”すでに複数の銀行とお付き合いをしているけれど。こんどはどの銀行から借りればいいのかな?”
と、迷うこともありますよね。というわけで、「複数銀行と取引あり」のときに、どの銀行から融資を受けるかの考え方についてお話をしていきます。
お付き合いが多いほど迷う「どの銀行から借りるか?」
会社・事業における銀行融資について。
すでに複数の銀行とお付き合いをしている、という前提がある場合。融資を受けるなら、どこの銀行に相談・依頼をすればいいのでしょうか?
メインバンク? それともサブバンク? 迷ってしまう… ということが少なくないようです。
そこで。「複数銀行と取引あり」のときに、どの銀行から融資を受けるかの考え方についてお話をしていきます。
それぞれの考え方を確認しておきましょう。次の4つです ↓
- まずはメインバンクから
- 取引銀行すべて一斉に
- そう言えば営業された銀行に
- 返済が進んでいる銀行に
それでは、このあと順番に見ていきましょう。
どの銀行から融資を受けるか? の考え方
「複数銀行と取引あり」のときに、どの銀行から融資を受けるかの考え方についてお話をします。
まずはメインバンクから
お付き合いが長い・お付き合いが深い、かつ、融資残高がいちばん多い銀行を「メインバンク」と定義するのであれば。
融資の相談・依頼は、「まずはメインバンク」からがセオリーだ。という考え方です。その理由として、おもに3つ挙げられます ↓
- 自社・じぶんのことをいちばんわかってくれているから
- 浮気心がバレて嫌われてしまうから
- メインバンク以外の銀行に警戒されてしまうから
上記について、補足をします。
①自社・じぶんのことをいちばんわかってくれているから
一般に、メインバンクとは「長く・深いお付き合い」をしているはずですから、メインバンクこそが「自社・じぶんのこと」をいちばんよくわかってくれている銀行だと言えるでしょう。
ゆえに、融資の相談・依頼をしたときにも、経緯や事情を理解してスムーズな対応を期待することができます。
いっぽうで、じゅうぶんなお付き合いができていない銀行となると、理解もじゅうぶんでないことから、融資に時間がかかる。あるいは、融資不可の可能性が高まります。
とくに、会社・事業の状況が悪いときには、お付き合いが浅い銀行ほど融資に対する姿勢は渋いものです。そういう意味では、「困ったときほどメインバンク」です。
②浮気心がバレて嫌われてしまうから
困ったときにも頼りにできるほどのメインバンクであるならば。そこをさておき、他の銀行に融資を依頼するのでは、メインバンクが気を悪くすることもあるでしょう。
ですから、融資の相談・依頼は、まずはメインバンクから。メインバンクが「ダメ」なら、それからほかの銀行をあたる。
銀行とのお付き合いは「信頼関係」がだいじですから。浮気心で嫌われないよう、配慮も必要です。
③メインバンク以外の銀行に警戒されてしまうから
メインバンクをさておき、はじめからサブバンク以下の銀行に相談・依頼をすると。次のように聞かれることが少なくありません。
「なぜ、メインバンクから借りないのですか?」とか、「メインバンクはなんと言っていますか?」とかとか。
業績が悪いなどの理由によって、メインバンクに断られたのではないかと疑っているのです。であるならば、「ウチだって貸したくない」と銀行は考えます。
たとえ業績は悪くなくても、数字にはあらわれない問題があるのではないか? とまで考えるのが銀行です。このように警戒をされると、融資がうまくいかないことを覚えておきましょう。
取引銀行すべて一斉に
どこかひとつの銀行だけに、融資の相談・依頼をするのではなく。すべての取引銀行に一斉に、という考え方もあります。
できるだけ多くのおカネを借りたい、しかも時間的にも急いでいる、などの場面で採用されるのがこの考え方です。
具体的には、それぞれの銀行に「まったく同じ相談(依頼)を、他の取引銀行にもしています」と伝えます。
