” 開業するにあたって、絶対に創業融資を受けたい…! ”
と言うのなら。外してはいけない3つの大きなポイントがありますよ、というお話をしていきます。
創業融資を成功させるための3大ポイントとは
晴れて独立開業! が、できるかどうかを左右することもある創業融資。
「銀行からの融資を絶対に成功させたい」というのなら、外してはいけない3つの大きなポイントがあります。こちらです ↓
- あたらしいことを始めない
- 借りるに足る自己資金を準備する
- 大きな計画をつくらない
これらのポイントを外してしまえば、創業融資の成功は遠のきます。逆に、これらのポイントを押さえることができれば、創業融資の成功は近づきます。
創業融資を成功させるために、3つのポイントを詳しく見ていくことにしましょう。
《ポイント①》あたらしいことを始めない
創業融資を成功させるためのポイント1つめ、あたらしいことを始めない。
ここで言う「あたらしい」には、2つの意味があります。「いままでやったことがない」と「いままでにない(世の中にない)」の2つです。
「いままでやったことがない」はダメ
融資における銀行の姿勢は、基本的に「保守的」です。したがって、「あたらしい」に対しては慎重な見方をされることがほとんどです。
これについて極端な例を挙げるなら。つい昨日まで営業マンだった会社員が、「明日からパン屋さんをやります!」というケース。
この会社員にとって、パン屋さんはいままでにやったことがない「あたらしい」ことです。銀行からすれば、「ほんとうに大丈夫なの?」と首を傾げたくなるばかり。
実際のところ、「技術もない・経験もない」というのでは、事業の成功が難しそうだと想像できます。銀行の不安もむべなるかな、といったところでしょう。
いままでにやったことがないという「あたらしい」は、事業の成功はもちろん、創業融資の成功も難しい。押さえておくべきポイントです。
たとえば、営業マン時代のお客さまがパン屋だったので、パン屋の現場も仕事もよくわかっている。休みの日にはパン作りの教室に通っていた、というのであれば話は変わります。
技術もある(パン作り)、経験もある(現場も仕事もわかっている)、熱意もある(休みにパン教室)という「見せ方」が可能です。
融資の申請書類には「経歴」欄があります。ただただ「営業マン」と書くのではなく、上記の技術・経験・熱意がわかる書き方をしましょう。見せ方しだいのケースもあるのです。
「いままでにない(世の中にない)」もダメ
「いままでやったことがない」という「あたらしい」に加えて、「いままでにない」という「あたらしい」も、銀行的には首を傾げるポイントです。
まだ世の中にない、まったくあたらしいサービス・商品を始めるというケースでは、やはり銀行は「ほんとうに大丈夫なの?」と不安になります。
多くの新サービス・新商品が現れては、陽の目を見ずに消えていく… そんな現実もあるのですからしかたありません。
したがって、新サービス・新商品とは別に、経験がある事業や既存の事業もやるのであれば、そちらをしっかり推したほうがよいでしょう。
手堅い事業(経験がある・世の中にある)をベースにして、いままにない新サービス・新商品にもチャレンジします! と言うほうが、銀行的には安心します。
創業者の情熱とは裏腹に、銀行は冷静です。創業融資に関しては、保守的な銀行にどう納得してもらうかという視点をもちましょう。
《ポイント②》借りるに足る自己資金を準備する
創業融資を成功させるためのポイント2つめ、借りるに足る自己資金を準備する。
ここで言う「自己資金」については、2つのことに注意をする必要があります。「自己資金とはなんぞや、を知る」と「自己資金は借りたい金額の半分を用意する」です。
自己資金とはなんぞや、を知る
創業融資を受ける際、自己資金について要件が定められています。
たとえば、日本政策金融公庫の新創業融資制度では、「創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金」を求めています(2018年3月1日現在)。
では、この「自己資金」とはいったいどういうことなのか? これをきちんと理解していなかったがために、創業融資で失敗してしまう人がいます。
よくある失敗例としては、
- 自己資金をタンス預金で貯めていた → タンス預金では自己資金の証明ができない
- 一時的に知人から借りたおカネを自己資金とした→すぐに返すべきおカネは自己資金にならない
- 法人の資本金額を自己資金とした→「資本金額=自己資本」ではない(資本金の出どころが自己資金)
これらは、借りる側が「自己資金だ」と主張しても、貸す側は「自己資金ではない」と判断をするケースです。
