借りなさすぎの典型『運転資金分の融資すら受けていない』と資金繰りはツラくなる

借りなさすぎと運転資金分の融資

” あぁ、なんかいつもおカネが無い。資金繰りがツラい… ”

それってもしかして、借りなさすぎかもしれません。まずはいますぐ、「運転資金分の融資」を受けているか確認をしましょう。

運転資金を知らぬ者は借りなさすぎて苦労する

「あぁ、なんかいつもおカネが無い。資金繰りがツラい… 」と言うのであれば。

それは、「借りなさすぎ」かもしれません。

本来であれば、融資を受けておくべきところ、あるいは、受けておいたほうがいいところで融資を受けていない。

結果、会社・事業がピンチに耐えるチカラが弱まります。また、成長のチャンスを逃す可能性が高まります。これらは「借りなさすぎ」によるデメリットです。

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そんな「借りなさすぎ」にも、いくつかケースがありますが。

なかでも、もっとも多い・もっともよく見かけるのが「運転資金分の融資を受けていない」

はて、ウンテンシキンとな? と言うのであれば注意が必要です。

もっと早く借りておけばよかった… ということがないように。いまのうちに「運転資金」について押さえておきましょう。

このあと、運転資金とはなんぞや、運転資金分の融資を受けるにあたってのポイント、などをお話していきます。

 

そもそも「運転資金」とは

運転資金分の融資を受けていないと「借りなさすぎ」になってしまう、と前述しました。

では、そもそも「運転資金」とはなんなのか? これを確認しておきましょう。

運転資金の定義と算式

まず、サラッとひとことで言うとこうなります ↓

運転資金の定義

運転資金とは、事業・しごとを続けていくにあたって必要になるおカネ

言葉のうえでの「運転資金とは」については以上、なのですが。

これでは抽象的すぎてわかりませんので、こんどは具体的な算式にしてみます ↓

運転資金の算式

運転資金 = 売上債権 + 在庫 − 仕入債務

  • 売上債権 = 売掛金 + 受取手形
  • 仕入債務 = 買掛金 + 支払手形

これなら、運転資金を「金額」でもって表現することができます。しかも、カンタンな加減算です。

手形取引はないよ、ということであれば。運転資金は「売掛金 + 在庫 − 買掛金」の算式になります。

あとは、売掛金・在庫(たな卸資産)・買掛金の金額を、決算書や試算表から抜き出して算式に当てはめるだけです。

運転資金を実際に計算してみる

ここで実践。実際に運転資金を計算してみましょう。こちらの例題を使います ↓

運転資金の具体例

【問】決算書に記載された次の情報から、運転資金の金額を求めよ

  • 売掛金 300万円
  • たな卸資産 200万円
  • 買掛金 250万円 

【答】運転資金 = 300万円 + 200万円 − 250万円 = 250万円

前述した「運転資金の算式」に金額を当てはめて計算すると、運転資金は 250万円になります。

運転資金の定義がわかった、算式もわかった。運転資金の金額を求められるようになった。めでたし、めでたし。では困ります。

その「運転資金の金額」がなんだというのか? なにを意味しているのか? これがわからなければ、せっかくの運転資金も宝の持ち腐れというものです。

運転資金が意味するもの

運転資金の意味を理解するために。さきほどの具体例の【答】を再掲します ↓

【答】運転資金 = 売掛金 300万円 + たな卸資産 200万円 − 買掛金 250万円 = 250万円

このうち、まず「売掛金」について。ひとまず、たな卸資産と買掛金のことは忘れましょう。売掛金しかない、と仮定します。

で、売掛金とは。売り上げてはみたものの、まだおカネはもらっていない。入金待ちになっている金額が「売掛金」です。

具体例で言えば、300万円(売掛金)が入金待ちになっているということになります。

いっぽうで、事業・しごとをしていれば、いま支払いをしなければいけないものもあります。仕入や経費です。

売掛金の入金を待って支払いたいところですが。相手に支払いを待ってもらえないのであれば、手元にあるおカネで支払うしかありません。

これは、入金待ちのおカネに先立って、じぶんのおカネで立て替え払いをした。と見ることができます。

というわけで、運転資金が意味するところはこういうことです ↓

運転資金の意味

これから受け取ることができるおカネに先立って、じぶんが「立て替えている」金額

したがって、細かいことをはしょりにはしょって、ほんとうにひとことで「運転資金の意味」を表現するのであれば。

運転資金とは、立替金だ。ということになります。

立替金とは。文字どおり、先にじぶんが身銭を切って、おカネを立替払いしている金額。立替金がある、立て替え払いをしているというのは「ツラい状況」なのです。

ここで、ひとまず忘れていたたな卸資産と買掛金を呼び戻しましょう。

たな卸資産とは、お客さまに売り上げるために仕入れた商品などです。これから売り上げて、いずれおカネに替わるまでの入金待ちの金額ですから、売掛金と同様だと言えます。

よって、運転資金の算式上、売掛金に加算をしています。

これに対して、買掛金は、売掛金の逆バージョンです。ゆえに、運転資金の算式上、売掛金から減算をしています。

こうして計算された「運転資金の金額」が、じぶんが立て替え払いをしている金額であり。ツラい状況にしている原因だ、ということになります。

 

