あの銀行の支店長とは「付き合い」があるからさ。ダイジョーブ、借りられるよ。
それ、ほんとうに大丈夫? 銀行融資は会社存続の「命綱」にもなりうるもの。勘違いは命取りです。
ということで、「借りられる」に関するよくある勘違いをまとめてみました。
ウワサの真偽を確かめよう!銀行融資に関するよくある5つの勘違い
そう思っている、そう聞いたことがある。もっともらしい話の中にも「勘違い」はあるかもしれません。
巷で聞く、銀行融資に関するよくある勘違い。次の5つについてお話をしていきます。
- 付き合いがあれば、コネがあれば借りられる
- 計画がしっかりしていれば借りられる
- 赤字でなければ借りられる
- 今でなくとも借りられる
- 自己資金がなくても借りられる
付き合いがあれば、コネがあれば借りられる
付き合いとコネ「だけ」ではおカネを借りることはできません。
付き合いもコネも、無いよりはあったほうがイイ。その程度だと考えておきましょう。
もしも、付き合いやコネで借りられたようにみえても。銀行は、「見るべきところ」はきちんと見たうえで貸しているのです。
銀行が「見るべきところ」を知っておく
そんなわけですから。「○○銀行を紹介しますよ、あそことは懇意にしてますから」というような言葉に期待しすぎてはいけません。
話の入り口としては、いくぶんスムーズにはなりますが。それ以上でも以下でもない。
そのあと借りられるか、借りられないかは、銀行が「見るべきところ」をクリアできるか否かにかかっています。
紹介者もそのあたりのことに触れずに、「ただ紹介する」というのでは。「やや不親切、やや無責任」のそしりは免れないとも言えます。
「見るべきところ」とは何なのか?
ならば、銀行が「見るべきところ」とやらを教えてくれ。という話になるでしょう。このあとの項目でお話をしていきます。
その前にカンタンにお伝えしておくのであれば、それは次のようなことです。
- 借りたおカネを返せるだけの利益は出ているのか?
- 万一(返済不能)を考えた際、金目のモノは蓄えているのか?
- すでに借り過ぎ、なんてことはないのか?
銀行では、ここまで直接的な表現はしないでしょうが。言わずとも見ている、というのが以上の3点です。
計画がしっかりしていれば借りられる
「何かしらの計画」があって、おカネを借りたいという場合。たとえば、新規事業、新規出店、設備投資などなど。
計画書はバッチリだ、数字の根拠にも自信がある!
ほんとうにそうだとしても。計画書を見るより前に「お断り」、そんなこともあるのが銀行融資です。
銀行が先に見たいのは、計画ではありません。決算書です。
その実績では、その計画を信用できない
いかなる自信があろうと、いかなる裏付けがあろうと。計画は「未知なるもの」でしかありません。未来は誰にも分らないのです。
いっぽうで、決算書。これには、過去に関する事実が記されています(粉飾などのウソ偽りがなければ)。実績です。
あなたは何をやっても失敗ばかりの「他人」に、おカネが貸せますか? 「こんどこそは」という言葉を信じられますか?
少々極端な言い方をしてしまいましたが、趣旨はそういうことです。
もしも決算書の実績が振るわないのであれば、コワくて貸せない。計画書を見るまでもない。
創業・開業時には、当然「決算書」はありません。このときばかりは「計画書」しかありません。ゆえに、未知である「計画書」だけでも借りることができる創業融資は、一度きりの貴重なチャンスです。
銀行は決算書で何を見ているのか?
では、銀行は決算書をどう見ているのか。それは、さきほど触れたとおりです。再掲します。
- 借りたおカネを返せるだけの利益は出ているのか?
- 万一(返済不能)を考えた際、金目のモノは蓄えているのか?
- すでに借り過ぎ、なんてことはないのか?
これらについて。具体的に「銀行が決算書のどの部分をどう読むか」を知っていることは、極めて重要になります。
銀行からおカネが借りられそうか、いくらくらいなら借りられそうか、が自らわかるようになるからです。結果、どうすれば借りられそうかが見えてきます。
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赤字でなければ借りられる
銀行からおカネを借りるにあたって、決算書を見られることはわかっている。
その決算書が「赤字」であれば見栄えが悪い。おカネは貸してもらえないかも。ということは、なんとなくわかるし、そうも言われています。
実際、赤字よりも黒字のほうがイイ。1円でも黒字のほうが「銀行からの格付け」が良かったりもします。
けれども。すこしばかりの「黒字」というのでは、赤字とそうは変わらない。とも言えるのです。
わずかな「黒字」が好きな経営者
「少し黒字」が好きな社長さんは、世の中に多いものです。なぜ、「少し黒字」がイイのか?
