気になるFAQを総まとめ!仮想通貨でトクしたら確定申告をしよう【実践編】

仮想通貨と確定申告FAQ

”仮想通貨でトクをした分、確定申告をしなくっちゃ。でも、アレはどうしたらいいんだ・・・?”

って、いうこともありますよね。というわけで、仮想通貨の確定申告について、気になることをFAQ(よくある質問と回答)形式でまとめます。

目次

仮想通貨の確定申告を「いざやってみよう!」としたのに迷うこといろいろ

きょうは2018年1月19日。いよいよ確定申告期限も間近となったいま、「仮想通貨の申告どうしよう・・・?」というヒトも少なくないのでは。

ということで、つい先日はこちらの記事を書きました ↓

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上記の記事を要約すると、

  • トクをしたのであれば申告しなきゃダメよ。「バレないかも」なんて考えは、かえって損
  • どんな「トク」が申告の対象になるのか

という、仮想通貨の確定申告について、基礎的なところをお話しました。言うなれば、「机の上のお勉強」です。

本記事ではそれを受けて、「いざ確定申告!」という実際の現場で迷いそうなこと・悩みそうなことをまとめてみます。

以下、興味があるところをツまんでいただければ。

  • 仮想通貨は雑所得なの? 事業所得じゃダメ?
  • 移住して非居住者になったら仮想通貨の申告はしなくていいの?
  • 取得価額は移動平均法なの? 総平均法はダメ?
  • 同じ仮想通貨を複数の取引所で売買している場合は、取引所ごとに取得価額を計算するの?
  • ハードフォークで取得した仮想通貨は申告するの?
  • マイニングにより取得した仮想通貨の収入はどう計算するの?
  • ICOで投資した金額は経費になるの?

 

【注意】

本記事の内容は、投稿日現在の情報にもとづいて書かれています。その後のあたらしい情報による状況の変化には、十分にお気をつけ願います。

 

【問】仮想通貨は雑所得なの? 事業所得じゃダメ?

【答】

基本は雑所得。例外的に、事業所得あるいは譲渡所得。

確定申告の対象になる「所得(≒収入 ー 経費)」は10に分類されます。では、仮想通貨の取引による所得はというと、原則、雑所得に当たります。

節税の観点から「え〜、事業所得がイイよぉ」という声もよく聞かれますが。会社員などが「副業」的に仮想通貨取引をしている場合には、事業所得だとは言えないでしょう。

なぜなら、会社員の生活は給料によって成り立つものであり、仮想通貨取引を「本業(≒事業所得)」だと主張するのにはムリがあります。

会社員など本業がある人にとっての仮想通貨取引は「副業」であって、税法における副業の扱いは「雑所得」なのです。

ですから、仮想通貨による所得を事業所得だと言えるのは、「オレは(わたしは)仮想通貨でメシを食っている!」という人に限られる。ということになります。

なお、譲渡所得に該当するケースはきわめてレアだといえるでしょう。たとえば、どういうわけかたまたまもらった仮想通貨を売りました、みたいな偶発的で単発的なケースです。

ふつうは、売買による利益を目的に取引を繰り返すわけであり(意図的・継続的)、その場合には譲渡所得には当たらない、ということです。

 

【問】移住して非居住者になったら仮想通貨の申告はしなくていいの?

【答】

海外にいるから、非居住者だから日本の税金をしなくてもよい。とは言い切れません。

まず、日本に住んでいる人、いわゆる居住者については、海外での取引も含めて申告が必要です。

日本国内の取引所における取引分に限らず、海外の取引所における分も申告対象です。

いっぽうで。移住をしたような「非居住者」については、「恒久的施設(PEと呼びます)」の有無などを考慮したうえで、申告をする必要があるかないかが決まります。

「なんじゃ、恒久的施設(PE)って?」ということではありますが。たとえば、日本国内で事業をしている場合の事務所などが該当し、この場合には非居住者でも日本の税金がかかるのです。

恒久的施設か否かの判定・判断はケースバイケースで難解なのですが。ここでだいじなことは、「単に海外移住すれば、日本で仮想通貨の申告が必要ない」なんてことは無い、ということです。

そこはくれぐれも慎重にご検討を。

 

【問】取得価額は移動平均法なの? 総平均法はダメ?

