事業計画書に載せる『売上』を予測してはいけませぬ【銀行融資】

売上予測

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このぐらいの金額は売りたいし、売れるはずだ。

という売上予測。銀行融資を受ける際に必要な「事業計画書」のコトであればやめておきましょう。

事業計画書に載せる「売上」を予測してはいけません、というお話をしていきます。

売上を予測するからアヤしく見える

銀行融資の申請に必要とされる事業計画書。そこに載せる「売上」を予測してはいませんか?

やめておきましょう。なぜなら、予測はアヤしく見えてしまうものだから。

なぜあなたの予測はいつも華やかになるのか?

売上の予測がアヤしく見えてしまう理由。それは、その予測が華やかに過ぎるからです。

絶対に、とまでは言いませんが。多くの場合、売上の予測は華やかなものとなります。

たとえば、開業時に作成する事業計画書を考えてみましょう。

開業後の早い段階から利益をあげ、手元のおカネも増えていく。そんな事業計画書の売上を「華やかだ」と言います。このような事業計画書はとても多いのです。

ではどうして、売上の予測は華やかになってしまうのか?

それは、「いくら売りたいか」を考えているからです。〇〇円くらい売りたい、〇〇円くらい売れるといいな。

当たるも八卦当たらぬも八卦の希望的観測

いくら売りたいかという予測も、非の打ち所がないほどの根拠によって固められている。というのであればよいでしょう。

ところが、じゅうぶんな根拠を集めるというのもカンタンなことではありません。

たとえば市場調査など、ほんとうに参考になるデータを集めるのには時間とおカネが必要です。時間はともかく、おカネをかけるのには躊躇することでしょう。

調査に使うおカネがあったら、別なところに使いたい・・・というのが、融資を考えている者の心理です。

もっとも、時間とおカネをかけたからといって。常に完璧な根拠づくりができる、というわけでもありません。資本力に長けた大企業ですら、新規事業に失敗することはあるのですから。

そもそも、完璧な根拠づくりは「無理ゲー」なのです。できることは相応の時間とおカネをかけて、完璧に「近づく」ことだけです。

かくして、資本力に乏しい多くのケースで。根拠にも乏しい、「いくら売りたいか」という希望的観測にもとづく売上予測がはじまります。

「いくら売りたいか」というハナシになったとき、ヒトは華やかな予測を描きます。それはそうですよね? 未来は明るくありたいものです。理屈ではありません。

華やかであるほどアヤしく見える

明るい未来を描いた人間とは裏腹に、それを見た銀行の顔は曇ります。銀行は、次のように考えるでしょう ↓

  • こんな大きい売上を、ほんとうに、実現できるのだろうか?
  • ほんとうだとしたら、おカネを貸す必要もないんじゃなかろうか?

銀行はいろいろな会社、いろいろな事業を見ています。だから、「この会社なら、この事業なら、だいたいこのくらいの売上かな」という感覚を持っています。

そこを外してくるような事業計画書を怪しむのは当然のことです。外し方が大きければ大きいほど、その怪しむ姿勢は強くなる。

いっぽうで、売上を予測した当人は、「これだけ売上があれば、銀行も安心しておカネをかしてくれるだろう」と目論んでいます。

この当人と銀行との思惑のギャップが、融資の実行を難しくしています。だから、事業計画書に載せる売上を「予測」してはいけないのです。

ではどうするか?

 

「いくら売ればよいのか」を考えよ

いくら売りたいか、という売上予測がダメならば。どうすればいいの? というお話をしていきます。

必要な経費を積み上げてみる

得られるか得られないかもわからない「売上」を先に考えるから、現実が遠のいていく。

ということで、現実的な「経費」から考えることにします。売上に比べて、経費は自らコントロールしやすい、という点で現実的です。

売上よりも先に、「どのような経費がどれくらいかかるか」という見積もりからはじめるのです。たとえば、

  • 仕入 ・・・ 原価率はどれくらいにできそう?
  • 人件費・・・ 月給いくらの人を何人雇えば仕事が回る?
  • 家賃 ・・・ どれくらいのスペースが必要?

このようにして、自分が考える事業に必要なだけの経費を見積り、その金額を積み上げていきます。

いくら借りたいかをとりあえず決めてみる

続いて、いくらのおカネを借りたいのかを想像してみます。

もともとある手元のおカネ(自己資金)と相談しながら、いくらの融資を希望するのかを考えます。

そのうえで、毎月の返済額を計算してみます。おカネを借りる理由(運転資金か設備資金か)にもよりますが、ひとまず5~7年くらいを返済期間としてみます。

たとえば、500万円の融資を5年で返済と想定すれば。毎月の返済額は、8.3万円(500万円 ÷ 60か月)です。

分岐点売上高を計算する

経費の積み上げと、毎月の返済額をもとに、それらの支払いをまかなうことができる売上高を計算します。計算式は次のとおりです ↓

  • (毎月の必要な経費 + 毎月の返済額)÷ (1-仕入の原価率)

たとえば、毎月の必要な経費(仕入を除く)が 200万円、毎月の返済額が 10万円、仕入の原価率が 30%であれば、

  • (200万円 + 10万円)÷(1-30%)= 300万円

つまり、毎月の売上高が300万円あれば、経費の支払いと借入返済ができる。事業のやりくりがつく分岐点としての売上高 300万円を知ることができました。

分岐点売上高を超え過ぎない

さいごに。計算された分岐点売上高を見て、何を想うか?

もしも、「うわっ、キツいわ」と感じるのであれば。その感覚を大切にしてください。あなたがキツいと感じるのですから、やはり実現するのは困難でしょう。

経費の積み上げからやり直しです。経費を抑えることができれば、分岐点売上高は下がります。実現できそうな分岐点売上高を探ってください。

これとは反対に、「余裕だわ」と感じるのであれば。事業計画書に載せる売上を、必要以上に高くしないようにしましょう。

さきほど求めた分岐点売上高。これを超えた売上の分だけ、手元にはおカネが残る、おカネが増えていくことになります。

ですから、分岐点売上高を大きく上回るような売上計画にすると、おカネの残高はどんどん増えていくという計画になります。

結果として、「融資なんて要らなくない?」というのが、冒頭で触れた「華やかな売上予測」です。

ですから、分岐点売上高を知ったのであれば。そこをやや上回るくらいを目安に事業計画書を作成することです。

その分岐点売上高をもとに、商品・サービスごとの単価と、それぞれの販売数量という資料を準備しておきましょう。

銀行には、「事業はコンパクトであるほうが安心だ」という考え方があります。小さい商いであれば、成功の可能性は高く、失敗の可能性・リスクは小さいからです。

事業計画書の売上高は、経費と返済がまかなえれば十分なのであり。事業を大きく見せる必要はありません。

 

まとめ

事業計画書に載せる「売上」を予測してはいけない、ということについてお話をしてきました。

経営者の心情として、「売上を大きくしたい」という思いがあるものです。

それはそれで大切な目標ですが、銀行融資の場面にまで持ち出すものではありません。

銀行融資の事業計画書では、「いくら売りたいか」ではなく、「いくら売ればよいのか」を表現しましょう。

それが、分岐点売上高の考え方です。

 

 

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  きょうの執筆後記
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ABOUTこの記事をかいた人

税理士レス経理エバンジェリスト、フリーランス型税理士。1975年生まれ。 フリーランスの経理・会社の銀行融資支援を得意にする、横浜市の諸留誕税理士事務所・所長。2016年4月、18年間の「勤め人」を脱して独立開業。以来、ブログを毎日更新中!