”ビットコインとか仮想通貨でちょっともうかっちゃった。ま、申告しなくてもバレないよね。”
いや、バレます。バレたら負け。だから、仮想通貨でトクした分は確定申告したもん勝ち! というお話をしていきます。
バレないなんて甘すぎる! 仮想通貨の確定申告は「やる」の一択
ビットコインを筆頭に、いわゆる「仮想通貨」の取引はブームと言ってよいでしょう。いや、もはやトレンドか?
「億り人(おくりびと=投資取引で1億円を超えるほどたくさん儲けた人)」の言葉にも象徴されるように。にわかに利益をあげて莫大な資産を増やした、というハナシも聞こえてきます。
さすがに1億円とまではいかずとも、「ちょっと儲かっちゃったんだよね」という人も少なくないはず。
となると、気になるのが税金の申告、確定申告です。「儲け」に税金はツキモノなのであり、確定申告もまたツキモノなのです。
「ま、申告しなくてもいっか(バレないよね)」なんて考えてはいませんか? やめておきましょう、悪いことは。
むしろ、申告したもん勝ちと言ってもよいくらい。その理由はこちら ↓
- 仮想通貨の取引は、申告漏れがバレやすい
- 税務調査は申告をしていない人が優先される
- 申告せずにバレたときのペナルティが多額に及ぶ
上記の理由について、以下で少し補足します。
① 仮想通貨の取引は申告漏れがバレやすい
詳しいことは省略しますが(というか、わたし自身がよくわかっていないのだが・・・)、仮想通貨はそのしくみ上、取引内容が「オープン」だという性質(たとえば分散型台帳技術)があります。
また、取引履歴が「データ」としてきちんと残ることから、隠すことや改ざんができないため、「(税務署が)その気になれば」申告漏れは把握しやすいものです。ゆえに、バレやすい。
② 税務調査は申告していない人が優先される
税務署から見て、申告をしている人と申告をしていない人、どちらの税務調査をしたいかと言えば後者でしょう。申告が必要(税金が出る)なのに申告をしていない人を調査したい。
ですから、申告をしているほうが圧倒的に税務調査が来にくいはずだ。と言うことができます(よほどおかしな申告をしてヤブヘビになるケースは別ですが)。
③ 申告せずにバレたときのペナルティが多額に及ぶ
仮想通貨による儲けは、各人の投資額に対して「想定外(思いもよらない)に大きな金額」であることが少なくないようで、その場合の税額もまた大きくなりがちです。
その税額を申告せずにバレてしまった場合、当然、ペナルティとしての税金(本来の税額の1.5倍超えも・・・)も大きくなります。金額が大きく悪質となれば、刑事罰(懲役など)まで付いてきます。
確定申告の対象は「実現をしたトク」だけ
仮想通貨でのトクは確定申告したほうがいい、ということはわかった。という前提で。
冒頭から「トク」をしたら確定申告と言っていますが。この「トク」について、もう少し正確に言うと。
確定申告(税金)の対象になるのは、「実現をしたトク」だということです。この「実現をしたトク」の具体例は後述するとして。
逆に、「実現をしていないトク」は確定申告の対象ではありません。
実現をしていないトクの代表例は、いわゆる「含み益」です。仮想通貨を買ったあと、値上がりしたけれど売却もせず持っているケース。
値上がり分がトクのようではありますが、明日にも値下がるのかもしれず、売却するまでは未確定の利益。これが「含み益」です。そんな「含み益」にまでは、税金はかかりません。
実現をした「トク」はいくら? の計算方法・考え方
ここからは、確定申告(税金)の対象になる「実現をしたトク」の具体例をもとに、トクをした金額の計算方法や考え方を見ていきます。
トクした金額 × 税率 = 税額
仮想通貨取引から生じる税金の額は、取引によりトクした金額の大きさによります。算式にすると次のとおりです ↓
トクした金額 × 税率 = 税額
上記の算式について「税率」は、仮想通貨以外の収入(会社員なら給与、フリーランスなら事業収入など)も含め、収入総額が大きい人ほど高くなります(「国税庁WEBサイト・所得税の税率」参照)。
それはそれとして、税額を計算するにあたり重要なのは「トクした金額」です。その計算方法と考え方を、ビットコイン取引を具体例として見ていきましょう。
ビットコイン以外の仮想通貨(トークンも含む)についても同様です。
《事例1》仮想通貨を売却した
問)下記のビットコイン取引による「トクした金額」はいくらか?
