えっ、「資金繰り表」って3種類なの?
そうなんです。おカネの動きを管理する資金繰り表には「種類」があります。
その種類に応じたそれぞれの資金繰り表の特徴や役割、使い分けについて、お話をしていきます。
資金繰り表には使い分けるべき「種類」がある
ひと口に「資金繰り表」と言っても。そのカタチはひとつではありません。
もともと決められたカタチがあるものではなく、使う人それぞれのオリジナリティが許されるものであり。数え上げればキリがありません。
それでも。「基本形」といえる型で言うのであれば、資金繰り表の種類は3つです。
このあと、その3種類について。特徴や役割、どう使い分けるべきなのかを見ていきます。お話の全体像は次のとおりです ↓
- 【予習】いまさらですが、資金繰り表ってなに?
- 【本題】資金繰り表の種類と使い分け
【予習】いまさらですが、資金繰り表ってなに?
資金繰り表の種類と使い分けのお話をするその前に。そもそも、資金繰り表ってなに? というハナシから。
資金繰り表=おカネの増減理由を管理する表
「資金繰り表とは?」の問いに、ひとことで答えるのなら。
おカネ(現金・預金)の増減理由を管理する表、という回答になります。「増減理由」というところが、とくにポイントです。
では。わざわざ資金繰り表を作らずとも、決算書や試算表ではダメなのか? というと。
ダメなんです、残念ながら。決算書や試算表を見てわかるのは、せいぜい「おカネがどれだけ増減したか」です。
1年間でおカネが100万円増えました、やったね。この1ヶ月でおカネが200万円減りました、どうしよう・・・ そんなところ。
そのおカネの増減は、利益の増減とも一致せず。原因不明のおカネの増減に、ただただ一喜一憂することになります。
なぜ、資金繰り表を作るのか?
そこで。おカネの増減について、その理由をハッキリさせようじゃないか。という目的を担うのが資金繰り表です。
おカネが増えた理由とその金額、減った理由とその金額を列挙する。結果、いくらのおカネが増減したかを示すのが資金繰り表。
極論。利益が無くても、おカネがあれば会社は潰れません。逆はダメです。利益があっても、おカネが無ければ会社は潰れます。
それくらい大切なおカネなのだから。増減の理由を理解し、増減を自らコントロールするために、資金繰り表は作られるのです。
ちなみに。資金繰り表には、過去を記録する「実績資金繰り表」と、将来を予測する「予定資金繰り表」とがあります。
過去を知るから、将来の予測もできるわけで。どちらもともに大事な資金繰り表です。
そして、この2つの資金繰り表それぞれについて。このあと、3種類の資金繰り表が登場します。いよいよ本題。
【本題】資金繰り表の種類と使い分け
資金繰り表は、その役割に応じて3つの種類があります。はじめに特徴をまとめておきます ↓
年次 資金繰り表 | 月次 資金繰り表 | 日次 資金繰り表 | |
役割 | 年単位でのおカネの増減理由をみる | 月単位でのおカネの増減理由をみる | 日単位でのおカネの増減理由をみる |
わかること | ざっくり、いくら増減? | おカネがアブナイ月はいつ? | 資金ショートのXデーはいつ? |
使い分け | 必ず作る | 基本、作る | 月次資金繰り表で「危険」なら作る |
関係性の強い書類 | 決算書、中長期計画 | 月次試算表・単年度計画 | 現金出納帳・預金通帳 |
上記の表のとおり、「年次」「月次」「日次」の3つです。
おカネの動きをどの期間に区切って見ていくか、のちがいです。それぞれについて見ていきましょう。
年次 資金繰り表
「1年ごと」を期間とする資金繰り表です。基本のカタチはこんなカンジです ↓
実績については決算書をもとに、予測については中長期計画などをもとに作成します。
これにより、それぞれの1年間で、どれだけのおカネが増減したか・するか。その増減理由はなにか、を把握できます。
期間の単位を「1年間」と大きく見ていますので、ざっくりとしたおカネの動きを示すのに適した資金繰り表です。
会社や事業の状況に依らず、このくらいのおカネの動きは当然に理解しておくべきであり、必須の資金繰り表という位置づけです。
いっぽうで、「ざっくりとしかわからない」のが年次資金繰り表の欠点でもあります。
この「年次」で、よほどおカネに余裕がある(売上が1年無くなってもだいじょうぶ、とか)という場合以外は、次項の月次資金繰り表もまた必須と言えます。
月次 資金繰り表
「1ヶ月ごと」を期間とする資金繰り表です。基本のカタチはこんなカンジです ↓
実績については月次試算表をもとに、予測については単年度計画などをもとに作成します。
これにより、それぞれの1ヶ月間で、どれだけのおカネが増減したか・するか。その増減理由はなにか、を把握できます。
向こう半年から1年分くらいを予測しておくのがベストであり。「おカネの残高に不安がありそうな月はいつかな?」ということを知るのに適しているのが、この月次資金繰り表になります。
繰り返しになりますが、よほどおカネに余裕がある場合を除き、月次資金繰り表の作成も必須です。
そこを疎かにするあまり、1か月後におカネが足りない、1週間後におカネが足りない、と慌てることになるのです。そんなことがないように、月次資金繰り表をつくりましょう。
半年先の資金ショート(おカネが足りない)がわかっていれば、銀行借入などの資金調達にも時間的余裕が生まれます。
日次 資金繰り表
「1日ごと」を期間とする資金繰り表です。基本のカタチはこんなカンジです ↓
現金出納帳や預金通帳をもとに、ひとつひとつの取引によるおカネの動きをまとめていきます。
これにより、それぞれの1日で、どれだけのおカネが増減したか・するか。その増減理由はなにか、を把握できます。
通常、そこまで細かい単位でおカネの動きを把握する必要性は小さいでしょう。ところが。
月次資金繰り表を作ってみたところ、数か月以内に資金ショートが予測されるなど。逼迫した状況にある際、その作成を余儀なくされるのが日次資金繰り表です。
これをもとに、資金ショートを起こさぬよう、細心の資金繰りを行うことになります。日次資金繰り表のカタチを見ればわかるように、手間と時間を要し、ストレスの大きな仕事になります。
そのようなことにならぬよう、年次資金繰り表をつくることです。月次資金繰り表をつくることです。
その手間を惜しむばかりに。突然、日次資金繰り表のお世話になるというのはあまりに大きな代償であることを覚えておきましょう。
まとめ
3種類ある資金繰り表の特徴や役割、使い分けについて、お話をしてきました ↓
年次 資金繰り表 | 月次 資金繰り表 | 日次 資金繰り表 | |
役割 | 年単位でのおカネの増減理由をみる | 月単位でのおカネの増減理由をみる | 日単位でのおカネの増減理由をみる |
わかること | ざっくり、いくら増減? | おカネがアブナイ月はいつ? | 資金ショートのXデーはいつ? |
使い分け | 必ず作る | 基本、作る | 月次資金繰り表で「危険」なら作る |
関係性の強い書類 | 決算書、中長期計画 | 月次試算表・単年度計画 | 現金出納帳・預金通帳 |
まずは、資金繰り表作成の目的、必要性を理解することです。
そのうえで、状況に適した種類の資金繰り表を作成していきましょう。
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きょうの執筆後記
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