利益はあるのにおカネが無いのは損益計算書ばかりを見てるから【運転資金】

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儲かっているはずなのにおカネが無いなぁ・・・

それ、「利益」ばかりを見ているから。損益計算書ばかりを見ているからですよ。

貸借対照表もちょっと見てはみませんか?

目次

損益計算書を眺めていてもおカネは増えない

儲かっているはずなのにおカネが無いなぁ・・・ というのは、意外とよく聞くハナシです。

そんな「利益はあるのにおカネが無い」という理由のひとつに、「運転資金の肥大」が挙げられます。

「運転資金」とは何かというと、次の算式で計算することができます ↓

運転資金 = 売上債権(売掛金・受取手形)+ 在庫(商品) - 仕入債務(買掛金・支払手形)

うへぇ、ようわからん。と思われるかもしれませんが。

結論として、この「運転資金」の金額が大きくなるほど、おカネは無くなります。

その理由と対策については後述するとして。ひとまず、算式を構成する「要素」を眺めてみてください。

算式の要素というと、売掛金、受取手形、商品、買掛金、支払手形・・・

気づきましたか? はい、気づいてください。

売掛金、受取手形、商品、買掛金、支払手形は、「貸借対照表」からその金額を知ることができるもの。

つまり。利益があるのにどうしておカネが無いんだ、と言うのなら。「貸借対照表」を見なければいけません。

利益を示す損益計算書をいくら眺めていても、そこに答えはないのです。

まずは、貸借対照表から運転資金を計算してみる。ということを理解したところで本題に入りましょう ↓

  • 【理由】運転資金が増えるとどうしておカネが無くなるのか?
  • 【対策】運転資金を減らしておカネを増やすにはどうするか?

それではこのあと、それぞれお話をしていきます。

 

【理由】運転資金が増えるとどうしておカネが無くなるのか?

冒頭、運転資金の金額が大きくなるほどおカネは無くなる、とお話ししました。

その理由について見ていくことにしましょう。前述した「運転資金」の算式を再掲します ↓

運転資金 = 売上債権(売掛金・受取手形)+ 在庫(商品) - 仕入債務(買掛金・支払手形)

この中から、まずは「在庫(商品)」に注目してみます。具体的には、在庫が増える背景を考えてみます。こんなカンジです ↓

商品を買う → 代金を払う(おカネが減る)→ 商品が売れない → 在庫になる → おカネが減ったまま(増えない)

つまり、商品が売れ残ると、購入時のおカネが回収できず、おカネが減ったままになってしまう。

言い換えると、おカネが在庫に置き換わってしまった、ということです。だから、在庫が増える(運転資金が増える)と手元のおカネがきびしくなります。

では、「売上債権(売掛金・受取手形)」はどうでしょう?

商品が売れる → ツケになる(売掛金・受取手形)→ 入金待ちでおカネが増えない

別の見方をすると、売掛金・受取手形という債権(資産)をおカネを支払って買っている状態ともいえます。やはり、おカネが売上債権に置き換わってしまう。

売上が急増するとき、手元のおカネがきびしくなる理由はここにあります。利益は出て儲かっているのとは対極的に、おカネのほうは不足するのです。

仕入債務については売上債権の逆として考えてください。売上債権が増えればおカネが減るのですから、仕入債務が増えればおカネは増える。

 

ここまでのまとめ

これまでの話をいったん整理します。

「運転資金の算式」と、「運転資金の金額が大きくなるほどおカネは無くなる」の2つについてお話をしてきました。

この2つからわかることは次のとおりです ↓

  • 売上債権や在庫が増えると、運転資金が大きくなる。ゆえに、手元のおカネが無くなる。
  • 売上債権や在庫が減ると、運転資金が小さくなる。ゆえに、手元のおカネが増える。
  • 仕入債務が増えると、運転資金が小さくなる。ゆえに、手元のおカネが増える。
  • 仕入債務が減ると、運転資金が大きくなる。ゆえに、手元のおカネが減る。

【参考】運転資金 = 売上債権(売掛金・受取手形)+ 在庫(商品) - 仕入債務(買掛金・支払手形)

だいじょうぶですよね?

