” 融資受けたいからよろしく頼みますね ”
なんて、銀行の担当者に口頭だけで伝えてはいませんか?それトラブルの原因になるかもしれません。ということで、銀行への依頼・お願いごとは「文書」でする、というお話です。
口だけで済まそうとするから融資でトラブルが起きる
融資について、銀行に依頼・お願いごとをするときに「口頭だけ」で済ませてはいませんか?
言えばわかる、という気持ちもわかりますが。口だけで済まさず、銀行に対しては「文書」で渡すことをおすすめします。
このあと、次のことについてお話をしていきます ↓
- 銀行への依頼・お願いごとは「文書」のほうがよい理由
- 銀行への依頼・お願い文書の記載例
銀行への依頼・お願いごとを「文書」でする理由
銀行への依頼・お願いごとは、口頭だけではなく、「文書」にして渡す。その「2つの理由」についてお話します。
言った言わない、を避ける
銀行に融資の依頼をするときには、会社にやってくる「担当者(いわゆる渉外係)」にまずは話をする、というケースが多いでしょう。
このとき、口頭だけで済ませてしまうと、のちのち「言った言わない」のトラブルになる可能性があります。
たとえば。銀行担当者にはずいぶん前に、融資(審査)を進めてもらうようお願いしたのに。いっこうに返事がかえってこない。
どうなっているのかとたずねてみたら、銀行担当者は「いますぐの話だとは思っていなかった」という認識でいた…
こちらは依頼・お願いをしたつもりでも、相手がそうは感じていないこともあるので注意が必要です。
また、銀行担当者も忙しく、ひとりでいくつもの案件を抱えているものです。
取り組みやすい案件(銀行・じぶんにとってメリットが大きい、融資審査上の問題が少ない、など)や、急ぎの案件から優先的に対応することもあるでしょう。
結果として、こちらの融資依頼が後回しにされていたり、保留されていたりするのでは困りますよね。
ですから、銀行へのお願いごとは、その内容を「文書」に記載して、銀行担当者に渡すことが大切です。
融資を依頼するのであれば、「これこれの理由で・いついつまでに、融資を受けたいんです」ということを記載しましょう(記載例は後述します)。
わざわざ文章にするのもメンドーだ、ということかもしれませんが。このひと手間を惜しむばかりに、「言った言わない」のトラブルを招くことは避けたいものです。
上司・稟議まで正確に伝える
銀行担当者に向かって融資の依頼をしたとしても、銀行担当者が融資の可否を決めるわけではありません。
銀行担当者は、お客さまからの依頼案件を銀行に持ち帰り、内容を上司に伝えます。上司のOKが出れば、稟議書にまとめます。
その稟議書が銀行内(審査係・支店長など、場合によっては本部まで)を滞りなく回ってはじめて、融資がOKとなります。
銀行は「稟議」の世界なのです。
したがって、融資を受けたいということであれば。「稟議の場」まで、融資を受けるのに必要な情報(おカネの使いみちや返済の原資など)を伝えることが大切です。
この点で、いくら目の前の銀行担当者に向かって一生懸命に話をしても。もし、その担当者が内容を理解をできなければ、上司のOKはもらえません。じゅうぶんな稟議書を書くことができません。
銀行に限らずですが、担当者の力量はさまざまなのですから。銀行員なのだからわかってくれるだろう・わかってくれるはず、という思い込みは捨てましょう。
担当者に伝えたはずのことが、上司をはじめ、銀行内に伝わっていなかった… ということはあるのです。結果、受けられたはずの融資が受けられないのでは困りますよね。
そのようなことがないように。銀行へのお願いごとは、やはり「文書」にして渡しましょう。
稟議書をはじめ、銀行は古くから「書類文化」です。渡した「文書」が、銀行担当者に無視をされる、ということはありえません。
その「文書」が上司に渡れば、こちらの意図を正確に伝えることができます。加えて、稟議書を補う資料としても役に立つはずです。
銀行への依頼・お願い文書の記載例
融資の依頼をするケースを例に、銀行への依頼・お願い文書の記載のポイントについてお話をします。
文頭には「ごあいさつ」と「依頼の概要」を
表題は、依頼・お願いごとの内容がわかるものをシンプルに付けましょう。
続いて、定型的な「ごあいさつ」を。そのあとに、依頼・お願いごとの概要をカンタンに記載します。
次のようなカンジです ↓
平成〇〇年〇〇月〇〇日
〇〇銀行 御中
株式会社 〇〇〇〇
代表取締役 〇〇〇〇
新規融資に関する検討依頼
貴行ますますご繁栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のお引き立てをいただき、厚く御礼申し上げます。
早速ではございますが、下記のとおり、新規融資について検討のお願いを申し上げます。
本文には「資金使途」「返済方法・返済原資」を
融資を依頼するのであれば、「なぜおカネが必要なのか」がだいじになります。
言い換えると、「借りたおカネをなにに使うつもりなのか」。いわゆる「資金使途(しきんしと)」です。
そしてもうひとつ。
借りたおカネを「どのように返すのか」と「なにで返すのか」。つまり、「返済方法」と「返済原資」です。
これらはいずれも、銀行が融資の可否を審査するにあたり、はずすことができない重要な情報になります。
銀行担当者から、その先の上司や稟議にまできちんと伝わるように、要点を文書にまとめましょう。
次のようなカンジです ↓
記
① 資金使途
本件、機械設備の追加導入にともなう設備資金として、3,000,000円の融資申込。
新規得意先の開拓により、当社製品〇〇の受注が増えております(受注書写し・参照)。
既存の設備だけでは受注増に対応することが難しいため、〇〇の製造機械設備(見積書写し・参照)を追加導入したく、本件申込をお願いするしだいです。
平成〇〇年〇〇月末日までに導入、翌月末日までに代金支払いを考えております。
② 返済方法・返済原資
返済は、元金均等返済5年で、毎月 50,000円。
機械設備の追加導入によって受注増に対応することで、少なくても毎月10万円以上の利益増加を見込んでおります。
したがって、本件借入についての返済原資はじゅうぶんに確保できるものと考えております(資金繰り表・参照)。
以上
ということで、「新規融資」の記載例についてお話をしてきました。
ほかにも、「借り換え」「取引条件の見直し」「リスケ」など、銀行に依頼・お願いをするときには、同じように「文書」に記載をして渡しましょう。
記載のポイントは、依頼・お願いをするにいたった「背景・理由」と、「根拠」を簡潔かつ明瞭に記載することです。
新規融資の記載例では、「資金使途」が「背景・理由」にあたり、「根拠」が「返済方法・返済原資」にあたります。
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まとめ
銀行への依頼・お願いごとは「文書」でする、ということについてお話をしてきました。
文章にして記載するとは言っても、それほどボリュームのあるものではありません。
逆に、あまりボリュームが出てしまえば、それはそれで読む側がわかりづらくなってしまいます。
要点を簡潔かつ明瞭に記載することが大切です。それは、じぶん自身のアタマのなかを整理する、ということでもあります。