” 銀行から「試算表」って言われたから、「まだできてない」って言っといた ”
って、それじゃあ融資が遠のきますよ。試算表は、融資を受けるにあたって重要なモノなのですから。そこで、試算表を銀行対応に役立てる3つのポイントについてお話をします。
ただただ試算表をつくり、ただただ銀行に渡してはいないか?
融資を受けようとするときに、銀行から提示を要求される「試算表」。
その「試算表」を、銀行対応に役立てるには3つのポイントがあります。
知っていれば融資は受けやすくなるし、知らずにいれば融資は受けにくくなる。
ただただ試算表をつくって、ただただ銀行に渡しているだけでは、「ほんとうの意味」で試算表を銀行対応に役立てることはできません。
融資を受けやすくするために、試算表を銀行対応に役立てるポイントを押さえておきましょう。そのポイントがこちらです ↓
- タイムリーにつくる
- 単月黒字にこだわる・黒字のうちに融資依頼する
- 預金残高を予測する・残高が多いときに融資依頼する
それでは、このあと順番に見ていきましょう。
試算表を銀行対応に役立てる3つのポイント
タイムリーにつくる
試算表を銀行対応で使うのであれば、「タイムリー」につくることです。
「タイムリー」とはつまり、遅れることなくつくる、ということをあらわします。
たとえば、いまが9月中旬だとして。もしも7月までの試算表ができていないというのなら、ハッキリ言って「遅い」です。
むしろできることなら、8月までの試算表ができていてほしいタイミング。と言ってよいでしょう。
試算表が古ければ古いほど、いまとの「ズレ」を気にするのが銀行です(銀行でなくても、ですが)。
「ズレがあるかも」と考えれば、目の前の試算表は、その信頼と価値とを失ってしまうことになります。
どんなに遅くても、2ヶ月前までの試算表はつくりましょう。もちろん、ベストは1ヶ月前までの試算表です。
デキる会社などは、月明け3営業日以内には前月分の試算表をしあげているもの。銀行のためだけではなく、自社・じぶんのためにも、「最新の状況をより早くつかむ」ためのしくみをつくりましょう。
ちなみに。銀行融資を受けるにあたって、「そもそも試算表をつくっていない」というのは論外です。
直前の決算から3ヶ月ていどが過ぎていれば、銀行から試算表の提示を求められます。このとき、「試算表はつくっていません」などと言おうものなら。
それはもう、自社・じぶんの管理能力不足を白状するようなもの。管理能力が低い会社の評価は当然下がりますから、融資を受けられない・受けづらいという状況をみずからつくることになります。
また、評価が下がる以外にも。銀行担当者としては、試算表もないようなメンドーな案件は先送り・保留、といった気持ちにもなるでしょう。いずれにせよ、融資が遠のきます。
単月黒字にこだわる・黒字のうちに融資依頼する
毎月の試算表をつくる・管理するうえで、「単月黒字」にこだわりましょう。
決算書では、1年を通じて黒字か赤字か、という見方がありますが。試算表では、各ひと月ごとが黒字か赤字か、という見方をします。
このとき、各月をそれぞれ「ひとつの決算」と見れば(実際に、「月次決算」と呼ばれます)、すべての決算が黒字であるほうがよいですよね。だから、単月黒字にこだわるわけです。
赤字よりも黒字のほうが、銀行から融資を受けやすくなります。また、黒字が続いているほど、やはり、融資を受けやすくなります。銀行は赤字を見ると、融資をしにくくなるものなのです。
したがって、理想は毎月ずっと黒字が続くこと。でも、なかなかそううまくもいきませんよね。長く会社・事業を続けていれば、赤字もあります。それはそれでしかたのないことです。
それはそれとして。できることは、「赤字」の月になる前に、試算表に赤字の月が載る前に、融資を依頼することです。言い換えれば、黒字のうちに融資を依頼する、ということ。
たとえば。毎月の利益が、「黒字、黒字、赤字」と続くのであれば。赤字の月の手前までの試算表であれば、「ずっと黒字」ですよね。このタイミングで融資を依頼するわけです。
そう考えると、いわゆる「利益予測」も、だいじなことだとわかります。
今後毎月の利益推移はどうだろう、赤字が避けられそうもない月はいつだろうか。そういったことを先読みしておくことで、「黒字のうちに融資依頼」のタイミングをはかることができるでしょう。
年会費や年払保険料などを、支払月で全額経費処理すると、その月の利益が大きく減少します。結果として、赤字になるかもしれません。
しかし、年会費や年払保険料などを12ヶ月であん分して計上する場合はどうでしょう? 毎月黒字にできるかもしれません。
そもそも、あん分をしたほうが、毎月の利益を「正しく」把握できると言ってよいでしょう。1年間で負担すべき経費を、ひと月だけに負担させるのもおかしなハナシです。
「費用をならす」という発想を持って、毎月黒字にもこだわっていきましょう。
預金残高を予測する・残高が多いときに融資依頼する
銀行は融資をするかしないかを審査する際、「利益(黒字かどうか)」に重点を置いています。
利益を出している会社には「返済力がある」と見て、融資をするわけです。
これとは別に、銀行が融資審査上で気にしていること。それは「預金残高」です。つまり、おカネを持っているかどうかです。
ではなぜ、おカネの有無を銀行が気にするのでしょうか?
誤解を恐れずに言えば。おカネがありさえすれば、いま利益がなくとも返済原資にはなる・貸したおカネを回収できる、と考えているからです。
よって、おカネがあるほど、預金残高があるほど、銀行からの融資は受けやすくなるのです。
その「預金残高」は、当然、試算表に掲載をされていますから。試算表上、預金残高多くなっているときを見計らって、融資依頼をするようにしましょう。
前述した「利益予測」と同じことですが。今後毎月の預金推移はどうだろう、いちばん預金が多くなりそうな月はいつだろうか、といった予測をしておくことが大切です。
これを怠るばかりに、預金が少ない時点で融資依頼をしているようだと、ムダに状況を不利にすることになってしまいます。気をつけましょう。
利益もおカネも、先を見据えた「予測」が大切です。
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まとめ
試算表を銀行対応に役立てる3つのポイント、についてお話をしてきました。
ただただ試算表をつくり、それをただただ銀行に渡しているだけだと、受けられるはずの融資チャンスを逃してしまうかもしれません。
融資を受けるのにあたって、よい内容の試算表を、よいタイミングで銀行に渡すことができるように。各ポイントを押さえておきましょう。
- タイムリーにつくる
- 単月黒字にこだわる・黒字のうちに融資依頼する
- 預金残高を予測する・残高があるときに融資依頼する