結論として。手元のおカネを増やすには、売上債権と在庫の金額を減らす。もしくは、仕入債務の金額を増やすことです。

貸借対照表に掲載されている「売上債権(売掛金・受取手形)」、「在庫(商品)」を減らすこと。「仕入債務(買掛金・支払手形)」を増やすことです。

繰り返しになりますが。損益計算書を見て、売上が増えた、利益が増えたと論じていてもおカネは増えません。

それではこのあと、おカネを増やす具体的な対策について見ていきます。

 

【対策】運転資金を減らしておカネを増やすにはどうするか?

さきほど、手元のおカネを増やすには売上債権と在庫の金額を減らす。もしくは、仕入債務の金額を増やす、と言いました。それぞれ確認をしてみましょう。

売上債権の金額を減らす

運転資金を減らして手元のおカネを増やすには、売上債権(売掛金・受取手形)を減らすこと。

そのためにできることは2つです。

  • 入金サイトを短縮する
  • 前受けでおカネをもらう

聞けば、「なぁんだ、そんなことか」ということです。

けれども、「そんなこと」がなかなかできないのです。結果、資金繰りを厳しくすることになります。

入金サイトを短縮したり、前受けでもらうようにしたらモノが売れなくなってしまう。だからそんなことできない、とついつい考えてしまうものですが。

それは「思い込み」だということも少なくありません。やり方はいろいろあるものです。

たとえば。

  • 既存のお客さまは保留するにしても。新規のお客さまは、従来よりも入金サイトを短縮する
  • 金額的影響力のある得意先に的をしぼり、すこしの期間(たとえ10日)でも短縮の余地がないかを交渉する
  • 抵抗が少ないと思われる相手(一般の消費者など)からは、前受けにする など

こうして売掛金を減らした分だけ、手元のおカネは増えることになります。

仕入債務の金額を増やす

続いて、仕入債務(買掛金・支払手形)についてですが、もうお気づきのことでしょう。売上債権の逆をやればいい。つまり、

  • 支払サイトを伸ばす

ところが、「そんなことはできない」とハナからあきらめているケースが少なくありません。やはり、「思い込み」はあるものです。

たとえば。おカネが無いと言いながら、請求書の支払期日よりも早く支払をしている会社があったりします。

これを期日通りに支払うようにするだけでも、支払サイトを伸ばすことはできます。

また、末日締め翌月払いのところを、20日締め翌月払いで交渉すると、意外とOKだったりします。これでサイトは10日間伸びます。

取引額が大きければ、わずか10日の違いでも資金繰りの改善に役立ちます。

売上債権にしても仕入債務にしても、「すべてのサイトを変えよう」と考えないことです。

部分部分の積み上げでも、サイト変更の効果は上がります。思い込みに縛られず、ひとつひとつコツコツ積み上げることが大切です。

在庫の金額を減らす

在庫はよくない、これは世間の通説でもあり、ご存じの方も多いことでしょう。

あえてひとつ言うならば。不良在庫は処分をすることです。持ち続けないこと。これには2つの理由があります ↓

  • わずかな金額であっても売却することでおカネに換える
  • (おカネに換えられなくても)処分することで貸借対照表は改善する

売れる可能性の判断は難しいものがありますが。値崩れが激しく、回復が難しいようなものは思い切って叩き売る。

いま、おカネになるのであればおカネに換えてしまうという発想を持つことです。

モノによっては在庫を保管するコストもあるでしょう。持ち続ける損も考えて現金化を検討しましょう。

また、不良在庫が貸借対照表に載っていると、貸借対照表の見栄えが悪くなります。場合によっては、銀行借り入れの際に苦労します。

このような視点からも、不良在庫の処分をおすすめする理由があります。

 

まとめ

運転資金を減らしておカネを増やす、ということについてお話をしてきました。

その効果は、おカネを借りることといっしょです。

「資金調達」というと、増資や銀行借入のイメージが強くなりますが、「運転資金を減らす」ことも資金調達の一手段。

資金繰りの改善を考えるのであれば、いの一番に運転資金に目を向けましょう。貸借対照表に目を向けましょう。

 

 

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  きょうの執筆後記
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