【答】

「移動平均法」が基本です。継続的に用いることを条件に、「総平均法」でもOKです。

国税庁によれば、仮想通貨の取得価額は「移動平均法が相当」だと表現しています。移動平均法が望ましい、ということですね。

とはいえ、移動平均法は総平均法よりもメンドーだという一面もあり。お手軽な総平均法で計算したいよ、という人もいることでしょう。

それはそれでかまわないのですが、「継続して適用することを要件に」と国税庁は言っています。

ですから、今年はひとまず総平均法で、来年になったら「やっぱ移動平均法で」というのはダメよ。ということになります。

《補足》移動平均法と総平均法とは

仮想通貨にかかる税金は、「売った値段 ー 買った値段」にかかります。

このとき、買った値段(≒ 取得価額)の計算に使われる方法が、「移動平均法」や「総平均法」になります。言葉で説明するよりも、例題で把握しちゃいましょう ↓

例題)以下のビットコイン取引について。××年5月8日と××年9月3日に売却をするときの、それぞれの1ビットコイン取得価額を求めましょう。

  • ××年3月9日 4ビットコインを 2,000,000円で買った
  • ××年5月8日 1ビットコインを 600,000円で売った
  • ××年6月1日 1ビットコインを 300,000円で買った
  • ××年9月3日 2ビットコインを 1,400,000円で売った
  • ××年1年間におけるビットコインの取引は以上の4取引のみ

上記のように、買って・売ってを繰り返している場合の取得価額(買った値段)を計算します。

まずは、「総平均法」から ↓

《総平均法》

  • (買 2,000,000円 + 買 300,000円)÷(買 4ビットコイン +買 1ビットコイン)= 460,000
  • ××年5月8日の売却時、××年9月3日の売却時ともに、1ビットコインあたりの取得価額は 460,000円

上記のとおり、日本円での購入金額とビットコインの購入数量について、ともに年間合計を使って計算をします。とくに難しいことはありませんよね。

難しくはない反面、1年間が終わってみなければ取得価額を確定できないところが難点です。

これに対して、移動平均法はというと ↓

《移動平均法》

  • ××年5月8日の売却時における取得価額・・・買 2,000,000円 ÷ 買 4ビットコイン= 500,000
  • よって、××年5月8日の売却後は、「3ビットコイン × 500,000」分 が残っている
  • ××年9月3日の売却時における取得価額・・・{(残 3ビットコイン × 500,000)+ 買 300,000円}÷(残 3ビットコイン+買 1ビットコイン)=450,000

総平均法は年間を通じて取得価額は同じなのですが、移動平均法は売却のつど取得価額を計算し直します。

売却前の取得価額(上記算式中の「残」)に、その後の取得金額を加味して、取得価額を計算し直すわけです。

「売却のつど」というのが、総平均法に比べてメンドーなところです。

いずれにせよ、以上のような取得価額の計算を「仮想通貨の種類ごと」に行わなければいけません。

 

【問】同じ仮想通貨を複数の取引所で売買している場合は、取引所ごとに取得価額を計算するの?

【答】

いいえ。取引所ごとではなく、ひとつの仮想通貨については、すべての取引所をまとめて取得価額の計算をします。

仮想通貨の取引所はいろいとあります。bytFlyer、coincheck、Zaifなど。

このとき、たとえばビットコインというひとつの銘柄の仮想通貨を、いくつかの取引所で売買しているならば。

取得価額の計算は、取引所ごとに行うのではありません。売買しているすべての取引所の取引をまとめて計算することになります。

つまり、取得価額の計算は「取引所ごと」ではなく、「仮想通貨の種類ごと」です。取引所が複数で取引が多いと、「うへぇ・・・」といったところではありますが。

同じビットコインという商品なのですから、仕入先(≒取引所)ごとに分けて利益計算するのはちょっとおかしいだろう。ということです。

 

【問】ハードフォークで取得した仮想通貨は申告するの?

