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融資を受ける銀行に入金用口座をつくるメリット・デメリット

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融資を受けている、あるいは受けようとする銀行に「入金用口座」をつくるメリットってある?

はい、あります。ところが、デメリットになることもあり得ます。

ということで。おカネを借りている銀行に「入金口座」をつくることのメリットとデメリットをまとめてみます。

目次

融資を受ける銀行につくる入金用口座はメリット・デメリット混在

銀行融資と入金用口座の関係性について、世の中には次の2つの「説」があります。

  • ”おカネを借りている・借りようとする銀行に、入金用口座をつくると良い” 説
  • ”おカネを借りている・借りようとする銀行に、入金用口座をつくらないほうが良い” 説
入金用口座とは
事業での売上について、売上先から売上代金の送金を受け入れるための銀行口座

このように真逆に位置する2つの説。どちらか一方が正解でもう一方が誤りなのか? というと、そういうわけではありません。

どちらの説にも頷けるところがあり、ものごとをどちらの方向から捉えるかが違うだけです。

言い換えるのなら。融資を受ける、あるいは受けようとする銀行に入金用口座をつくるということには、メリットとデメリットの両方があるということです。

というわけで、実際に入金用口座をつくろうという際は、メリットとデメリットの両面から検討するようにしましょう。

このあと、そのメリットとデメリットについて、詳しく説明をしていきます。

 

融資を受ける銀行に入金用口座をつくるメリット

まずはメリットから。”おカネを借りている銀行に、入金用口座をつくると良い” 説についてです。

《メリット1》銀行に安心をしてもらえる

おカネを借りている銀行に入金用口座をつくるということは。その銀行に、その入金用口座の情報を提供することになります。

銀行としては自分のお客さまの口座情報ですからね、当然、その内容をチェックするわけです。結果、売上金額や売上先など、入金に関する情報を銀行は得ることができます。

売上や入金に関する情報なら、会社から銀行に提出する「決算書」や「資金繰り表」などでわかるじゃないか。と言うかもしれませんが。

その「ウラを取る」という意味で、口座情報は銀行にとっての安心材料のひとつになります。入金に加え、仕入や経費などの支払も多い口座となれば、より一層の安心材料になるでしょう。

延いては、銀行側の会社に対する理解度がアップし、融資を受けやすくなる効果が期待できます。

《メリット2》大事なお得意さまだと思ってもらえる(かもしれない)

融資を受ける銀行に口座があれば。銀行にとってはお客さまです。

さらに、その口座に「ある程度」の残高があるとしたら。ただのお客さまから「お得意さま」だという見方をしてもらえる。かもしれません。

いったいどれだけの残高があればお得意さまと言えるのかはわかりませんし、お得意さまだからといって融資審査に大きな便宜をはかるほどのことでもないでしょうから。あくまで、「かもしれない」レベルではあります。

それでもヒトの心理として。お得意さまかそうじゃないかということは、「融資に対する取り組み姿勢」にはそこそこ影響するのではないか? という希望的メリットがこのハナシです。 

 

融資を受ける銀行に入金用口座をつくるデメリット

続いてデメリット。”おカネを借りている銀行に、入金用口座をつくらないほうが良い” 説についてです。

《デメリット1》銀行に担保情報を提供していることになる

さきほど《メリット1》のところで、次のようにお話ししました。

  • 売上金額や売上先など、入金に関する情報を銀行は得ることができます

ここで銀行が得られるのは、会社にとっての「債権の情報」です。ここで言う債権とは、売上先から入金される売上代金のことであり、「売掛金(うりかけきん)」と呼ばれるものです。

その売掛金は平たく言えば、おカネをもらえる権利であり、会社にとっての財産そのものです。

ということは。もしも将来、会社が窮状に陥り、銀行への返済ができなくなった場合。差し押さえの対象になりうる売掛金の情報を、銀行に提供したことになります。

ウチには、〇〇社に△△円の売掛金がありますよ。◇◇社には××円の売掛金がありますよ。このほかにあっちにもこっちにも・・・という情報を銀行に流し続けることになります。

「会社の窮状」を前提にするなんて物騒な話ではありますが。将来、返済ができなくなる可能性はゼロだ、絶対にない、とは誰にも言えません。

そのような窮状にいたったときに。銀行が「知り過ぎている」ということが、会社にとってのデメリットになりうる。ということは理解しておいたほうがよいでしょう。

おカネを貸す側の銀行はいつだって、「返してもらえないかもしれない」ことを前提に考え、動いているのです。

《デメリット2》交渉の主導権を握られる

《デメリット1》の延長線上のお話になりますが、銀行が情報を持てば持つほど、交渉の主導権を握られやすくなるでしょう。

売掛金という情報しかり、口座内の日々のおカネの動きしかり、口座残高の推移しかり。口座ひとつからでも、さまざまな情報を銀行はとることができます。

直接的な情報はもちろん、取引内容から推測される情報も含めれば、どれだけの情報を取られていることやら・・・と恐ろしくなるほど。

その結果、取得された情報を、融資可否や融資の条件(利率、担保、保証人など)の交渉材料にされることも考えられます。

さらに言えば、社長の個人口座までもが同じ銀行内にある場合。そちらの口座情報もチェックされていると考えて間違いありません。

社長個人の口座にはおカネがあるぞ、ということを知った銀行はどういう対応にでるでしょう? 逆におカネが無いことを知ったケースではどうでしょう?

いずれにせよ、情報を持つ者の力が強いのはどこの世界でも同じです。

《デメリット3》一行取引の状況を招きやすい

銀行に多くの情報を握られた結果、その銀行からの条件を「丸呑み」せざるを得ない状況に陥ることもありえます。

たとえば、融資について定期預金を担保にとられる、不動産を担保にとられるなど。

こうしていろいろな「縛り」を受けるあまり、他の銀行からの融資を引き出すことが難しくなると。融資はその銀行からだけになる。これを「一行取引(いっこうとりひき)」と言います。

一つの銀行だけとの取引。そんな一行取引には、次のようなデメリットがあります。

競争原理が働かない

一つの銀行だけでは、融資条件について他の銀行との競争が起きず。会社にとって良い条件を引き出しにくくなります。場合によっては、その銀行の言いなりです。

銀行の倒産や合併のリスク

その銀行が倒産した場合に困るというのは当然として。合併された場合にも困ることはあり得ます。

合併をする方の銀行が、いままでのような姿勢で融資を継続してくれるかどうかはわからないからです。新規融資を受けられない、返済を迫られる、ということが考えられます。

いま、銀行業界は再編の真っ只中。合併されるリスクは決して小さなものではありません。

協調によるパワーが引き出せない

ひとつの会社に対する融資について、ひとつの銀行が負うことができるリスクは限られています。いっぽうで複数の銀行であれば、トータルで負うことができるリスクは大きくなりえます。

これを利用して、複数の銀行から、一つの銀行よりも多くの融資を引き出すことを「協調融資」と呼びます。一行取引では、この協調融資のチカラを放棄することになります。

 

まとめ

融資を受ける銀行につくる入金用口座には、メリットとデメリットが混在しています。

口座をつくる、というのであれば。そのメリットとデメリット両面を理解したうえで実行するようにしましょう。

なにも知らずに、無関心でいるうちに、銀行は着々と情報収集を進めています。見す見す情報戦に敗れることがないように、自らの備えが必要です。

 

 

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  きょうの執筆後記
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