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銀行から『定期預金をお願いします』と勧められたときに考えるべきこと

銀行融資と定期預金

定期預金をお願いできませんか?

と銀行に勧められたら。しかも、融資を受けている先の銀行だったらどうしよう。

というわけで、銀行融資と定期預金についてのお話です。

目次

融資を受けている銀行に定期預金をしないほうが良い

きょうのテーマは、「銀行融資」と「定期預金」です。

この「銀行融資と定期預金との関係性」を考えるにあたり、よく言われていることがあります。それは、

” 融資を受けている銀行に定期預金をしないほうが良い ”

そもそも論です。そもそも、融資を受けている銀行には、定期預金をしないほうがいいよ、と。

その理由として、次の2つが挙げられます ↓

【 融資を受けている銀行には定期預金をしないほうが良い理由 】

  • 実効金利が上がる
  • お付き合いの過程で解約がしづらい

話を続ける前に、これらの理由について少し解説を加えておきましょう。

実効金利が上がる

銀行から融資を受けようとするとき、支払利息について金利の提示があります。たとえば、「年利2%」とか。これを「表面金利(ひょうめんきんり)」と呼びます。

この「表面金利」に対するものとして「実効金利(じっこうきんり)」があります。

実効金利とは、「実質的な金利」と表現されるのですが、理解しやすいように具体例でみてみましょう。

【 実効金利の具体例 】

  • 借入金 1,000万円、支払利息 年利3%
  • 定期預金 300万円、受取利息 年利0%(低金利時代ゆえ、便宜的に0%とします)
  • 上記はいずれも、同じ銀行に対する借入金と定期預金とする

実効金利=(支払利息-受取利息)÷(借入金-定期預金)×100 =(30万円-0万円)÷(1,000万円-300万円)= 4.28% 

実効金利の算式では、返さなければいけないおカネ(借入金)と、返してもらえるおカネ(定期預金)とを相殺して金利を求めているわけです。

これによると、表面金利は3%ですが、実効金利は4.28%。

つまり、年利3%の融資を受けたのですが、定期預金をすることで、実質的には4.28%の金利でおカネを借りていることになります。その差は実に、1.28%。

したがって、融資を受けている銀行には定期預金はしないほうがいいよね。金利が割高になっちゃうもんね。と言われています。

お付き合いの過程で解約がしづらい

定期預金をすることで、融資を受ける側の金利が割高で損をするというのであれば。

融資をする側である銀行は、トクをしていることになります。定期預金をしてもらえばもらうほど、実効金利が上がって儲かるぞ。ゆえに、銀行は定期預金を勧めてくる。

ということは。定期預金を解約するようなことがあれば、銀行は機嫌をそこねるのだろうなぁ、という想像がつきます。

機嫌をそこねる程度はわかりませんが、なにかしら今後の融資の姿勢に影響するのではないかと考えると、そうそうカンタンに解約を言い出しにくくなります。

担保にとられているのでなければ、本来自由につかえるはずのおカネなのに・・・ だから、融資を受けている銀行に定期預金をするもんじゃない。と言われています。

 

だったら定期預金をどの銀行にすればよいのか?

そもそも、融資を受けている銀行に定期預金をしないほうが良いのはわかった。

では、定期預金をしてはいけないのか、しないほうがよいのか? というと。もちろん、そんなことはありません。

定期預金をする候補先の銀行としては、大きく次の3つに分かれます ↓

【 定期預金の候補先銀行 】

  • まったく関係のない銀行
  • 新規融資を考えている銀行
  • あえて現在融資を受けている銀行 

では、順番に見ていきましょう。

まったく関係のない銀行

実効金利の問題を考えなくて済む、お付き合いのしがらみもない。そんな「まったく関係のない」銀行、というのは定期預金の候補先です。

この場合の定期預金の役割は、

” しばらくは使う予定がないおカネを、通常の預金とは分けてとっておく ”

