フリーランスがやるべき『現金預金残高』の毎月チェック法

フリーランスの現金預金残高チェック法

” やった、売上増えた!” ” やった、利益増えた! ”

って、それだけじゃダメですよ。おカネが増えたかどうか、もきちんと見ましょう。フリーランスがやるべき「現金預金残高」の毎月チェック法についてお話をします。

フリーランスは「売上・利益」ばかりではなく「おカネ」を見よ! のワケ

フリーランスと切っても切れない間柄にある「経理(帳簿づけ)」。

そんな経理について、毎月やるべきことのひとつに「おカネは前月よりも増えた?減った?」のチェックが挙げられます ↓

CHECK! フリーランスの経理で毎月末にやるべきことチェックリスト10

ちなみに。ここで言う「おカネ」とは、仕事用の現金・預金だけではなく、プライベートの現金・預金を含めます。

要するに、じぶんが持っている「すべてのおカネ」の増減をチェックします。

ではなぜ、「すべてのおカネの増減チェック」がだいじなのでしょうか? その理由は、次のとおりです ↓

おカネの増減がだいじなワケ
  • 仕事するにも生活するにも「おカネ」が必要だから
  • 売上や利益の増減と、おカネの増減はおなじではないから
  • フリーランスの財布は仕事とプライベートで分かれていないから

以上のとおり。仕事にしても生活にしても、先立つものはおカネです。だから、おカネがどれくらいあるかは知っておかねばなりません。

また、売上や利益があっても、おカネがない! ということはあり得ることです(下記「参考」参照)。売上や利益があるから、と安心はできません。

そして、フリーランスの財布は実質的にひとつです。会社の経理とは違い、仕事用のおカネとプライベート用のおカネが行き来することに制限はありません。

ゆえに、「すべてのおカネの増減チェック」がだいじだ、と言えるのです。

そこでこのあとは、具体的なチェックの方法について、見ていくことにしましょう。

【参考】「売上や利益の増減と、おカネの増減はおなじではない」とは?

たとえば、商品を 100円で売り上げたが、代金はツケにしている(売掛金)。この場合、「売上高 100円」として経理をするので、結果として、利益は 100円増えます。

ところが、おカネはまだもらっていません。おカネが増えるのはツケを回収したときです。このように、利益とおカネが増えるタイミングはおなじではないのです。

仕入とツケ払いについては、逆のことが起こります。さきに利益が減って、あとからおカネが減ります。

また、生活費や借入金の返済(利息以外の元金分)ではおカネが減りますが、経費ではないので利益は減りません。というわけで、利益の増減とおカネの増減がズレる理由はさまざまです。

 

これはカンタン! おカネの増減をチェックする方法

それでは、「おカネの増減」をチェックする方法を見ていきます。

と言っても、それほど難しいことはありません。次の手順でやってみましょう ↓

おカネの増減チェック法
  1. 月末に手元の現金を数える
  2. 仕事・プライベート用問わず、すべての預金の月末残高を確認する
  3. ①と②を足して、「すべてのおカネの残高」を計算する
  4. 毎月末の③の金額を記録し続けて、増減の推移をチェックする 

と、こんなカンジです。ここまでは、カンタンですよね。

エクセルで記録して、毎月のおカネの残高を折れ線グラフなどにしておくと、視覚的にもわかりやすくてよいでしょう。

毎月のおカネの残高をチェックし続けることで、だいじなおカネが増えているか・減っているかを把握することができます。

さて、ここからもうひとつ。だいじなことがあります。

さきほどの「おカネの増減」を、売上や利益の増減と比較しながら見てみましょう。すると、

おカネの増減における違和感
  • 売上や利益は増えたのに、おカネは減った
  • 売上や利益が増えたほどには、おカネは増えていない
  • 売上や利益は減ったのに、おカネは増えている
  • 売上や利益が減ったほどには、おカネは減っていない

などの「違和感」に気がつくケースがあります。これは、前述したとおり、「売上や利益の増減」と「おカネの増減」とは、必ずしも一致をしないからです。

このような違和感があるときは、もういちど通帳(ネットバンクならネットの取引履歴)を開きます。

そして、前月末と当月末のあいだに記録されている取引を眺めて、どのようにしておカネが増減したのかを確認してみましょう。

はじめはピンとこないかもしれませんが、それでも毎月続けていると、「おカネの流れ(入金 ー 出金 = おカネの増減)」をイメージできるようになるはずです。

さらに、その「おカネの流れ」を、「利益の流れ(売上 ー 経費 = 利益の増減)」と比べることで、「利益の増減」と「おカネの増減」との違いも見えてきます。

ここまでできれば、だいじなおカネが増えているか・減っているかを、より深く把握できたことになります。

というわけで。日常の経理では、売上や利益の計算ばかりではなく、おカネのチェックまでやるようにしましょう。

【参考】慣れたら「資金繰り表」もつくってみよう

通帳を見て、「おカネの流れ(入金 ー 出金 = おカネの増減)」をイメージする。この「おカネの流れ」を、きちんとカタチにしたものが、いわゆる「資金繰り表」です。

通帳を見るのに慣れてきたら、「資金繰り表」の作成にもチャレンジしてみましょう。おカネの流れがよりクリアになります。

CHECK! 自分ではじめる!エクセルでカンタン資金繰り表のつくり方

 

おカネの増減を「もっときちんと」チェックする方法

以上、おカネの増減チェック法でした! で終わってもよいのですが。まだもう少し「続き」があります。

もし、向こう1年分の生命保険料 120,000円を「年払い」するのにおカネを払ったら?