ツラい運転資金は「銀行融資」で手当する

運転資金の金額が大きいほど、立て替え払いをする金額が大きく、会社・事業の資金繰りはツラくなります。

また一般に、売上増加傾向のときには、運転資金の金額も増加します(運転資金の算式で試算をしてみるとよくわかります)。

売上が増えているのにおカネがない… のは運転資金の増加が原因なのです。

このような運転資金の問題を解決する手段が「銀行融資」。

じぶんが立て替え払いをしている金額分は、銀行から借りて手当てしましょう。これでツラかった資金繰りも改善します。

運転資金は借りられるのか

運転資金を銀行から借りろ、と言うけれど。銀行から借りれるものなのか?

借りれます。運転資金分の融資は、銀行から見た場合には「貸しやすい」融資だとも言えます。

なぜなら、貸したおカネの回収可能性が高いからです。

運転資金を構成する「売掛金」は、すでに売上が実現して金額が確定しています。あとは確定した金額の入金を待つばかりです。

また「たな卸資産」は、売れると見込んで買った商品などの金額です。その金額分の価値はあるのですから、売却・換金すればおカネは回収できるはずです。

そんな売掛金とたな卸資産から、買掛金をマイナスした金額。つまり、「運転資金」は金額的な価値も明確で換金性も高い。

よって、銀行から見れば、運転資金分の融資は「安全」であり、融資をしやすいのです。

にもかかわらず。

会社・事業の決算書(貸借対照表)を見たときに。この「運転資金分の融資(借入金)」が見当たらないことがあります。

この場合、その会社・事業では、手元のおカネである「現金預金」を使って対応していることになります。だからおカネがなくて、タイヘンな思いをしています。

運転資金分の融資があれば、その分だけ手元のおカネには余裕があるはずなのに。前述した具体例の会社で言えば、実に 250万円も手元資金に差が出ます。

おカネが無いなぁ、と言うのなら。借りなさすぎになってはいないか、運転資金分の融資を受けているか、すぐに確認をしましょう。

運転資金の融資を受けるときのポイント

運転資金分の融資は、銀行から見て「貸しやすい」融資だと言いました。

ところが、それでも銀行が貸し渋る、というケースがあります。それは、以下のケースです ↓

  • 不良債権が疑われる売掛金がある
  • 架空売上が疑われる売掛金がある
  • 不良在庫が疑われるたな卸資産がある
  • 粉飾決算が疑われるたな卸資産がある

本来、入金の確実性が高い売掛金だが、なんかアヤシイ。本来、それだけの市場価値があるはずのたな卸資産だが、なんかアヤシイ。

というのが上記のケースです。売掛金やたな卸資産がアヤシイのであれば、安心しておカネを貸すことができません。

だから銀行は、税務申告書・決算書などを見ながら、売掛金やたな卸資産のなかにアヤシイものがないかをチェックしているのです。

決算書を見て、売掛金・たな卸資産が「アヤシイ」と疑われそうなのであれば、その説明(弁明)をすることが必要になります。

銀行も「アヤシイことしてますよね?」などとは聞いてきませんから、そんな銀行の思いを読んで、こちらからハナシをしなければなりません。

銀行の思いを読むことができるように、銀行の考え方についても押さえておくことをおすすめします ↓

CHECK! 銀行に粉飾を疑われないように気をつけたい貸借対照表5つのポイント

【参考】運転資金分の融資を受けるときの注意点

実際に銀行から融資を受けるときには、「短期・期限一括返済」でお願いをしましょう。そのうえで、期限には再度、運転資金のようすを見ながら借り直します(更新)。

これが「長期・毎月分割返済」となってしまうと、手元のおカネは減り続けていきますから運転資金を借りた意味がありません。銀行も、そのような説明をすれば理解をしてくれるはずです。

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まとめ

資金繰りをラクにするための「運転資金分の融資」についてお話をしてきました。

「あぁ、なんかいつもおカネが無い。資金繰りがツラい… 」と言うのであれば。「借りなさすぎ」かもしれない、と考えてみましょう。

「借金=悪」の固定観念が強すぎると、しなくてもいい資金繰りの苦労をすることがあります。

 

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