『受取手形があるなら銀行融資を受けなさい』といえる2つの理由

受取手形

受取手形の取り扱いがある場合、銀行融資を受けたほうがいい。

そう言える理由が2つあります。

銀行で割引ができなくなることがひとつ、不渡りになることがもうひとつです。

目次

受取手形があるなら銀行融資を考えるべき2つの理由

昔とくらべると取り扱いが減り続けている手形取引。それでも、まだゼロになったわけではありません。

そこで、受取手形を取り扱っている個人事業主・会社に向けての確認です。

受取手形に対する備えとして、銀行融資を受けることを検討したことはありますか?

なければ、ぜひ一度は検討してみましょう。というお話です。

受取手形には、「資金繰り上の怖さ」が2つあります。この2つの怖さが、銀行融資を考えるべき理由であるとも言えます。次の2つです ↓

【 受取手形があるなら銀行融資を考えるべき理由 】

  • 不渡りになる怖さ
  • 割引ができなくなる怖さ

このあと、それぞれの怖さについて詳しくお話をしていきます。

 

《理由1》不渡りになる怖さ

受取手形があるなら銀行融資を考えるべき理由その1は、不渡りになる怖さです。

必ずしもおカネを回収できるかはわからない

はじめに少し、「受取手形」自体について触れておきます。

受取手形とは、「決められた期日に、決められた金額を受け取る」ことを約束した証書(実際は紙切れ1枚)を言います。

たとえば。あなたが、〇〇商店に商品100万円を売りました。〇〇商店は、3か月後を支払期日とする手形であなたに代金を支払うこととしました。

このとき、あなたが受け取った手形が「受取手形」です。3か月後、あなたは受取手形と引き換えに100万円のおカネを受け取ることができます。

フツーはね。というのが、受取手形の怖いところです。

〇〇商店に問題がなければ、おカネを受け取ることができますが。問題(おカネが無い)がある場合、100万円を受け取ることができないこともあり得ます。

もしほんとうに受け取ることができない場合、これを「手形の不渡り」と呼びます。

不渡りになったからおカネを貸して、はムリ

「不渡り」はたしかに怖い。とはいえ、フツーは支払いをしてもらえるものであるわけだし。

もしも「不渡り」になってしまったら、そのときは銀行に融資をお願いしようか。と考えるのであれば、残念ながらそれは誤りです。

不渡りを受け、資金繰りに支障をきたしているとわかっている相手に、銀行はおカネを貸したいとは考えないでしょう。

銀行は、返してもらえる(あるいは返してもらえそうな)相手だからおカネを貸すのです。

これに対して、不渡りを受け、資金繰りに支障をきたしているのであれば、返してもらうのは難しい相手だと考えることでしょう。

不渡りの金額や資金繰りの状況などケースバイケースではありますが、この場面で融資を受けるのはむずかしい。

というのが、不渡りが抱える怖さのひとつです。

 

《理由2》割引ができなくなる怖さ

受取手形があるなら銀行融資を考えるべき理由その2は、割引ができなくなる怖さです。

受取手形がおカネになるには時間がかかる

あなたが、〇〇商店に商品100万円を売りました。〇〇商店は、3か月後を支払期日とする手形であなたに代金を支払うこととしました。

という、さきほどの事例の続きです。もしも、〇〇商店が毎月定額100万円の商品を買ってくれるお客さまだとすると。次のような状況になります ↓

  • 1月の売上 100万円 → 4月入金予定
  • 2月の売上 100万円 → 5月入金予定
  • 3月の売上 100万円 → 6月入金予定
  • 4月の売上 100万円 → 7月入金予定
  • 5月の売上 100万円 → 8月入金予定
  • ・・・以下続く

では、いまが4月末だとした場合。いくらのおカネ(代金)が入金待ち(未入金)になっているのでしょう?

