として取り交わしました。

そして半月後。

Aくん 「Mくん、ありがとう。無事ライブにも行けたよ。はい、約束のおカネ」
Mくん 「それは良かった(ライブはどうでもいいけど、おカネが無事で)。DVD返すね」
Aくん 「ところでさ。どうしても欲しいフィギュアがあるんだよね。限定モノでさ、どうしても欲しいんだ」
Mくん 「ということは・・・?」
Aくん 「また貸して欲しいんだよね。今回は6万円。エヘ」
Mくん 「(エヘじゃないよ)・・・・・・」

再度、DVDの時価を確認したMくんは「今回限りだよ」ということで、あらためて契約書をつくりおカネを貸してあげました。

ということで、ムダにめっちゃ長い具体例でしたが。このときの「伝説的地下アイドルのDVD」が、いわば(普通)抵当権を設定された物的担保です。

《根抵当権の具体例》

そして今度は、根抵当権の具体例です。

Aくん 「この間はありがとね。おかげで無事フィギュアが買えたよ」
Mくん 「そう、それは良かった(こんどもおカネが戻ってきたのがね)」
Aくん 「ところでさ。いろいろ欲しいものがあるんだよね。次から次にいろいろ出てくるんだ」
Mくん 「・・・(どんだけ~)」
Aくん 「そこでさ、例のDVDは君に預ける。だから10万円まではいつでも借りたり返したりを自由にできないかな」
Mくん 「!!!」

Mくんは悩んだ挙句、Aくんの要望を呑むことにしました。「コイツは将来、カリスマオタクとして名を馳せるかもしれない。そんときオレは恩人だ」という打算とともに。

すっかり慣れた手つきで契約書を作成したMくんは、Aくんがひとまず望む3万円を貸し出したのでした。

って、どうでもいい内容の具体例が続いていますが。このときの「伝説的地下アイドルのDVD」が、いわば根抵当権を設定された物的担保です。

《結局、抵当権と根抵当権の違いとは?》

さぁ、さきほどの(普通)抵当権との違いはわかりましたか?それぞれのポイントは次のとおりです。

  • (普通)抵当権は、そのつど金額などの条件を決め直して貸し出していた。DVDも返済が終わるつど、返していた
  • 根抵当権は、さいしょに決めた上限金額の範囲内であれば貸し出し自由とした。DVDはMくんが預かりっぱなし

これらを言い換えると。

(普通)抵当権の設定対象は、「特定された」債権です。具体例でいえば、ライブの際の5万円、フィギュアの際の6万円という債権それぞれです。

そして、それぞれの債権ごとに、貸し出しのつど抵当権を設定し(DVDを預ける)、返済のつど抵当権を抹消していました(DVDを返す)。

いっぽう、根抵当権は「特定されない」債権。今後繰り返されるであろう不特定多数の債権に対する抵当権が「根抵当権」です。

DVDは預けっぱなしであり、いちどDVDに設定された根抵当権はずっとそのまま。根抵当権の約束自体を解除しない限り、返済があっても根抵当権は消滅しません。

ちなみに、根抵当権を設定する際の上限金額(具体例では10万円)を「極度額」と言います。覚えておきましょう。

 

抵当権と根抵当権、どっちがイイのか?

抵当権と根抵当権の違いを理解したうえで、「どちらがいいのか?」ということについてお話しします。

「手間がない」というのなら根抵当権

さきほど具体例で見たとおり、根抵当権は「一度設定すれば」という特徴があります。

これは「契約を結ぶ」ということを、ひとつの手間と捉えたときにはメリットになりうるでしょう。

世の中はAくんとMくんの関係ほどフランクではありません。

契約のつど、シビアな銀行の目にさらされ、事細かな契約を結びなおすのはストレスだしメンドーだ。という考え方もあるでしょう。

その点、根抵当権であれば、さいしょの一回の手続きで済む。ということです。

「コストもイヤ」というのならやっぱり根抵当権

さらに。抵当権の設定・抹消にはおカネがかかります。抵当権登記費用です。

まず、登録免許税。抵当権設定時には、原則的に債権額の0.4%。3,000万円の融資であれば、12万円とかなりの負担感。

抹消時はそれほどではありませんが、不動産1件あたり1,000円かかります。

さらに、登記手続きを司法書士に依頼するとなれば。別途、そのつど司法書士報酬への支払いも必要です。

これらの抵当権登記費用を、新規融資のたびに支払うのはイヤだ。というのは、根抵当権を選択する動機になりえるでしょう。

「担保価値を十分に活かす」なら抵当権の選択肢も

ところで、抵当権には「順位」を設定することができます。1番、2番、3番・・・という順位。

いざ、抵当権を実行する際には、この優先順位にもとづいて弁済されることになります。

ひとつの不動産に複数の抵当権を設定することができる、ということです。

ここで根抵当権の話に戻ると。

根抵当権が1番に付いている場合。2番抵当、3番抵当での融資というのはちょっと難しいというハナシが出てきます。

根抵当権というのは、返済が進んでも極度額が減るわけではないからです。いつまでも1番抵当の権利者がガッツリと抱え込んでいるわけです。

つまり、1番抵当の権利者へ返済が一度済んだとしても、根抵当権のもと再び借入をすれば。2番手、3番手にはなかなか弁済回ってこない、ということ。

これでは1番権利者以外の銀行が、担保を前提とした好条件の融資機会を提案する動機を持つことはないでしょう。

ゆえに銀行は「根抵当権」を取りたがります。そして、なかなか抹消には応じません。他の銀行に、大事な「借金のカタ」を譲ることがないように。

借り手としては他銀行からの融資機会を失うばかりか、いつまでも根抵当権がついているというのも、気持ちのうえでスッキリしないことでしょう。

結論として、抵当権と根抵当権のいずれにもメリット・デメリットの両方があるということです。

 

まとめ

抵当権とは何か。そして、普通抵当権と根抵当権の違いについてをお話してきました。

2つの抵当権のうちどちらが良いかは、不動産や借入の状況、考え方によることになります。

一概にどちらがいい、というハナシではないことを理解しておきましょう。

 

 

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  きょうの執筆後記
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ABOUTこの記事をかいた人

税理士レス経理エバンジェリスト、フリーランス型税理士。1975年生まれ。 フリーランスの経理・会社の銀行融資支援を得意にする、横浜市の諸留誕税理士事務所・所長。2016年4月、18年間の「勤め人」を脱して独立開業。以来、ブログを毎日更新中!