”副業をはじめるのに、創業融資って受けられるの?”
はい、本業ではなくても創業融資の利用は可能です。というわけで、会社員が副業をはじめるときの「創業融資(日本政策金融公庫)」の注意点についてお話をしていきます。
会社員の副業だって創業融資は受けられる
会社・事業をはじめる際の資金調達手段のひとつに「銀行融資」があります。
なかでもとくに有名なのが、日本政策金融公庫(政府出資の貸出専門金融機関)の創業融資制度です。
この創業融資制度、本業として会社・事業をはじめるときはもちろんですが、会社員が「副業」をはじめるときにも利用できます。
ひとまず、会社勤めで給料を受け取りながら、副業として徐々に事業を育てていく、という考え方もあるでしょう。
つい先日も、副業をはじめるお客さまの創業融資をお手伝いさせていただき、無事に希望額の融資を受けることができました。
とはいえ、副業ならではのポイントなどもあることから、融資申込にあたっては気をつけるべきこともあります。
そこで。副業で創業融資を成功させるための注意点についてお話をしていきます。次の5つです ↓
- 自己資金を用意する
- 副業に関わる経歴をまとめる
- 「副業+本業」の収入で生活できることを伝える
- 本気が伝わる売上金額を計画する
- 副業をいずれ本業にするという意志を示す
それでは、このあと順番に見ていきましょう。
副業をはじめるときの「創業融資(日本政策金融公庫)」注意点
自己資金を用意する
日本政策金融公庫(以下、日本公庫)の創業融資を受けるには「自己資金」が必要です。
自己資金の準備もなく事業をはじめるような「無計画なヒト」におカネを貸すことはできない、と日本公庫は考えるからです。
この点について、本業での創業であっても、副業での創業であっても変わりはありません。自己資金は必要なのです。
では、どのくらいの金額の自己資金が必要なのか?
細かいハナシは抜きにして、結論だけを言うのであれば。融資を受けたい金額の2分の1くらい、少なくとも4分の1くらいの自己資金は準備をしたいところです。
つまり、200万円の融資を受けたいのであれば、少なくとも 50万円くらいの自己資金がないときびしく、100万円くらいの自己資金があるのが望ましい、と考えておきましょう。
もちろん、自己資金が多いほうが、融資の成功確率は上がります。
CHECK! 創業者が間違える『自己資金とは』の事例5選【創業融資】
副業に関わる経歴をまとめる
自己資金と並んで重視されるのが「経歴」です。
具体的には、これからはじめる事業(副業)について、原則、6年以上の勤務経験が求められています(勤務経験がなくてもOKなケースはあります。下記「参考」の記事を参照ください)。
じゅうぶんな経歴によって、事業を成功させるのに必要な能力を身につけられる。日本公庫はそのように考えているわけです。
したがって、なんの経験もなく(あるいは少ない経験で)はじめるような事業については、創業融資を受けるのは難しい、という理解が必要です。
思いつきで脱サラしてはじめた事業がうまくいかずに終わってしまう… これは実際によく見聞きするケースです。気をつけましょう。
創業融資を申し込むにあたっては、これまでの経歴を整理すること。その経歴がこれからの副業にどう役立つのか、説明ができるようにまとめておくことが大切です。
「副業+本業」の収入で生活できることを伝える
将来は売上・利益が増えていくことを想定していても、はじめてしばらくのあいだは売上・利益の金額は決して大きくない。創業時によくあるケースです。
しかも、はじめる事業は「本業」ではなく、「副業」だと言うのですから、売上・利益の金額がかなり小さいこともあるでしょう。
そうなると、副業の売上・利益のなかからは、あまり多くの「給料・生活費」を取ることができません。
たとえば、副業から取れる給料・生活費が月 10万円だとしたら。一般に、10万円だけで生活をしていくことは困難です。ゆえに、日本公庫は心配をすることになります。
しかし、それこそ副業、別に「本業(会社員の給料)」があるわけですから、そこはきちんと説明するようにしましょう。
具体的には、「副業での給料 〇〇円+本業での給料 〇〇円でじゅうぶんに生活ができます」と、日本公庫に伝えることです。
本気が伝わる売上金額を計画する
創業融資を申し込む際には、日本公庫に「創業計画書」を提出します。
そのなかには「数値計画」が含まれ、これからはじめる事業(副業)の売上・経費・利益などの計画金額を記載するようになっています。
ここで大切なことは、「副業に対する本気度」が伝わる数値であるかどうか? です。
とくに「売上金額」は、計画数字の筆頭(「売上 − 経費 = 利益」のいちばんはじめが売上)として重視されるところになります。
あまりに売上金額が小さい計画をつくり、「本気で事業をする気なし」と見られてしまうことがないように注意しましょう。
しかしながら、売上金額がいくら以上ならいいか、といった明確な基準はありません。また、経費が多い商売と少ない商売とでは、必要な売上金額も変わってきます。
ですからそこは心構えとして、「しょせん副業だから、どうせ副業だから(売上は小さくてもOK)」との思いで計画しないようにしましょう。結果として、「本気度」を伝えることができるはずです。
いっぽうで、副業の売上金額が大きすぎると。こんどは、「本業もあるのに両立できるの?」を疑われることになります。
本業に関わる時間と副業に関わる時間とのバランスなどを示して、計画した売上金額が実現できるものであることを説明するようにしましょう。
副業をいずれ本業にするという意志を示す
いまも副業、これからもずっと副業。というのでは創業融資を受けることはできません。
副業であっても融資をするのは、「いずれ本業になる」という前提があるからです。
この前提について、まずは「意志」を示すことです。「いまは副業だけれど、いずれは本業にします」という思いを伝えることです。
また、意志を補足するものとして、「数値計画」のなかでも「いずれ本業」を表現しましょう。
具体的には、創業から2年め、あるいは3年めまでの計画をつくり、売上・利益が徐々に伸びていくようすを描きます。
ただただ売上金額が増えていくだけの「絵に描いたモチ」にならないよう、なにをどのように実行して数字を達成するのかの「行動計画」もつくりましょう。
行動計画の作成・検討は、銀行融資の成功のみならず、実際の事業の成功にも貢献するはずです。
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まとめ
会社員が副業をはじめるときの「創業融資(日本政策金融公庫)」の注意点についてお話をしてきました。
創業融資は、本業としての創業だけではなく、副業の創業にも利用が可能です。
そのときに融資を受けることができるよう、注意点には気をつけましょう。
- 自己資金を用意する
- 副業に関わる経歴をまとめる
- 「副業+本業」の収入で生活できることを伝える
- 本気が伝わる売上金額を計画する
- 副業をいずれ本業にするという意志を示す