銀行から「保証人だ、担保だ」と言われて腹が立つ!
わかります。わかりますが、ちょっと待ってください。
それはそれで受け入れるべき理由がありますよ、というお話です。
『保証人だ、担保だ』と銀行から言われても腹を立てずに受け入れる
銀行融資について、銀行から次のように言われることがあります。
【 銀行融資にあたって、銀行から言われうること 】
- 保証人をつけてほしい
- 担保を出してほしい
言われたほう、つまり、融資を受けようとする側からすると、腹立たしい思いがあるかもしれません。
決算書も提示した。資金繰り表もつくった。事業計画書も説明した。これでもうじゅうぶんではないのか?
「それなのに、銀行は自分たちの身の安全ばかりをはかろうとする(怒)」
そんな思いを感じる人は少なくないようです。気持ちはよくわかります。感情としてはそのとおりだと思います。
それでは、思いに任せて怒ってみるか、反論してみるか、というとそういうわけにはいきません。というのが、きょうの結論。こちらです ↓
【 銀行の要求に対する対応 】
- 《行動》絶対に融資を受けたいのであれば、銀行の要求は飲まざるを得ない
- 《理解》銀行は不条理に「保証人・担保」と言っているわけではないことを知る
上記のとおり。銀行が「保証人だ、担保だ」と言っているのであれば、現実問題として、その要求は飲まざるを得ないということ。
しかしそれは、いたずらに腹を立てるべきことではなく、おカネを借りる側が理解をすべき「銀行の理屈」があるのだ。ということについて、このあとお話します。
融資を受けたいのであれば、「保証人・担保」の要求は飲まざるを得ない
銀行から保証人や担保の要求があったとしても、「保証人無し」「担保無し」を交渉することはもちろんできます。
けれども多くの場合、その交渉には意味がなく、不利益を被る結果に終わることでしょう。
「不利益」とは、たとえば、
- 保証人をつけてもらえないのであれば融資はできない、と言われる
- 担保を出せないのであれば融資はできない、と言われる
など。銀行から「じゃあ貸さない」という対応をされることです。文句があるなら貸さない、と言われてしまうこと。
貸さないとは言わないまでも、融資条件が悪化することもあるでしょう。融資金額を削られる、金利を上げられるなどなど。いずれも「不利益」です。
そこで借りようとする側が、「そんなに言うならもういいよ、借りない」と言えればよいのですが。
融資を希望する多くの理由が、資金繰りがひっ迫しているからであり、「結・局・は」、銀行の要求を飲まざるを得ないことになります。借りなくてもよい、という選択肢がない。
この場合、借りる側よりも貸す側の立場が優位であることから、「交渉には意味がない」と言うしだいです。要するに、この局面では銀行が上なのです。
繰り返しになりますが、交渉ができないわけではありません。
しかしながら、立場の弱い側からの交渉は、時間と労力のムダになる可能性が高い。ヘタをすれば融資の機会自体も失う。そこを理解しておきましょう、というお話です。
加えて理解しておきたいこと。それは、なにも銀行はイジワルで保証人や担保を要求しているのではないということ。その理由についてです。
銀行が「保証人だ、担保だ」と要求する2つの理由
なぜ銀行は保証人や担保を要求するのか?
「そんなの、返済が滞ったときの回収手段を確保するために決まってるだろう」と思われるかもしれません。
たしかに、それもあります。ありますけれどもそれだけではない、というお話をしていきます。
銀行が保証人や担保を要求する理由として、「万一の際の回収手段の確保」のほかに、次の2つの理由が挙げられます ↓
【 銀行が保証人や担保を要求する理由 】
- 「預金者保護」の大義名分・銀行の理屈があるため
- 借りる側の「覚悟のほど」を見極めるため
上記2つの理由について、順番に見ていきましょう。
「預金者保護」の大義名分・銀行の理屈があるため
銀行は、預金を集め、その預金を原資におカネを貸し出し(融資)、利息収入をあげるというビジネスモデルです。
ここで言う「預金」には、「預金者保護」という考え方があります。みなさんから預かったおカネはきちんと守るべし、という考え方です。
もしもわたしたちが銀行に預けたおカネが、「すみません、無くなってしまいました」と言われたら困りますよね。それはもう、たいへんな事態です。
ゆえに、銀行としては、大切な預金をカンタンに貸し出す(融資する)ことはできないわけです。
貸してもだいじょうぶそうな相手、返済をしてもらえそうな相手にはおカネを貸すけれども、そうでない相手には貸せない。それが銀行のスタンスです。
ですから融資に際しては、きちんと審査をし、必要に応じて保証人や担保を要求する。不条理に保証人や担保を要求しているわけではありません。
このように、銀行には銀行の理屈・論理があるのであって。それについて銀行外の者が賛否を論じるべきものではありません。
できることは、そんな銀行の理屈・理論をすこしでも理解し、「そういうものなのだな」とただただ受け入れるばかりです。
借りる側の「覚悟のほど」を見極めるため
融資先が業況悪化などにより、返済不能となった場合。銀行は、保証人や担保からの回収を検討することになります。
しかし当然ながら、保証人への取り立てや担保処分が、銀行にとっての本意ではありません。
そもそも、保証人への取り立ても担保処分も、口で言うほど簡単なことではなく。銀行側も大きな手間や労力を伴います。時間もかかります。
また、保証人から十分に回収できるかもわかりませんし、担保処分もまた十分な金額に届かないことがありえます。
そういう意味では、返済不能額の回収だけが、銀行が保証人や担保を要求する理由ではないということです。では、その他の理由とは?
それは、借りる側の「覚悟のほど」を見極めるためです。おカネを借りようとしている経営者に、おカネを借りる者としての覚悟があるかどうか。たとえば、
- 事業に対する理解者・支援者として、社会的に信用がおける保証人を巻き込む覚悟があるか
- 自宅を担保に入れてでも、資金調達をし、事業を成功させようとする覚悟があるか
覚悟ある経営者、気概ある経営者には、なんとかしておカネを貸すことはできないだろうか。とも銀行は考えているのです。
先述したように、おカネを貸して利息収入をあげるのが銀行の商売。おカネを貸すための方法を探っているわけです。
そこで、保証人や担保を、覚悟や気概の裏付けとして、なんとかして融資をしようと考えている。保証人や担保にはそのような理由もあります。
そのようなことからすると、銀行に腹を立てる道理は無く。むしろ、融資に対する肯定的な姿勢には感謝すべきとの見方もできるでしょう。
まとめ
『保証人・担保』と銀行から言われても腹を立てずに受け入れる、ということについてお話をしてきました。
勘違いのないように申し添えますが、「銀行の言いなりになる」ことをおすすめしているわけではありません。
まずは、銀行の理屈・論理を理解すること。その理屈・理論に沿って、借りる側も考え、行動することが大事。それがお伝えしたいことです。
銀行が発する言葉の表面だけを受け取り、感情的になると不利益を被るだけ。ということには気をつけましょう。
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きょうの執筆後記
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