銀行に『ダマしたな!』と思われてしまう試算表 5つの特徴

銀行をダマす試算表

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銀行からの依頼で提出をしてみた試算表。

それを見た銀行には、『ダマしたな!』と思われているかもしれません。そんな思いも寄らぬ事態を招かぬように気をつけて、というお話です。

銀行に『ダマしたな!』と思われてしまう試算表とは?

決算日から数ヶ月程度たっての融資相談・申し込みでは、決算書の代わりに「試算表」の提出を依頼されることがあります。

これは、決算から時間が経っているので、決算書では情報が古すぎる。最新の情報を試算表で知りたい、ということを意味しています。

というわけで、銀行の希望に応えるべく提出する試算表ですが。試算表がきっかけになり、思わぬ事態に発展することがあります。

思わぬ事態、それは、銀行から「ダマしたな!」と思われてしまうことです。

実際に「ダマしたな!」と口にまではしないにせよ。そう思われてしまうかもしれない。もちろん、会社からすればなんの得もありません。融資が難しくなる。お付き合いが悪くなるばかりです。

そんな事態にならぬよう。銀行が「ダマされた」と思ってしまう試算表について理解をしておきましょう。

どれも、試算表を提出する側の不注意・不用が原因です。具体的には、次の5つになります↓

  • 減価償却費の未処理
  • 消費税の未処理
  • 年払い費用の未処理
  • 棚卸の未処理
  • 仮払金・貸付金の存在

これらの不注意・不用意が、銀行に誤解を与えることになるのです。それでは、このあと順番に詳しく見ていきましょう。

 

減価償却費の未処理

購入金額の大きな固定資産(たとえば事務所建物、クルマ、機械、備品など)を、一度に経費にすることはできません。

複数年に分けて、購入金額を分割するかたちで経費に計上していきます。この経費を「減価償却費」と呼ぶことはご存知の方も多いことでしょう。

で。その減価償却費を、年にいちどの本決算のときに「まとめてドーンっ!」で計上するという経理をしている会社があります。

つまり。毎月の月次決算の中では、減価償却費を考慮しない、計上しない。そのうえで、本決算のときにまとめて計上するものだから、減価償却費の額によっては大きく利益が減少します。

場合によっては、試算表では黒字だったのに、決算書をもらったら赤字でした、なんてこともありうるわけです。

銀行としては「ダマされた!」と思いたくなるところです。銀行は利益が出ている会社におカネを貸すものであり、利益の出ていない会社にはおカネを貸したくないのです。

ちなみに。「減価償却費を計上してないことくらい気づけよ」ということかもしれませんが、その考え方は間違いです。ただの逆ギレです。

そもそも、年間の減価償却費を12ヶ月で等分して月次決算で計上する。これは、デキる経理の基本とでも言うべきものです。基本もできずに、逆ギレをしてはいけません。

 

消費税の未処理

前述した減価償却費に似たハナシとして、消費税の計上が挙げられます。

ただし、このハナシが該当するのは、「消費税の納税義務がある、かつ、税込経理をしている」会社のみです。

そのような会社の場合には、経費(一般に「租税公課」の勘定科目で)として、税務署に納める消費税の金額を計上します。

この「税務署に納める消費税の金額」を計算するのは、年に一回の消費税申告のときであるために。やはり本決算で「まとめてドーンっ!」と消費税を計上する会社があるわけです。

あとは、減価償却費のハナシと同じです。そんな消費税のおかげで、試算表では黒字だったのに決算書をもらったら赤字でした。みたいな。

「みたいな、じゃなーいっっ!」と銀行は思うことでしょうね。よろしくありません。

ですから消費税の金額についても、毎月の月次決算のなかで見積もり計上をしておくという「気配り」が欲しいところです。

「税金の計算」ということで、減価償却費よりもハードルは上がりますが、顧問税理士にも相談をしながら経理をするとよいでしょう。

 

年払い費用の未処理

「年払い費用」とは、文字どおり、1年間分まとめて支払いをしているような費用です。

例を挙げると、生命保険料や損害保険料などの年払い、なにかのサービスの年間利用料、どこかの団体の年会費など。場合によっては、家賃を年払いしているということもあるでしょう。

