担保無し・保証協会の枠も無し…なら『預金』でプロパー融資を狙う

預金でプロパー融資

” 融資を受けたいけれど。決算は赤字、不動産担保も無い、保証協会の枠も無い… ”

となると、困りますよね。というわけで、そんなときには「預金」をよりどころにしたプロパー融資を狙ってみましょう。というお話です。

目次

決算赤字・担保無し・保証協会の枠も無し、でもまだあきらめない

会社・事業で必要なおカネについて。銀行が融資をしやすいのは、おもに次のようなケースです ↓

“銀行から融資を受けやすいケースの例”
  • 決算が黒字
  • 信用保証協会の保証付きの融資
  • 不動産などの担保がある

決算が黒字なら「返済力あり」と見て、安心をして融資ができます。

決算がイマイチだとしても。信用保証協会の保証付きであれば、回収不能になっても銀行が負うリスクは小さい。ゆえに、融資をすることも考えられます。

また、不動産などの担保があれば。万が一の場合の保全ができていますから、やはり、融資をすることも考えられます。

ところが。

決算は赤字、保証協会の枠もいっぱい(保証協会付き融資には上限枠があります)、不動産担保もない、となると。それはもう、銀行は融資をしづらくなるものです。

ただ、そんなときにでも。「もしかしたら融資が受けられるかも」の可能性を見いだせるものとして、「預金」が挙げられます。

そう、会社や個人事業者が、銀行に預けている「預金」です。

と言っても、預金を担保に差し出して…ということではありません。「預金の存在・口座の存在」をうまく使って、融資を考えてもらおうというものです。

そこで、「預金」をよりどころにして、銀行からプロパー融資(保証協会の保証がない銀行単独の融資)を引き出すための考え方について、このあとお話をしていきます ↓

“「預金」でプロパー融資を引き出す考え方”
  • 平均的な預金残高を担保のように見てもらう
  • 毎月の売上入金を担保のように見てもらう
  • 売上入金口座を移して、返済原資と見てもらう

それでは、このあと順番に見ていきましょう。

 

「預金」でプロパー融資を引き出す 3つの考え方

《考え方①》平均的な預金残高を担保のように見てもらう

融資をお願いしようとする銀行に「預金」があるのであれば。その預金残高を、担保のように見てもらう、という考え方があります。

預金残高はそのときどきで増えたり減ったりしているわけですが。

たとえば、平均的に見て 500万円以上の残高がある。残高が 500万円を割ることはない、というのであれば。その預金残高は、預け先の銀行にとっては担保のようなものですよね。

500万円以上の金額を、いつでも返済に充ててもらうことができる、と考えれば。銀行は、500万円分の保全ができたと考えることができるでしょう。

したがって、平均的に預金残高がある銀行に対しては、「預金の残高」をよりどころにして、プロパー融資をお願いしてみるという方法があります。

これとは反対に、融資を受けている銀行には預金を置かないほうがいい、という考え方もありますが(万が一のときには預金を押さえられちゃうとか、実質金利で損をするだとか)。

しかし、「じょうずに融資を引き出す」という点では、まったくもって間違っています。

おカネを借りようとしている銀行・おカネを借りている銀行にこそ預金を置くこと。銀行が「貸しやすい」と思える状況をつくることが大切です。

《考え方②》毎月の売上入金を担保のように見てもらう

お客さまからの売上代金が入金される預金口座であれば。その「入金額」を、担保のように見てもらう、という考え方もあります。

たとえば。毎月平均的に 1,000万円ていどの売上代金の入金がある、というのであれば。その入金金額は、入金先の銀行にとっては担保のようなものですよね。

いざとなったら、1,000万円の売上入金を差し押さえることもできる、と考えれば。銀行は、1,000万円分の保全ができたと考えることができるでしょう。

したがって、平均的に売上入金がある銀行に対しては、「預金の入金額」をよりどころにして、プロパー融資をお願いしてみるという方法があります。

このように、融資を受けている銀行の預金口座で、日々の取引(とくに売上入金)をしていると。銀行は、融資先の状況を把握しやすく、融資を検討しやすくなります。

また、メインバンクとして資金を支えよう、との動機も生じるはずです。結果、決算書が振るわなくても、融資を受けられる可能性が高まります。

ちなみに、融資残高ばかり大きくて、日常の取引はさっぱり無い、という銀行について。ほんとうの意味での「メインバンク」とは呼べません。

一般には、融資残高がもっとも大きい銀行を「メインバンク」と呼びますが。当事者の銀行としては、「借りるときだけ言い寄られてもねぇ…」といったところでしょう。

つまり。預金残高の大きい銀行から、あるいは、日常の取引量が多い、よその銀行から借りてくれ。そのように、思われてしまうわけです。

銀行との信頼関係を築くなら、「融資残高の大きさ」と「口座内での取引量」はバランスをとるのも重要であることを覚えておきましょう。

《考え方③》売上入金口座を移して、返済原資と見てもらう

いままで別の銀行の預金口座だった売上入金について。今後の入金は、これから融資を受けようとする銀行の預金口座に移す。

これによって、売上入金を返済原資と見てもらう、という考え方もあります。

たとえば、新規に大型案件を受注した場合。売り上げてからおカネが入金されるまでのあいだは、いわゆる「運転資金」が不足することになります。

この場合に、不足する資金の融資を受けようとするのであれば。その売上入金先を、融資を受けようとしている銀行の預金口座にするのです。

銀行に対しては、「売上入金額」をよりどころにして、プロパー融資をお願いしてみるというわけです。

似たようなハナシとして、従来からの売上入金も、融資を受けようとする銀行の預金口座に移す。という方法もあります。

入金口座を変えるとなると、お客さまへの周知などメンドーも伴いますが。そこは、おカネ(融資)と手間と、どちらをとるかです。

おカネをとるのであれば、「売上入金をどの預金口座にするか」は銀行融資の可否に大きな影響を与えることを理解しておきましょう。

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まとめ

決算が赤字・担保無し・保証協会の枠も無し…なら「預金」でプロパー融資を狙ってみる。というお話をしてきました。

当然ながら、いちばんは「経営改善」ありきです。

経営をよくして、財務の状態をよくして、銀行が「融資をしたい」と思える会社・事業にすることです。

とはいえ、それには時間もかかるでしょうから。「預金」でプロパー融資を受ける、という考え方を押さえておきましょう。

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