上記の状況から、3ヶ月分の300万円であることがわかります。2月売上・5月入金予定分、3月売上・6月入金予定分、4月売上・7月入金予定分のそれぞれ100万円で計300万円。

これは、100万円 × 3カ月(手形の支払期日までの期間)= 300万円という算式でも計算できます。

3か月後が支払期日の手形取引をしていると、実に300万円のおカネがいつも入金待ちになるわけですね。

この300万円を気にしなくてよいくらい、あなたが潤沢なおカネを持っていればよいのですが。なかなかそうもいかないのが現実。

商品を仕入れるおカネも必要。日々の経費を支払うのにもおカネが必要。少しでも早くおカネを回収したいのに、300万円が入金待ちとは・・・ 歯がゆい思いをすることでしょう。

【補足】〇〇商店はなんで現金で支払ってくれないのか?
〇〇商店は、あなたから仕入れた商品を売り上げるまでの時間を考えなければいけません。売り上げておカネになるまでの時間を考えなければいけません。
できることなら、あなたからの仕入代金は売上代金の中から払いたい。その時間を稼ぐために手形で支払いをするのです。

時間がかかるなら手形を割り引く

受取手形はおカネになるまでに時間がかかる、という話をしました。

そこで、すこしでも早く現金化する手段として、「手形の割引」を検討することになります。さきほどの例で言えば、300万円も待ってられない、ということです。

「手形の割引」とは、受取手形を銀行に持ち込んで、手形の支払期日前に買い取ってもらうことを言います。

ただし、買い取ってもらう際には手数料を差し引かれることとなり、支払期日まで待てれば受け取ることができる金額よりも買取金額は少なくなります。

別の見方をすれば、受取手形を担保に銀行からおカネを借りているようなものであり、支払う手数料には利息の意味合いがあります。

この利息相当の手数料を計算するにあたっては「割引率」が用いられ、「手数料=手形の金額 × 割引率 × 期日までの日数」で計算されます。

ちなみに、割引率は2%~5%前後。銀行によって異なります。

というわけで。手数料こそかかるものの、早く現金化したいということであれば、「手形の割引」が使えるぞ。というのが、ここまでのお話です。

手形割引をしたくない銀行

ところが。いざとなったら銀行に受取手形を割引してもらえばいい、とカンタンに話を終わらせるわけにはいかない事情があります。

銀行が必ずしも手形を割引してくれるとは限らないからです。

「いやいや、いままで割引してもらっているし」という話も同じ。それでも、明日また同じように割引してくれるとは限らないのです。

ではなぜ、銀行は手形の割引をしたくないと考えるのでしょう?

それは、「不渡り」のリスクがあるからです。この点について、ふたたび、〇〇商店の手形を例に説明します。

  • あなたは銀行で〇〇商店の手形 100万円を割り引きました
  • その後、支払期日に〇〇商店は100万円の支払いができず・・・不渡り
  • 100万円の受取りができなかった銀行は、あなたに手形の買い戻しを要求しました

割引をした手形に不渡りが起きた場合、銀行から買い戻しの要求があることは要注意です。不渡りの怖さは、割引をしたあとにも残ります。

ここでの問題はさらにそのあとの話。銀行から買い戻し要求をされたあなたは、100万円を払えるものなのでしょうか?

難しいですよね。おカネが必要だから割引をしたのですから、おカネに余裕があるはずもなく。100万円を支払うのはたいへん難しいことでしょう。

であるならば。銀行としてはそもそも割引をしないに限ります。

〇〇商店が不渡りを起こすような会社か否か、という信用力の問題もありますが。そもそも手形割引をするようなあなたの資金繰り状況に不安を感じて、銀行は割引を渋るのです。

このように、銀行の出方しだいである手形割引に依存した資金繰りは、とても危なっかしいものであることを覚えておきましょう。

【参考】手数料の高い手形割引業者
銀行が手形を割引してくれないのなら、手形割引業者がある。という発想にも注意が必要です。割引率が高いところでは20%近くに及ぶものもあります。
そんな高コストでおカネを調達をするようなやり方では、短期的には凌ぐことができても長期的にはもちません。根本的な解決を考えましょう

 

まとめに代えて 受取手形分の銀行融資を検討する

受取手形があるなら銀行融資を考えるべき理由についてお話をしてきました。

持っている受取手形が不渡りになればおカネが必要になる。また、手形割引を銀行はしたがらない。

そこへの対応策として、銀行融資が挙げられます。

入金待ちになっている受取手形の金額分(〇〇商店の例で言うと300万円)だけ、銀行融資を受けておカネを確保しておく、ということです。

もちろん、融資審査という敷居はありますが、信用保証協会付の融資であれば敷居を下げることも期待できます。有事の前に備えることを検討をしましょう。

 

 

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  きょうの執筆後記
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