自己資金を主張するにあたっては、「誰にも返す必要がない自分のおカネ」であることを客観的に証明できなければいけません。自己資金とはなんぞや、をしっかりと理解しておきましょう。
自己資金は借りたい金額の半分を用意する
ついさきほど、日本政策金融公庫の新創業融資制度の自己資金要件を挙げました。「創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金」という要件です。
実は、これを真に受けてはいけません。額面どおりに受け取れば、自己資金の9倍まで融資してもらえると読めますが、それは非常に希有なケースです。
たとえば、開業前の実績がスゴい、創業者のネームバリューがスゴいなど。希有な条件がそろってはじめての9倍です。
では、一般的にはどうなのか? 借りたい金額の半分の自己資金、といったところです。200万円借りたいのであれば、その半分の100万円の自己資金を用意する。
もちろんケースバイケースですから、自己資金の3倍借りられた、5倍借りられた、ということもありますが。「一般的には」、借りたい金額の半分の自己資金を用意する、というのが現実的です。
ちなみに。銀行にとって、自己資金の金額には2つの意味合いがあります。「保証」と「覚悟」です。
融資をする金額に対して、自己資金があるほうが返済面では安全です(保証)。また、自己資金をしっかりと貯めていた人には、創業に向けての覚悟が感じられます。
自己資金が無い、では創業融資の成功は難しくなることを覚えておきましょう。
《ポイント③》大きな計画をつくらない
創業融資を成功させるためのポイント3つめ、大きな計画をつくらない。
ここで言う「大きな計画」には2つの意味があります。「大風呂敷を広げた計画」と「創業資金が大きすぎる計画」です。
「大風呂敷を広げた計画」は嫌われる
創業融資を受ける際には、創業計画書を作成することが求められます。向こう2年ていどの売上や利益、資金の計画です。
このとき、売上や利益が増加一辺倒になるような、右肩上がりが過ぎる計画はいけません。
いわば、「大風呂敷を広げる」ような計画は、その実現可能性を銀行から疑われるばかりです。銀行は「保守的」だというのは、前述をしたとおりです。
売上や利益が大きければいい、というものではありません。むしろ、創業融資における計画については、経費支払額と返済金額ができるだけの売上・利益があればいいのです。
ですから、まずは経費支払額と返済金額を計画してみましょう、そこからの逆算で、経費と返済の支払いに必要な利益金額と売上金額を計算します。
こうして計算された売上金額で、創業計画書としてはじゅうぶんです。それ以上の売上や利益は、「余分」になります。その余分が、大風呂敷に見えてしまうのです。
「売りたい金額(売上金額)」から計画をはじめると、大風呂敷を広げがちになることを覚えておきましょう。経費・返済額から「売らなければいけない金額」を逆算しましょう。
保守的な計画が正しくて、上昇志向的な計画書が誤り、というわけではありません。あくまで、対銀行に関しては、保守的であるべきというだけです。
銀行への計画書は「必達目標(保守的)」として、それとは別に会社内部には「努力目標(上昇志向的)」としての計画書。そういう位置づけで考えるのがよいでしょう。
「創業資金が大きすぎる計画」は難しい
創業資金(開業に必要な経費・設備にかかるおカネ)が大きい計画になると、一般に創業融資を受けることが難しくなります。
たとえば、前述した日本政策金融公庫の新創業融資では、「創業資金が大きい」の目安としては、都心部で 1,000万円です。都心を離れて地方となると、それよりも少ない金額が目安になります。
「創業資金が大きい」ということは、「事業規模が大きい」こととイコール。はじめて事業をするのに、事業規模が大きいことはリスクだと日本政策金融公庫は捉えているのです。
したがって、小さくはじめて大きく育てるのが理想です。
とはいえ、業種や業態によっては、あるていどの創業資金が必要になることもあるでしょう。その場合には、2つの銀行を組み合わせる協調融資を検討するなどの策を講じることになります。
いずれにせよ、創業資金が大きい計画ほど、創業融資の難易度が上がることを押さえておきましょう。
まとめ
絶対成功したい創業融資で外してはいけない3大ポイントについてお話をしてきました。
タイミングで言えば、いちどきりの創業融資です。失敗のないように、3つのポイントを押さえておきましょう。
- あたらしいことを始めない
- 借りるに足る自己資金を準備する
- 大きな計画をつくらない
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きょうの執筆後記
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