また、「複数の銀行から融資が出たらどうするのですか?」と聞かれたときには、「すべての融資を受けるつもりです」と答えるようにします。
そのように回答するのは、銀行もせっかく融資が決まったのに、「他の銀行で借りれたのでいりません」などと言われるのではかなわないからです。
実際に複数の銀行から融資が決まったときには、もちろんすべての融資を受けます。銀行融資は、借りられるときに借りておくのが基本です。
ちなみに。わざわざ正直に言わずとも、黙って複数の銀行に相談・依頼をすればいい、との考え方もありますが。あとからわかったときには、心象のよいものではないでしょう。
設備資金(設備をするために使うおカネ)として融資を受けるのであれば、借りたおカネを運転資金(経費の支払いなど設備資金以外に使うおカネ)に使ってはいけません。
設備資金で借りたおカネを運転資金に使ってしまうことは、「資金使途違反」と呼ばれ、禁じられているからです。設備資金で借りたおカネは、予定した設備を買うことにしか使えないのです。
したがって、複数の銀行から同時に「すべての融資を受ける」ことができるのは、運転資金の融資に限られます。
そう言えば営業された銀行に
「そう言えば、少し前に〇〇銀行が融資の営業に来たっけか」というのであれば。営業された銀行から借りる、という考え方があります。
相手の銀行が「貸したい」と言っているのですから、借りやすいはずだからです。
銀行融資は、借りる側と貸す側のチカラ関係で決まります。そのチカラ関係は、まず間違いなく「貸す側が上」です。
そのようなチカラ関係のもとでは、こちらが「借りたい」と言ったときには、「相手しだい」なのですから。借りられる可能性は、決して高いものではありません。
だったら、「貸したい」と言っている銀行、営業をしてきた銀行から借りる。というのは、とても合理的な考え方でしょう。
注意点としては、相手の「貸したい」思いに乗っかりすぎないことです。
たとえば、他の銀行からの融資まで借り換えれば、その「他の銀行」から絶縁されても文句は言えません。
また、サブバンク以下から融資を受けたことにより、融資残高シェアでメインバンクが入れ替わる。となれば、従来のメインバンクとしてはおもしろくないでしょう。関係性が悪化しかねません。
営業提案を受け入れるときには、目先の利益ばかりではなく、中長期的な利益まで考えることが大切です。
返済が進んでいる銀行に
借入当初から返済が進んで、あるていど融資残高が減っている銀行がある場合。その銀行に融資の相談・依頼をする、という考え方があります。
返済が進んだ分までであれば、銀行は、「比較的融資がしやすい」からです。
いちど〇〇円の融資をしたことがある。そのあときちんと返済が進んでいる。これらの「実績」が「信用」になって、返済済み分の融資を後押しします。
貸したことがあるという実績、返済をしてもらったという実績は、銀行に対して大きな信用になるのです。
したがって、いちど融資を受けた銀行からは、返済済み分の金額を定期的に借りなおしておくのがよいでしょう。
逆に、返済し続けて完済。その後しばらくすると、貸した実績・返済の実績はゼロにリセットされます。
またあらためて信用を築かねばならないとなると、融資を受けるのもカンタンではありません。借り続けることで、銀行とのお付き合いを切らさない、という選択肢も持ちましょう。
とかく、「早く完済したい」が優先するところですが。せっかく完済をしても、その結果、手元におカネが無い。そのうえ借りたいのに借りられないとなれば、困ってしまうばかりです。
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まとめ
「複数銀行と取引あり」のとき、どこから融資を受ければいい? の考え方についてお話をしてきました。
それぞれの考え方を理解して、融資の依頼・相談をするとよいでしょう。
なお、そもそも自社・じぶんにはふさわしくない銀行とお付き合いをしてしまっている、ということもありえます。正しい銀行選びについても確認をしておくと安心です ↓