”創業融資は受けたほうがいいのかな、どうなのかな?”
と迷っているのなら。「創業時に融資を受けるメリット」と「創業後に融資を受けるデメリット」とで判断をしましょう! というお話です。
創業融資を受けるか否か? という問題
会社・事業をはじめるにあたり利用できる「創業融資」があります。文字どおり、創業時に受けることができる融資が「創業融資」です。
この創業融資については、「受けたほうがいい」という意見、「受けないほうがいい、受けなくてもいい」などの意見が混在しています。
そこで。創業融資を受けるか否かの判断材料になればと、次のようなお話をしていきます。
- 創業時に融資を受けるメリット
- 創業時に融資を受けず、創業後に融資を受けるデメリット
それでは、このあと順番に見ていきましょう。
創業時に融資を受けるメリット
創業時に融資を受ける、つまり、創業融資を受けるメリットは、おもに2つあります ↓
- 創業融資は受けやすい
- 以後の融資も受けやすい
上記それぞれのメリットについて、お話をしていきます。
《メリット①》創業融資は受けやすい
創業時に融資を受けるメリットの1つめとして、「創業融資は受けやすい」ことが挙げられます。
融資にもいろいろ種類があるわけですが、なかでも創業融資は「受けやすい」ことで知られています。
どうして受けやすいのかと言うと、「事業の実績が融資審査の対象にならないから」です。
これに対して、創業後の融資では。事業の実績(業績)は、融資審査の対象になります。審査についてカンタンに言えば、黒字なら融資は受けやすく、赤字なら融資は受けにくくなる。
したがって、創業後に融資を受けたいのであれば、がんばって黒字にするなど「実績をあげる」というハードルを超えなければいけません。
また、会社・事業を続けていれば、良いときもあれば悪いときもあります。そのなかでずっと黒字をキープするとなれば、ハードルはさらに高いものになります。
いっぽうで、創業時にはまだ「実績」がありません。ですから「実績をあげる」というハードルが存在しない分だけ、「融資が受けやすい」ということになるわけです。
創業融資に「実績(業績)」は必要ありませんが(創業から時間がたっている場合には必要なケースあり)、「自己資金はじゅうぶんか?」「経歴はじゅうぶんか?」などいくつかの要件があります。
ただし、それらの要件をきちんと満たしてさえいれば、受けやすいのが「創業融資」です。
《メリット②》以後の融資も受けやすい
創業融資を受けていると、「それ以後の融資も受けやすい」というメリットがあります。
なぜなら、創業融資で「おカネを借りた・返した」ことが、「信用」として評価をされるようになるからです。
おカネを借りることができたのは、おカネを貸す銀行の審査をパスできたから。だから、信用できるよね。
借りたおカネを返しているのは、会社・事業にそれだけの返済力があるから。だから、信用できるよね。
「おカネを借りた・返した」ことについて、銀行はそのように考えるのです。
この点、他の銀行による融資も同じです。たとえば、A銀行が融資をしたのであれば、その融資はB銀行から見ても、ひとつの信用になります。
つまり、「A銀行が貸したんだから、信用していいよね」と、B銀行は考えます。
おカネを借りたことが信用になるだなんて不思議だ、と思われるかもしれませんが。このような「借金=信用」という銀行の考え方は、ぜひとも覚えておきましょう。
ところで。創業後は「実績(業績)」が良くないと融資を受けるのは難しい、と前述しました。
そのような状況にあっても、創業融資を受けていたことがひとつの評価になって、なんとか融資を受けることができた。というケースがあります(絶対ではありません)。
とくに創業後しばらくのあいだは、想定を超えて厳しい状況が続くものです。創業時の融資を受けるか否かは、そこまで見据えて考えましょう。
ここまで、創業時の融資の「メリット」ばかりをお話してきましたが。デメリットだってあるだろう、ということで「利息」について触れておきます。
おカネを借りれば、当然、利息を払わねばなりません。これはたしかにデメリットです。
けれども、この利息を惜しむばかりに創業時の融資を受けず、このあとお話する「創業後に融資を受けるデメリット」を被るくらいならば。利息を払うデメリットのほうがずっと小さいはず。
ということで、話を続けることにしましょう。
創業時に融資を受けず、創業後に融資を受けるデメリット
ここまで、創業時に融資を受けるメリットについてお話をしてきました。
ここからは、創業時に融資を受けず、創業後に融資を受けるデメリットのお話です。
「融資が受けにくい」というデメリット
創業時に融資を受けず、創業後に融資を受けるデメリットは、「融資が受けにくい」ことです。
融資を受けようとしても・融資を受けたくても、なかなか融資が受けられない… というデメリット。
その理由は、おもに2つです ↓
- 「おカネを借りた・返した」の信用がない
- 「利益がない・おカネもない」という実績がある
上記の理由について、以下で補足します。
「おカネを借りた・返した」の信用がない
これは、先ほどお話した「創業時に融資を受けるメリット」の逆パターンです。
過去に「おカネを借りた・返した」ことがないので、その分の信用を銀行から得られず、融資が受けにくい。ということになります。
「無借金経営」の言葉もありますが、必ずしも無借金経営がベストなわけではありません。ここは「勘違い」が多いところです。
銀行から融資を受ける必要がないほど、おカネ(自己資金)があるのなら「無借金経営」でもいいでしょう。
けれども、そこまでのおカネがないのであれば、いまはまだ無借金経営には時期尚早だと考えるべきです。
なお、無借金経営の期間が長くなればなるほど、「銀行は警戒をする」ことも覚えておきましょう。
銀行は「なにか事情があって、融資を受けられない会社なのではないか?」と疑います。融資を受けたくても受けられない会社なのでは? と警戒するわけです。
こうなると誤解を解くのにも苦労します。「おカネもないのに無借金経営の会社」を見た銀行が、「無借金経営で、なんて素晴らしい会社なんだ!」と考えることはありません。
「利益がない・おカネもない」という実績がある
創業時には融資を受けなかったのに、創業後に「融資を受けたい」と言う会社・経営者がいます。
そのほとんどが、「利益が無い・おカネも無い」の状況に陥っている、という点で共通しています。
創業後、思うように売上が伸びず、赤字が続いている。利益が無いものだから、おカネも無い。ゆえに「融資を受けたい」というパターンが多いのです。
これを聞いた銀行はどう考えるのでしょうか?
銀行が考えることは、「返してくれそうもない相手におカネは貸せない」です。
銀行には「日傘」しかありません。晴れの日(業績が良いとき)に貸す傘(融資)はありますが、雨の日(業績が悪いとき)に貸す雨傘はありません。
CHECK! 雨の日に傘を取り上げるのは当然!銀行融資は晴れの日に傘を借りよ
「おカネを借りた・返した」の信用もないうえに、「利益が無い・おカネも無い」というマイナスの実績では、融資を受けたくても受けられない。
その結果、会社・事業を潰してしまう可能性が高まります。
融資が受けにくい・融資が受けられない。これが、創業時に融資を受けず、創業後に融資を受けようとする場合のデメリットです。
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まとめ 〜原則、創業融資は受ける
創業時に融資を受けるメリット、創業後に融資を受けるデメリット、についてお話をしてきました。
結論として、「原則、創業融資は受けるべき」です。
受けなくてもいいケースがあるとすれば。それは、「将来にわたって融資を必要としないほど資金を持っている」あるいは「融資をうけるくらいなら会社を潰す覚悟がある」のいずれかです。
そのいずれも、割合としては珍しいケースです。
創業融資を受けておけばよかった… と後悔をする会社・経営者は少なくないことを、あえて申し添えておきます。