【答】

取得しただけならば申告は不要です。取得した仮想通貨を売却するなどの処分時が申告の対象です。

ビットコインを持っていたら、ハードフォークでビットコインキャッシュという仮想通貨をもらっちゃった、という場合。もらっただけであれば申告の対象にはなりません。

ただし、そのようにハードフォークで取得した仮想通貨を売却など処分する場合には、利益が確定するため申告の対象になります。

このときの取得価額はゼロで計算をする、というのがポイントです。おカネを出して買ったのではなく、ただでもらったのだから取得価額はありませんよ。ということですね。

ちなみに、「ハードフォーク」とは、仮想通貨の仕様変更です。詳しい説明は省きますが(というよりよくわからない・・・)、仕様変更により仮想通貨が分裂を起こすのがハードフォークです。

ビットコインのハードフォークにより、ビットコインが分裂してビットコインキャッシュをもらえた。と、そんなカンジです。

これに対し、仮想通貨が分裂を起こさない軽微な(?)仕様変更を「ソフトフォーク」と呼ぶそうです。呼ぶそうです、ってアンタよくわかってないね。はい、わかっていません。すみません。

【参考】エアドロップはどうか?

ある仮想通貨を保有していたら、「その仮想通貨や別の仮想通貨をもらえた」というようなケースをエアドロップと呼びます。天の恵み、無料配布です。

どうしてそんなことが起きるのかはともかく(やはりよくわかっていないわたし…)、税金の扱いとしては「ハードフォーク」で分裂した仮想通貨をもらうのと同じように考えましょう。

 

【問】マイニングにより取得した仮想通貨の収入はどう計算するの?

【答】

マイニングした時点で収入に計上します。「1日のマイニングで取得した仮想通貨 × 1日の平均レート」という計算が妥当です。

マイニングにより仮想通貨を取得した場合、その取得をした時点で収入に計上することになります。つまり、申告の対象です。

このとき、悩ましい問題が発生します。それは、マイニングにより仮想通貨を取得するタイミングは多数回に及ぶ、ということです。

その多数回に及ぶタイミングに対し、常時変動している仮想通貨のレートを紐づけることは困難。というか、ムリでしょう。

ですから、現実的には「その日1日でマイニングにより取得した仮想通貨」に対して、「その日1日の平均レート」を乗じて計算するのが妥当です。

「その日1日の平均レート」については取引所ごとに異なるわけですが、自分で計算の基準にする取引所をどこかに決めて、継続的に適用するのがよいでしょう。

ちなみに「マイニング」とは。性懲りもなく、よくわからないのに説明をすると。

仮想通貨の取引をデータ処理するにあたり、その膨大な処理をお手伝いするのがマイニング。そのお手伝いにより、報酬としてもらえる仮想通貨がある。ということです。

マイニング(採掘)と言っても、どこかの現場でスコップ持って掘るわけではなく。自分のパソコン(の処理能力)を提供するだけのこと。って知ってますか、そうですか。

 

【問】ICOで投資した金額は経費になるの?

【答】

投資した時点では経費になりません。ICOのより取得した仮想通貨を売却など処分したときの取得価額になります。

ICOは、新規株式の上場であるIPOの仮想通貨版です。つまり、新規に仮想通貨を公開するのがICOです。

ICOにより、仮想通貨の発行側は資金を調達、投資側では仮想通貨(あるいはトークン)を取得することになります。

このとき、投資側での投資金額はどうなるかというと、投資した時点で経費になることはありません。

投資金額は、ICOにより取得した仮想通貨(あるいはトークン)の売却などの処分時の取得価額と考えましょう。

なお、別の仮想通貨を使って、ICO投資をするケースがありますが。その別の仮想通貨については「利益が確定する(申告の対象)」点には要注意です。

これは、ある仮想通貨で別の仮想通貨を買うことと同じであり、確定申告の対象になるのです。詳しくはこちら ↓

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まとめ

仮想通貨の取引について、確定申告をする際の気になるFAQをまとめました。

仮想通貨の税務についてはまだまだ過渡期であり、税法の未整備もあります。

今回の記事内容も、いずれ税法の整備により、異なる扱いとなることは十分にありえます。

仮想通貨の確定申告を考える際には、くれぐれも最新の情報を確認するよう努めましょう。

 

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  きょうの執筆後記
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