これら年払い費用のうち、金額が大きなものについては、前述した「減価償却費」「消費税」と同じことが起こりえます。

たとえば。銀行に試算表を提出したのが、期首から9ヶ月めだとして。生命保険料100万円を年払いしたのが11ヶ月めだとしたら。

銀行が見た試算表からは、その後に計上される経費「生命保険料 100万円」は見えていないことになります。

ですから、年払いの金額が大きいほど、また、そういった年払いの機会がたくさんあるほど。銀行からすれば、本決算での利益は「見込み違い(思っていたよりも少ない)」だということになります。

そう考えると、年払い費用も毎月の月次決算で12等分して計上すべし、となります。

金額が小さいものまでをそのようにする必要はありませんが。このあたりは銀行のためというよりは、自社の月次決算の精度をどこまで高めるかという気概にかかっています。

 

棚卸の未処理

棚卸(たなおろし)、つまり、「在庫」についても未処理が過ぎると、銀行に「ダマしたな!」と思わせてしまう要因になります。

在庫の数量が多い、というような会社では。いちいち在庫を数えて棚卸をするのもメンドーなため、1年にいちど、本決算のときだけ棚卸をするというケースがあります。

毎月の月次決算では棚卸をせず、試算表上でもなにもしない、ということですね。このとき、期首の在庫よりも、期末の在庫が減っていると。その分だけ利益が減少することになります。

えっ、そうなの? と思われた方も、ひとまず「そういうものか」と思って読み進めていただければ。

在庫と利益の関係についての解説はハナシが長くなりますし、本記事の趣旨から外れてしまうため、読者の理解と勉強に委ねます。

ですから、期首からまったく棚卸をせずに銀行への試算表を提出した場合。実際には在庫の減少(売却、処分など)が進んでいたとすると、その分の利益減少が本決算で明るみになります。

これには銀行のみならず、経営者もまたビックリしたりするわけですが。年間を通じて、在庫の変動が金額的に大きい会社は、毎月の棚卸について対応策を講じましょう。

 

仮払金・貸付金の存在

銀行は、「仮払金」や「貸付金」といった勘定科目を嫌います。これらが決算書に載っていると、融資は難しくなる。ということは、割と皆さんご存知です。

仮払金はなにに使ったかわからないアヤシゲなもの(使途不明)であり、貸付金は銀行から借りたおカネを他の人に貸す(資金使途違反)なんてけしからん、というわけです。

よって、銀行融資を考える決算書には、そうそう「仮払金」や「貸付金」は載っていないのですが。試算表となるとハナシは別です。

試算表だと思うと油断をするのかどうなのか。「うっかり」と、仮払金や貸付金が計上されていることがあります。

これを見た銀行は、「決算書には載っていなかったのに!実は隠していたんだな、キーっ!」となります。キー、とは言わないか。でも、ダマされたとは思うでしょう。

仮払金や貸付金が常習でありながら、決算日時点だけはキレイにしておく、という姑息なことをする会社の存在を銀行は知っているからですね。

小さな金額であれば「一時的に」などの理由も通るでしょうが、そもそも使途不明な「仮払金」や資金使途違反の「貸付金」は銀行融資のタブーです。

決算書のみならず試算表についても、仮払金・貸付金はタブーであることを覚えておきましょう。

 

まとめ

銀行に『ダマしたな!』と思われてしまう試算表 5つの特徴についてお話をしてきました。

試算表を提出する側の会社にダマす意図はなくても、銀行が「ダマされた」と感じればそれまでです。

不注意・不用意でそのようなことで信用を落とさぬよう、試算表を提出する際には気をつけましょう。

その基本的な考え方は、月次決算の精度を上げる、ということです。

 

 

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ABOUTこの記事をかいた人

税理士レス経理エバンジェリスト、フリーランス型税理士。1975年生まれ。
フリーランスの経理・会社の銀行融資支援を得意にする、横浜市の諸留誕税理士事務所・所長。2016年4月、18年間の「勤め人」を脱して独立開業。以来、ブログを毎日更新中!