” なんか銀行から「従業員」のこと、いろいろ聞かれたんだけど ”
「人材」は、会社・事業の成長・存続にとってだいじな要素ですから銀行も気にしています。というわけで、銀行が見ている「融資先の従業員」のこんなところ、についてお話をします。
銀行は見ている!「融資先の従業員」のこんなところ
銀行が融資先(あるいは融資検討先)について、「決算書」を重視しているのはご存知のとおりです。つまり、「数字」を重視。
けれども、数字ばかり、数字だけというわけでもなく。「その他」についても、見ているところがあります。
そのひとつが、「融資先の従業員」について。
従業員は「人材」であり、「人材」は会社・事業の成長・存続に欠かすことができないだいじな要素だから。銀行は、従業員に注目をしているのです。
従業員が良い → 会社・事業が成長しやすい → 銀行にとっての良い融資先。カンタンに言えば、そんなイメージでしょう。
それでは。銀行は「従業員の良さ」を、どのようなところで見ているのか。おおむね、次の10項目になります ↓
- 雰囲気の良さ
- 身なりの整い方
- 入退職の状況
- 経営者への信頼
- 給与水準の高さ
- トイレのきれいさ
- 電話・来客の応対
- 身の回りの整理整頓
- 掲示物の内容
- 教育・福利厚生の充実度
それでは、このあと順番に見ていきましょう。
① 雰囲気の良さ
会社のなかや、事務所・工場のなかに入ったときに、感覚的にわかる「雰囲気」というものがあります。
明るい雰囲気もあれば、暗い雰囲気もあるでしょう。活気に満ちた雰囲気もあれば、粛々とした雰囲気というものもあるでしょう。
いずれにせよ、その雰囲気が「良い」たぐいのものなのか、「悪い」たぐいのものなのか。現場に訪れた銀行員は、感じ取ろうとしているものです。
経営者や従業員にとっては「いつもどおり」の雰囲気であったとしても、あらためて客観的に雰囲気の良し悪しをチェックできるようにしましょう。
もちろん、チェックするだけではなく、その原因分析や改善が必要であることは言うまでもありません。
② 身なりの整い方
従業員の身なりについても注意が必要です。服装がだらしない、身だしなみができていないなど、従業員の外面から会社の内面は見えるものです。
従業員の身なりが乱れているということは、会社内部のルール・規律が無い、あるいはそれらが機能していないことを表しています。
ひいては、経営者のマネジメント能力を問われることにもなりかねません。
そのような会社が好まれないというのは、なにも銀行に限ったハナシではないでしょう。
従業員ひとりひとりが、会社の「顔」としての一面を持っています。従業員の身なりを徹底しましょう。
ちなみにふさわしい「身なり」というのは、業種や職種、会社ごとに異なる部分もあります。だいじなことは、それが、会社全体として「統一感」を維持できているかどうかです。
③ 入退職の状況
頻繁に従業員が退職しているような会社は要注意。銀行はそういう目で見ています。
原因はさまざまあるのでしょうが、従業員が定着しなければ、世代交代も進まず、会社・事業を安定的に成長・継続させることは困難になるからです。
また、経理・財務に関わる従業員の入退職については、銀行はさらに敏感です。
なぜなら、会社がマズい(潰れそう、とか)という状況になると、財務内容をいちばん把握している経理・財務の担当者が真っ先に逃げ出す傾向にあるからです。
したがって、従業員の入退職については、銀行に対してていねいに事情を説明するのがよいでしょう。
ひとつのテクニックとして。経理・財務担当者が退職する際、いちど配置転換をしてから退職、という方法があります。
これであれば、銀行に対しても「◯◯さんは、配置転換で別部署に移ったので」とのハナシで、深い追及を避けやすくなります。
④ 経営者への信頼
経営者は、従業員から信頼されているのがよい。これについてとくに異論はないでしょう。
ゆえに銀行も、融資先の経営者が、従業員から信頼されているか否かをはかろうとしています。
はかり方としては、従業員の話しぶりや所作などから、という方法が挙げられます。
銀行員も、従業員と接する機会(電話、訪問時など)はあるわけですから、そこで経営者に関することが話題にのぼることはあるでしょう(グチや不平不満など)。
また、従業員が経営者に接する態度(所作・言葉遣いなど)も、経営者に対する思い・信頼感があらわれるところでしょう。
これらは一朝一夕にできあがるものではありませんので、常日頃から経営者は気にかけておくべきポイントです。と、言うは易く行うは難しでもあります。
⑤ 給与水準の高さ
銀行はおおむね、同業他社の給与水準をつかんでいるものです。
あわせて、融資先の従業員の給与が同業他社の給与水準に比べて高いか低いか、ということについては一定の関心をもっています。
高ければいいというわけでもありませんし(財務的にきびしくなる)、低ければ従業員のモチベーションにも影響しかねません。能力のあるヒトほど、退職しやすくなると考えられるからです。