ということです。ほかに、「預金利息を得る」という役割もありますが。低金利ゆえ、いちばんの役割にはならないでしょう。

ムダづかいをしないようにということでの定期預金であれば、まったく関係のない銀行が候補先となります。

新規融資を考えている銀行

続いて考えられる候補先は、新規に融資を受けたいと考えている銀行です。いままでに融資を受けたことがない銀行。

この場合の定期預金の役割は、

” お近づきのしるしに ”

ということです。はじめての取引として、定期預金をしてみる。

銀行は常に融資先を探していますので、定期預金をしてくれる会社を融資候補先と考えることは十分にありえる話です。

なんの取引もない見ず知らずの相手よりも、なにかしらの取引がある相手のほうがお付き合いしやすいもの。融資をスムーズに進めることが期待できます。

あえて現在融資を受けている銀行

さいごに、それでもあえて現在融資を受けている銀行について。

融資を受けている銀行への定期預金が実効金利を高めることはお話したとおりです。それでもいい、というのですから「あえて」です。

この場合の定期預金の役割は、

” お付き合いのあかしに ”

です。銀行さんがそんなに言うならしかたないですね、お付き合いしますよ。そういうことです。

しかし、この「お付き合い」の効力をあまり期待しないことです。定期預金をしたからといって、極端に融資姿勢に影響することはないでしょう。

そういう意味では、余裕のある金額の範囲内で、「やりかた」に気を付けた定期預金にすることです。

「やりかた」ってなに? ということについて、このあとお話をしていきます。

 

定期預金のやりかたのポイント

いざ定期預金をする、という段階で気を付けるべきことがあります。

それは、できるだけ現金化しやすいカタチにしておくということです。

定期預金は解約もできますが、普通預金などのように気軽に引出しができるものではありません。

そのあたりをあまり考えずに定期預金にしてしまうと、のちのち困ることが起こりえます。

事業をしていれば、いつおカネが入り用になるかはわからないのです。常に「現金化」についてはアタマに入れておきましょう。

というわけで、現金化をふまえた「定期預金のやりかた」のポイントは次のとおりです。

【 定期預金のやりかた 】

  • 複数に分ける   
  • 期間を短く区切る 
  • 自動継続にしない 

順番に見ていきましょう。

複数に分ける

たとえば、300万円の定期預金をするのなら、300万円1口ではなく、100万円で3口にする。

こうしておくと、必要な額に応じて、必要な分だけ現金化(解約)できます。必要のない金額までいっぺんに解約しなくても済みます。

また、銀行から見た場合、300万円の解約というのは抵抗がありますが、100万円の解約であれば「しかたがないか」と許せる面もあるでしょう。

期間を短く区切る

1年だの、3年だのと定期預金の期間をあまり長くしない方がよいでしょう。

これを1か月、3か月、半年などにしておけば、現金化されるタイミングの頻度が多くなります(解約をしなくても)。

先述したように、事業では急におカネが必要になることも少なくありません。中途解約もできる定期預金と言えども、現金化のしやすさは考えておくべきです。

銀行に対しても、解約をされて現金化されるより、満期で現金化される方がよいと言えるでしょう。

自動継続にしない 

自動継続にしてしまうと、結局ずっと預けっぱなしということで、ここまでの話が活きません。

手間ではありますが、自動継続ではなく、更新手続きが必要な定期預金にしておくことをおすすめします。

銀行の担当者が付いていて、更新手続きに来てくれることもあるはずです。

その場合、更新せず現金化する部分については使途を説明するなどし、自社の資金繰りや資金需要を説明するきっかけにするとよいでしょう。

担当者からの融資提案をうながす効果が期待できます。

 

まとめ

銀行融資と定期預金についてお話をしてきました。

おカネが拘束されてしまう定期預金については、慎重に考えるべき部分があります。

再三の繰り返しですが、事業でおカネがいつ必要になるかはわからないからです。

銀行融資との兼ね合いも理解して、定期預金は戦略的に考えましょう。

 

 

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  きょうの執筆後記
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