融資を受けたいけれど、銀行にはどう言えばいいんだろう?
おカネを借りようというときに。銀行に何を伝えるのがよいのか、どのように伝えるのがよいのか。ということについてお話しします。
銀行に伝えるべき5つのコト
事業をしていくうえで、おカネは欠かせないモノであり。その算段として「融資」もまた欠かせないモノのひとつです。
にもかかわらず。銀行とは何を話してよいかわからない、という声も多く聞かれます。
そこで、融資を受けたいというときに、銀行に伝えるべき、銀行と話をすべきコトについてまとめてみます。それは、次の5つです。
- 業界のコト
- 自社のコト
- 決算書のコト
- これからのコト
- お願いをしたいコト
このあと、それぞれについてお話をしていきます。
【業界のコト】ご近所を語る、何者かを語る
まずは、自社が属する業界のことを話しましょう。自社がどのような仕事をしているのかを伝えます。
いろいろな会社とお付き合いがある銀行ではありますが。融資担当者全員が、すべての業界・業種について詳しくを知っているわけではありません。
このときのポイントは、「ザックリすぎない」こと。たとえば、「洋服を売っています」というのはザックリ過ぎる伝え方の典型です。
ひとことで「洋服を売る」と言っても。仕入れてきたものを売るのと、企画から製造・販売まで手掛けるのとではまるで仕事がちがいます。
販売方法も実店舗で売るのか、ネットで売るのか。売る先は、不特定多数の消費者か、特定の小売店なのか。などなど。洋服を売る、と言ってもいろいろあるはずです。
ですから、業界を広くとらえ過ぎないこと。自社の周囲にある「ご近所」のことを話しましょう。
ご近所のことを的確に語ることが、ひいては「あなた(会社)が何者か」を的確に伝えることにつながります。
おカネを貸す側にとって、「相手が何者か」は大きな関心事だというのは想像できますよね。よくわからない相手におカネを貸すのは不安です。
そんな銀行の関心や不安に応えることからはじめましょう。
【自社のコト】眼に見えぬスタンスや思いを語る
業界のコトを伝えたところで。こんどは、自分のコトを伝えましょう。ここでのポイントは、「対 業界」という比較の視点で自社についてを語ることです。
たとえば、業界の景況感に対する自社の業況。業界の不況同様、自社も業況が悪いのであれば。競合が厳しい世界であることを伝えることになります。
いっぽうで業界の不況に反し、自社の業況が良いのであれば。独自の技術や販路など、自社の強みを語ることができるでしょう。
また、業界の傾向や流行に対して、自社の戦略はどうなのかを伝える。というのも「対 業界」視点のひとつです。追い風に乗るのか、それとも、独自の道を探して歩むのか。
いずれにしても、銀行に「こんな人(会社)には、おカネを貸したいな」「貸してもいいな」と思わせることが大切です。
どこにでもあるモノ、どこにでもあるサービスを売るんです。っていうような相手に、「おカネを貸したい」という積極的な動機が生まれないであろうことはわかりますよね。
もしかして。ウチにはそんなに特殊なモノやサービスは無い、なんて言いますか? そんなこと言わない言わない。
たとえ隣のお店とまったく同じモノを売るのだとしても。どうしてそれを売ろうとするのか、どのように売ろうとするのかは、きっと違うはずです。
そんな「どうして」や「どのように」は、自社の「スタンス」であり、「思い」です。眼では見えないスタンスや思いだからこそ、しっかり銀行に伝えましょう。
【決算書のコト】銀行はわかっているようでわかってない
銀行が見たくて見たくてしかたないもののひとつに「決算書」があります。
スタンスや思いとなると、数字で測るのは困難ですが。決算書に記された情報であれば、「数字」という世界共通のモノサシで測ることができるから。
かくして、決算書は銀行の手に渡ります。以上、おしまい。なんてことではいけません。相手は銀行なんだから、見りゃわかるでしょ。ということでもないのです。
たとえば。なんだか在庫が多い、というような場合。黙っていれば、単なる不良資産と見られても文句は言えません。もちろん、不良資産は融資可否に影響します。
社長の役員報酬が少なすぎるなぁ、というような場合。黙っていれば、単なる過度な益出し(利益操作)と見られるかもしれません。ほんとうは違うのに。
ほかにもさまざまな「誤解」が起こりえます。きちんと話をしておけば、なんとかなるはずなのに・・・ということがあるのです。
だから。経営者は、決算書のコトを知らなければいけません。銀行が決算書をどう見ているかを知らなければいけません。
そう考えると。決算書をただただ渡す、ということはありえません。銀行は決算書のコトをわかっているようでわかってない、と考えてください。
【これからのコト】行き過ぎた悲観論はNG
業界のコトを話した。自社のコトも話をした。決算書のことも伝えた。次に伝えるべきは、「だからこれからどうするか」です。これからのコトを伝えましょう。
よく聞くビジネスワードで表現すると。「課題」と「問題点」、そして「解決策」。この3点が該当します。
このときのポイントは、「悲観的になり過ぎない」ことです。実際にダメなことをダメだと認識する目は大切ですが、そのことばかりを話し過ぎてもいけません。
ウチはほんとにダメなんです~、と言うような会社におカネを貸したいとは思いませんよね。
業界や自社に問題はあるけれど、という部分はできるだけサラッと。「だからこれから〇〇します!」というところにチカラを入れてお話しください。
もう一つのポイントは、気持ちばかりを語り過ぎないこと。気ばかり大きなヒトだなぁ、と思われるのも逆効果です。
対策としては、数字を交えて話すこと。さらに、その数字を実現するための行動についても併せて話すこと。
たとえば。売上アップを語るのであれば、「既存顧客への提案営業を増やして、10%の売上アップを狙う」とか。経費削減を語るのであれば、「業務効率化によりパートタイマーの労働時間を20%削減する」とか。
ヒトは気持ちに数字と行動を紐づけて考えようとすると、現実的かつ冷静になるものです。冷静になり過ぎて、気弱にならないことにもご注意を。バランスが大切です。
【お願いをしたいコト】だからなんなの?と言われないために
さいごに、銀行へのお願い事をはっきりと伝えましょう。これまでの話を踏まえ、「△△というわけで、〇〇万円のおカネを貸して欲しい」ということです。
売上増加に伴う運転資金として〇〇万円貸して欲しい、とか。新規事業に伴う設備資金として〇〇万円貸して欲しい、とか。
ここでのポイントは、根拠資料もしっかり添えるということ。具体的には、「予測損益」や「予測資金繰り」の書類ということになります。
運転資金〇〇万円の根拠はどこにあるのか、〇〇万円を今後返済していくことは可能なのか。そのあたりを数字で書類にしてお話ししましょう。
銀行からすれば、なんで〇〇万円必要なの? ほんとうに貸して大丈夫なのかな? と不安なわけで。説明が必要です。
また、融資にあたっては審査が必要であり、その際に「書類としての参考資料」は必須です。
書類をつくれない会社に融資を依頼された融資担当者が、「やれやれ・・・」というキモチになることは想像に難くありません。
書類づくりを惜しむばかりに、銀行の「貸す気」を削いでしまった、などということがないように。
まとめ
融資を受けたいときに、銀行に伝えるべき5つのコトについてお話をしてきました。
いずれも聞かれてから話すのでは「準備不足」「伝え漏れ」が多いところです。
あらかじめ5つのコトについては整理をしたうえで、銀行との面談の席に着くのがよいでしょう。
あとで「しまった~」と後悔しても後悔しきれないのが銀行融資・資金調達のコワさです。
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きょうの執筆後記
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