いずれにせよ、銀行は心配なのです(ちょうどいい、という場合を除く)。
よって、自社の給与体系や昇給などについての考え方は、銀行にも話をするのがよいでしょう。銀行の心配を軽減するのに役立ちます。
⑥ トイレのきれいさ
トイレが汚い会社は、従業員のモラルや社風、経営者の管理能力などが疑われることになります。
自宅のトイレはきれいに使えるのに、会社のトイレはきれいに使えない。みんなで使うものをだいじにできないヒトがいる会社は不安でしょう。
また、誰かが汚してしまったトイレを放置しているヒトたちがいる会社もまた不安です。
汚れやすい場所だからこそ、きちんと管理できているのかを見られることになります。銀行員は、ただただ用を足しに会社のトイレを借りるわけではありません。
⑦ 電話・来客の応対
銀行が接するのは、会社の経営者や経理・財務担当者ばかりではありません。電話・訪問時などには、その他の従業員とも接点が出てきます。
そのなかで、従業員の身なり、言葉遣いや所作、など「応対」全般を見られています。
いわゆる「お客さま」にはていねいな応対をしているのに、銀行は「業者」扱いでぞんざいな応対をしている会社もあります。
そのあたりを、意外と経営者は気づいていなかったりもするものです。
一事が万事。相手を見て態度が悪くなるような会社が、お客さまをだいじにできるのか? あらためて、従業員の応対を確認する必要があります。
たとえば、飛び込み営業、電話営業など。これらを断ること自体は「応対」の問題ではありません。問題は、断り方です。
いつもはていねいなのに、相手が「業者」だとわかると、とたんに言葉遣いも態度も横柄になる。どっちが「ほんとうのあたなの?」ということです。
⑧ 身の回りの整理整頓
ぱっと見渡してみて、社内が整理整頓がされているかどうか、ということを銀行は見ているものです。
従業員のデスクには書類のヤマ、通路にはダンボール箱が積まれている、というのでは「この会社だいじょうぶかな?」と不安にもなるでしょう。
また、面談時などに、経営者や経理・財務担当者が手にしている書類・資料が整理されていない、というのも気になります。
ファイリングされていない書類の束を「とりあえず関係ありそうなものを一式持ってきました」みたいなことはやめるようにしましょう。
経営面・財務面についての管理能力まで疑われることになりかねません、
⑨ 掲示物の内容
銀行員は、融資先の社内では「掲示物」にも注意を払っているはずです。エントランス、通路、掲示板、会議室、などなど。掲示物はいろいろなところに貼られています。
もし、剥がれかかっている掲示物や古すぎる掲示物(終わったイベントの案内とか)があれば、気の利かない社風だと感じたり、管理能力の低さを感じることでしょう。
社内のヒトは気が付かなくても、銀行など外部のヒトは気がつくものですから注意が必要です。
また、掲示物の内容から、会社や経営者の考え方・方向性などが見えるという部分もあります。経営理念や社訓、営業成績、表彰、などなど。
銀行のためということではなく、ふだんから「意図のある掲示」を検討しましょう。あるべきだいじな掲示物がない、あるいは埋もれている、などということもあるものです。
⑩ 教育・福利厚生の充実度
従業員を育てる、従業員を定着させるというような観点から、「教育・福利厚生」について銀行は注目をしています。
教育として社内・社外研修などはやっているのかな、福利厚生として社員旅行などのイベントはあるのかな。このあたりは、前述の掲示物から読み取れることもあります。
また、決算書や試算表の「教育研修費」「福利厚生費」などの金額から推測をする。あるいは、その内容についてヒアリングをしてみる、ということもあります。
このように、教育・福利厚生は、銀行の関心事でもありますから。聞かれずともこちらからお話をする・説明をする、というのがよいでしょう。
従業員(人材)に対する会社の姿勢・取り組みは、銀行からの評価につながります。
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まとめ
銀行が見ている「融資先の従業員」のこんなところ、についてお話をしてきました。
銀行は、決算書の数字ばかりを見ているわけでも、経営者ばかりを見ているわけではありません。
従業員もまた見られているのだ、ということを覚えておきましょう。ときとして、融資の可否にかかわります。
- 雰囲気の良さ
- 身なりの整い方
- 入退職の状況
- 経営者への信頼
- 給与水準の高さ
- トイレのきれいさ
- 電話・来客の応対
- 身の回りの整理整頓
- 掲示物の内容
- 教育・福利厚生の充実度
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きょうの執筆後記
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