手元のおカネは 120,000円減りますね。では、「年払い」せずに「毎月払い」だったら? 手元のおカネは 10,000円だけ減ります。

これについて、「おカネの残高」だけを見ていると、「年払い」か「毎月払い」かでだいぶフンイキが変わってしまいます。

つまり、「年払い」にしていると、その支払月には、おカネがドーンと減ったように見えてしまう。「毎月払い」なら、ドーンとは減らず、毎月10,000円ずつ同じように減ります。

年間で 120,000円の保険に入っている、という状況は同じにもかかわらず。年払いか毎月払いかで、おカネの残高には大きな差が出てしまいます。

これを、解決する方法はないものか? というのがここからのお話です。

「未回収・前払い」をプラスする

解決方法は、「おカネの残高(現金+預金)」だけではなく、「前払いしたおカネをプラスして見る」ことです。

具体例でいうと、

  • 今月末のおカネの残高は 1,000,000円
  • 今月、年払いの生命保険料 120,000円を支払っている

→ 1,000,000 + (120,000 − 120,000 × 1/12)=1,110,000円

上記について補足をすると。今月支払った 120,000円のうち 来月以降の11ヶ月分 110,000円は「前払い」です。いわば、保険会社への「貯金」みたいなものです。

したがって、おカネの残高 1,000,000円と似たようなものとして加算します。結果、1,110,000円。

いっぽうで毎月払いをしたときには、おカネの残高は 1,110,000円(1,000,000 + 120,000 − 10,000)ですから、ともに 1,110,000円で一致します。

これなら、年払いだろうと毎月払いだろうと、同じように見ることができます。

だから、「おカネの残高(現金+預金)」だけではなく、前払いしたおカネをプラスして見るようにしよう。というハナシです。

ほかにも、住民税や社会保険料、年会費などが該当します。金額の大きさ・インパクトを考慮して、加算するかどうかを検討するとよいでしょう。

あまり小さな金額まで拾っても労多くして功少なし、ですから。

年払いをした月の翌月はどう見るか?

本文中の具体例について、年払いをした月の翌月以降は次のように計算して見るようにします ↓

  • 翌月 ・・・ おカネの残高 +(120,000 − 120,000 × /12)
  • 翌々月 ・・・おカネの残高 +(120,000 − 120,000 × 3/12)
  • 以下同様に続く

このように、「いくら前払いしているか」という金額を管理しておくことが必要です。

この点で、仕事に関する前払いであれば、試算表から「前払費用」などの毎月末の金額を直接拾えばOKです(前払費用で経理処理をしていれば、ですが)。

しかし、生命保険料のようにプライベートに関する前払いは、別途管理しなければいけません(わたしはエクセルで一覧表にしています)。

前払いと似たハナシとして、「未回収のおカネもプラスして見る」ようにしましょう。たとえば、売掛金(売上代金のツケ)。

同じ 100,000円の売上でも現金売上だと、おカネの残高は 100,000円増えますが。掛売上だと、おカネの残高は増えません(回収したときに増えます)。

よって、売上 100,000円という状況は同じにもかかわらず、見た目に差が出てしまうことになります。「年払い」のハナシといっしょです。

ということでやはり、未回収のおカネがあれば、「おカネの残高(現金+預金)」にプラスをして見るようにしましょう。

「未払い」はマイナスする

「未回収」はプラスをするのであれば、その裏返しとして、「未払い」があればマイナスをすべきでしょう。

具体例としては、買掛金、外注費の未払金、クレジットカードの未引落額などです。

これらは、もし現金・預金払いをしていれば「おカネの残高」が減っていたはずのものですから。状況を同じくするために、「おカネの残高」からマイナスをするわけです。

「おカネの残高 + 前払い・未回収 − 未払い」の推移をチェックする

前払い・未回収があれば、おカネの残高(現金+預金)にプラスする。未払いがあれば、おカネの残高からマイナスする。というハナシをしてきました。

結論として、「おカネの残高 + 前払い・未回収 − 未払い」。この推移もチェックするようにしましょう。

「おカネの残高」だけを見ていると、前払い・未回収が多いときには、「なんかおカネが少ないなぁ」ということになってしまいます。実際はそうでもないのですけれど。

また、「未払い」が多いときには、「思ったよりもおカネが残っているなぁ(使ったはずなのに)」ということになってしまいます。やはり、実際はそうでもないのですけれど。

というわけで。「おカネの残高」の推移をチェックするのとは別に、「おカネの残高 + 前払い・未回収 − 未払い」の推移もチェックしましょう。

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まとめ

フリーランスがやるべき「現金・預金残高」の毎月チェック法についてお話をしてきました。

経理をしたあと、売上や利益の数字ばかりを見て終わっているヒトが少なくありません。売上が増えた(減った)! 利益が増えた(減った)! 以上。

けれども、売上や利益の増減と、おカネの増減とは別モノです。

仕事にも生活にもだいじな「おカネ(現金・預金)」の増減にも、あらためて目を向けるようににしましょう。

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