赤字はイヤだ。でも、あまり利益がデカいと税金が高くてしかたない。という理由です。
なるほどその気持ちはよくわかりますが。銀行融資という視点では、その考え方はおすすめはできません。
税金を惜しむから融資が難しくなる
なぜおすすめできないのか? 再三の繰り返しになりますが、
- 借りたおカネを返せるだけの利益は出ているのか?
これを銀行は見ているからです。ここでいう「利益」が大きければ大きいほど、借入はしやすくなる、額も望めるようになります。
利益があるから、そのおカネで返済ができる。利益が大きいほど、返済力がある。銀行はそう見ているのです。
ですから。ちょっと黒字というくらいの利益では、そうはたくさん貸せないなぁ。「少し黒字」が好きな社長さんのことを、銀行はそう見ているのです。
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今でなくても借りられる
銀行が「見るべきところ」、何を見ているかという話をしてきました。きっと、もうお気づきのことでしょう。
おカネは好きなときに借りられるわけではありません。今でなくても借りられる、かどうかはわかりません。
銀行からおカネを借りるのには、タイミングがあるのです。
おカネが無くなってから借りる、なんてムリ
銀行からおカネを借りられるタイミングとは。銀行が「見るべきところ」をクリアできているときです。思い出してください、次の3つです。
- 借りたおカネを返せるだけの利益は出ているのか?
- 万一(返済不能)を考えた際、金目のモノは蓄えているのか?
- すでに借り過ぎ、なんてことはないのか?
しつこいくらいに繰り返していますが、とても大切な3点です。
これを見てわかるのは。「ほんとうにおカネが無くなってから」では、おカネを貸してもらうのはムリだということです。
おカネが無くなる背景に「利益が出ていない」ことが挙げられます。利益が出ないと、手持ちの財産を食いつぶしていくことになります。
結果、銀行が期待している「金目のモノ」は無くなっていきます。銀行としては、返すアテもない相手におカネは貸せません。
おカネが無くなりそうを察知する
これに対する方策は、たったひとつです。おカネがほんとうになくなる前に、銀行からおカネを借りることです。
現在の状況から、将来のおカネの流れを予測して、「おカネが無くなりそう」ということを早く察知することです。
決算書の内容が決定的に悪くなる前であれば、銀行融資の道はまだあります。
決して少なくない経営者の方が、決算書の内容が決定的に悪くなってから動きます。残念ながら、それは大きな勘違いです。
具体的には、よく言われる「早期の月次決算、予測資金繰り」です。月次決算なんて、となおざりにできない理由はここにあります。
自己資金が無くても借りられる
さいごは、創業時・開業時の融資についてです。
創業や開業のときにはおカネがない、おカネが足りない。だから銀行融資、と考えることは少なくありません。
けれども。自己資金ゼロで全額借入、というわけにはいきません。自己資金が無くても借りられる、というのは勘違いです。
自己資金=覚悟のほど
公的な機関である日本政策金融公庫の創業融資や、自治体の制度融資など。創業期の融資を支えるしくみはありますが。
自己資金ゼロ、というのはまずムリだと考えてください。
制度の内容上、「可能性がまったくない」とまでは言いませんが。実際には、ほとんどムリ。そういうレベルです。
創業・開業をするにあたって、思い付きなどではなく、きちんと準備を重ねてきたのかな。まじめな人なのかな。
自己資金の有無、自己資金の金額はそのあたりの指標にもなっています。創業者の覚悟のほどを見られているのです。
借りられるのは、自己資金の2~3倍程度
では、どのくらいの自己資金があればよいのか?
ケースバイケースではありますが。一般に、借入できるのは「自己資金の2~3倍程度」だと考えましょう。
融資制度の内容などを見ていると、もっとたくさん借りられるように書いてあります。しかし、それはあくまで「制度上の最高限度額」です。
実際にその限度額で借りることができるのは「超レアケース」。そういう理解でいてください。
また、自己資金と直接関係はありませんが。借入希望額が1,000万円を超えると、「多いなぁ」というのが金融機関の感覚です。
前職での経験などが活きる場合にはよいのですが、まったくの未経験事業となれば融資は難しくなります。ご参考まで。
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まとめ
銀行融資に関するよくある勘違いの話をしてきました。
人から聞く話や、よくある話には、間違いや落とし穴がある場合があります。
とくに銀行融資については、そのような話が少なくありません。
誤りのない「借りられる」かどうかの判断をできるように、ただしい情報に耳を傾けましょう。
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きょうの執筆後記
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