会社員時代、しごとですっと家に居なかったわたしが。
独立開業してから2年半、実際に自宅兼事務所で過ごして確認できたことについてお話をします。
経験してみなければ、ほんとうのところはわからない
会社員のころは、朝から晩まで、平日も休日も、ほとんど家にいなかったわたし。念のために言っておきますが、しごとです、しごと。
そんなわたしも独立開業してから2年半、ずっと「自宅兼事務所」です。外出予定がなければ、ずっと家です。
というわけで、2年半を過ごしてあらためて、自宅兼事務所について確認できたことをまとめてみました。
はじめる当初からわかっていたこともありますが、実際に過ごしてみてどうだったのかという「実体験」です。
自宅兼事務所ってどうなのかな? というあなたの参考になりましたら幸いです。
- おカネのメリットが大きい
- 時間のメリットが大きい
- カラダ・ココロのメリットが大きい
- 家でもしごとに集中できる
- はずかしさ・うしろめたさは慣れる
- 場所が必要なら、つど借りればじゅうぶん
- 家庭のリスク対策になる
それでは、このあと順番に見ていきましょう。
自宅兼事務所で2年半過ごして確認できたこと
おカネのメリットが大きい
事務所単独での「家賃」その他維持費が必要ない。というのは、おカネの面ではとても大きなメリットです。
仮に、家賃、光熱費、固定電話代、備品代など、月に 10万円だとしたら。事務所を維持するのに、年間 120万円かかります。
これが自宅兼であれば、ほとんどおカネはかかりません。もともとの自宅維持費に、しごとで増えた少々の電気代などが上乗せになるくらいです。
であるならば。自宅兼事務所は、事務所単独にくらべて 年商 120万円少なくても、手元に残るおカネは変わりません。
言い換えると。年商 120万円分のしごとをしなくてもいい(食べていける・生きていける)、ということになります。
しごとをしない、なんて言うと「ナマケモノ」であるかのように聞こえるかもですが、そうとばかりも言えません。
しごとをしなくて済んだ時間は、「じぶんのやりたいこと」に充てるのです。限りある時間、しごとにばかり費やしたくはない。それもあって、独立開業したのですから。
時間のメリットが大きい
自宅とは別の場所に事務所がある、ということになると。しごとをするために、そこへ「通う」ことになります。
これじゃあ、会社員のころと変わらんじゃないかっ! と思ったりするわけです。
もちろん、自宅のすぐそばに事務所をかまえる、ということはできるでしょうけど。それでも、多かれ少なかれ「通う」時間は発生します。
日々の「通う」によって、その「通う時間」がひたすら累積されていくところに恐ろしさがあります。
にもかかわらず、「通う」のがあたりまえの環境だと、その恐ろしさに気づかなかったりするのが、さらに恐ろしいところです。
仮に、往復 30分だとしても、月に20日通って 10時間。1年間で5日間(120時間)。それだけの時間を、通うことに使うのか、別のことに使うのか? という選択です。
カラダ・ココロのメリットが大きい
自宅兼事務所には「通う」がありません。人混みのなかを歩いて、電車に乗って、バスに乗って… がありません。
これをやめてみて感じることは、「通う」のがいかにストレスが大きな行為か、ということです。
思い返してみれば、会社員のころは家を出て、会社に着くやいなや「はぁぁ」とため息をつくほどに疲弊していました(通勤以外にも疲弊する要素はありますが…)。
身体的にも、精神的にも、通うのはパワーを使うし、ストレスがかかっているのです。
いまはそれがありませんので、その分のパワーを別に使えますし、ストレスも無くご機嫌に1日をはじめることができる。これは大きなメリットです。
家でもしごとに集中できる
自宅でしごとなんてできるのか? という疑問はありました。つまり、自宅だと気が削がれたり、集中力を欠いてしまうのではないか? ということです。
わたしの場合にはだいじょうぶでした。集中できるし、より集中できるような工夫もしています ↓
ときおり、「家では集中できないから事務所を借りる」というハナシを見聞きしますが、ちゃんと試したうえでのことなのかな? 工夫をしてみたうえでのことなのかな? と他人事ながら気になります。
もちろん、小さなお子さまがいるなど、家庭環境が許さないというケースなどもあるでしょうから。ぜったいに自宅でもしごとができる、とまで言うつもりはありません。
また、わたしが自宅でしごとに集中できているのは、家族の協力があってこそです。ゆえに、家族の理解も必要でしょう。
それはそれとして、自宅でもしごとに集中するのは「工夫しだい」であることは、経験者としてお伝えをしたいポイントです。
はずかしさ・うしろめたさは慣れる
開業当初、自宅兼事務所に対する「はずかしさ」や「うしろめたさ」がありました。
「自宅兼」なんて言うと、「事務所持てないほど小さい」「事務所持てないほどおカネがない」みたいに見られるんだろうな、みたいな。
そんな「はずかしさ」や「うしろめたさ」がいまはまったくない、と言ったらウソになりますが。当初に比べればほとんどない、と言ってよいでしょう。
他人の反応や視線にも、いい加減慣れました。そんなことより、だいじなことは「他人は他人、じぶんはじぶん」です。
「事務所を持たない税理士」を好まないヒトもいることと存じますが、それはそれ。考え方のちがいはしかたのないことです。
自宅兼事務所にじぶんがメリットを感じるのであれば、やりたいことをやっているのであれば、それがいちばん。そもそも、やりたいことをやるために独立したのですから。
場所が必要なら、つど借りればじゅうぶん
じぶんがやりたいようにやっている、とはいえ。お客さまにご迷惑をかけるわけにはいきません。
お客さまにとって、「事務所」というスペースが必要になることはあるでしょう。
その点、わたしは基本、お客さまのところへうかがうスタイルでしごとをしています。事務所にお越しをいただく、ということはほとんどありません
(少人数であればミーティングできるスペースを備えてはいますが)。
また、お客さまも事務所を持たないようなケースであれば、カフェやラウンジ、レンタルスペースなどでもじゅうぶんに事足ります(お客さまのご承諾をいただいたうえで)。
むしろ、そのつど状況に合わせて場所を変えられるほうが機動的なこともあります。いつもいつも、お互いの事務所に… というのも非効率だったりするわけで。
家庭のリスク対策になる
最近は、台風や地震などの自然災害の脅威を感じる機会が増えました。
そんなときに思うのは、「自宅兼事務所でよかった」ということです。予定がなければ自宅にいるわけですから、家庭・家族と離れる心配が少なくなります。
自宅とは別の場所に事務所があれば、ようすを見に行くということも含めて、災害時・災害後にもしごとで家庭を離れなければいけません。
また、家族の急病やケガなどの事態についても、自宅にいる機会が多いほうが不安は小さくなるものです。
さらに言えば、大人の男性(わたし)が家にいるということは、防犯上のメリットがあると言えなくもないでしょう。
まぁ、近所の目(あのヒト働いてないのかしら?)や、家族の目(いつも小言がうるさい… byこどもたち、お昼つくるのメンドー by妻)というデメリットはあるかもですが。
まとめ
ずっと家に居なかった僕が自宅兼事務所で2年半過ごして確認できたこと、についてお話をしました。
本記事には、「自宅兼事務所のほうがよい」とか、「事務所は持たないほうがいい」とかを主張するような意図はありません。
自宅兼事務所がよいか、事務所単独がいいのかは、人それぞれです。そのなかで、「わたし」はこうですよ、こうでしたよ。という個人の実体験にすぎません。
本記事を読まれるあなたが、事務所選びをするときの「ひとつの参考」にしていただけましたら幸いです。