- ××年4月1日 1ビットコインを 50,000円で購入
- ××年6月1日 1ビットコインを 500,000円で売却
ポイントは、ビットコインを「モノ」だと考えることです。
1ビットコインというモノを 50,000円で仕入れて、500,000円で売りました。利益は、450,000円です。と考えれば、難しいことはありませんよね。
したがって、上記の事例における「トクした金額」の計算方法・考え方は次のとおりです ↓
答)ビットコイン売却による「トクした金額」
売上 500,000円 − 仕入 50,000円 = 利益 450,000円
事例のように、仕入れた値段よりも高く売れれば、その利益が「トクした金額」として税金がかかります。
ちなみに、仕入れた値段よりも安く売る場合には、利益ではなく損失となり税金はかかりません。
実際には、事例のように1回きりの取引ではないでしょう。1ビットコインを買って、0.2ビットコインを売却。その後、0.5ビットコインを買って、0.3ビットコインを売る・・・など。
その場合の「仕入」の金額の計算は、総平均法や移動平均法などの方法により計算します。本記事は「超基礎編」ということで、その説明は別の機会に
《事例2》仮想通貨で商品を買った
問)下記のビットコイン取引による「トクした金額」はいくらか?
- ××年4月1日 1ビットコインを 50,000円で購入
- ××年7月1日 300,000円のパソコンを1ビットコインで購入
ポイントは引き続き、ビットコインは「モノ」であるということ。
つまり、パソコンを買う前に、いったんビットコインを売却して円に換金、そのおカネでパソコンを買ったと考えます。
したがって、いったん売却した時点で「トクした金額」が確定し、利益について税金がかかります ↓
答)ビットコイン売却による「トクした金額」
売上 300,000円 − 仕入 50,000円 = 利益 250,000円
この事例からわかることは、仮想通貨でなにか商品を買ったようなときにも税金がかかることがある。そういうことです。
《事例3》仮想通貨で別の仮想通貨を買った
問)下記のビットコイン取引による「トクした金額」はいくらか?
- ××年4月1日 1ビットコインを 50,000円で購入
- ××年8月1日 1ビットコインで 15イーサリアムを購入
- ××年8月1日 この日のレートは、1イーサリアム= 30,000円
やはりポイントは、ビットコインは「モノ」であるということ。
イーサリアムという別の仮想通貨を買う前に、いったんビットコインを売却して円に換金、そのおカネでイーサリアムを買ったと考えます。
そこは、さきほどの《事例2》パソコンのケースと同じですね。ちがうのは、イーサリアムには「レート」があるということ。
パソコンはすぐに「円」で金額がわかりましたが、「15イーサリアム」はその日のレートで「円」に換算しなければいけません ↓
答)ビットコイン売却による「トクした金額」
売上(30,000円 × 15イーサリアム)− 仕入 50,000円 = 利益 400,000円
上記のように、ある仮想通貨で別の仮想通貨を買った(仮想通貨を交換した)場合にも、その利益については税金がかかります。
注意点として。具体例では資料として「レート」が与えられていますが、実際には、自分で調べることになります。
取引所のWEBサイトなどから各仮想通貨のレート(一日の相場の平均値など)を確認しましょう。
上記3つの事例のほかにも、確定申告にはまだまださまざまなケースがありますが。今回は「学習編」ということでこのあたりまでとして。
その他、申告の現場で気になることなどはこちらの記事をどうぞ ↓
まとめ
仮想通貨に関する確定申告の「超基礎編」として、3つお話しをしてきました ↓
- 仮想通貨でトクをしたら確定申告しよう
- 申告が必要なのは「実現をしたトク」だけ
- 「実現したトク」の計算方法・考え方
このあたりの基本的なところを押さえて、「自分は確定申告が必要なのかな?」というアタリをつけることからはじめましょう。
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きょうの執筆後記
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