これからは銀行が「融資先のホームページ」にいままで以上に注目をするはず!
ということで、銀行融資をもっと引き出す「自社ホームページの記載内容」についてお話をしていきます。
自社ホームページはこれからもっと銀行に見られる
ここ数年、銀行(正確には地域金融機関)の融資に対する姿勢は変化つつあります。
その「変化」の象徴として、よく見聞きするようになった言葉に「事業性評価」があります。
事業性評価とは、カンタンに言えば、「数字(黒字か赤字か、など)や担保・保証に依存しすぎず、融資先の事業の内容・将来性を評価しよう」というものです。
誤解を恐れずに言えば、「赤字だから融資しない」「担保がないから融資しない」というこれまでの融資をあらためよう。そんな感じです。
そのあたりの詳しい経緯や説明は、こちらの記事を ↓
CHECK! これからは情報開示でお金を借りる!変わりはじめた銀行融資事情
今後、「事業性評価」の考え方が浸透していくと。銀行は、融資先の「事業の内容・将来性」を目利きすることに注力するようになります。
そのとき、いままで以上に注目されるであろうもののひとつに「ホームページ」が挙げられます。
(余談ながら。もし注目しようとしていない銀行員の方がいるのであれば、「お願いだから見てくれ」というのがわたしの思いです)
なぜならば。ホームページには、その会社の「事業の内容・将来性」を目利きするうえでのヒントや材料が詰まっているからです。
したがって、自社の「事業の内容・将来性」をじゅうぶんにアピールできれば。銀行の事業性評価につながり、ひいては銀行融資をもっと引き出すことにつながるはずです。
というわけで。ホームページを見られる側としては、どのような内容を記載しておけばいいのか? についてお話をしていきます。次の7項目です ↓
- 経営者あいさつ
- 沿革
- 役員株主
- 従業員数
- 主要取引先
- 特許権
- 取扱商品・サービス
それでは、このあと順番に見ていきましょう。
銀行融資をもっと引き出す「自社ホームページの記載内容」7選
① 経営者あいさつ
自社のホームページに「経営者のあいさつ」を掲載している会社は少なくないでしょう。
これについて、事業性評価の観点から、銀行が興味を持てる内容が含まれているか。確認をしてみましょう。おもに次の3点です ↓
- なぜその事業で創業したのか
- いまの事業はいつ・なぜはじめたのか(創業時から事業が変化している場合)
- これからの事業をどう考えているか
上記は、事業性評価の対象である「事業内容」に関わるものです。
そもそも世の中には、たくさんの事業があるのですから、たくさんのなかから「なぜその事業を選んだのか?」は、事業内容を理解するうえでの前提だと言えます。
創業時にその事業を選んだのはなぜか? そこからいまの事業に変化したのはなぜか? これからの事業の変化をどう考えているか? と、「過去→現在→未来」の時系列で伝えられるとよいでしょう。
会社・経営者の「背景」であったり、「思い」であったり、事業内容の「原点」を銀行が理解することに役立ちます。
② 沿革
「沿革」もまた、多くのホームページに記載をされている項目のひとつでしょう。
これについても事業性評価の観点で言えば、次のような内容が含まれているとよいでしょう ↓
- 各商品・サービスの開発・販売
- 他企業との提携・連携
- メディアでの紹介
「沿革」で表現をしたいのは、事業性評価の対象である「(会社・事業の)将来性」です。
その将来性を示すために、「これまでの成長・実績」を沿革のなかに含めるようにする。その具体例が上記に挙げた内容です。
あたらしい商品・サービスを開発・販売してきたことは、その会社の「開発力の高さ」の証と言えます。
他企業との提携・連携は、他企業から評価をされるほどの「技術力の高さ」を連想させます。新聞やネットなどで紹介された実績は、将来性のアピールになるでしょう。
③ 役員・株主
現社長が高齢、でも後継者がすでに役員に就いている。このような場合には、自社ホームページに「役員一覧」を掲載するとよいでしょう。
理由は、「事業承継できる会社」のアピールができるからです。
ご存知のとおり、わたしたちの国では事業承継が大きな問題になっています。経営者が高齢化しているにもかかわらず、後継者がいない会社が多いのです。
そのように事業承継できない・見込みがない会社は、銀行の目には「将来性」がない会社と映ります。ですから、「ウチは後継者がいる、事業承継できる」と伝えるわけです。
また、「株主一覧」を掲載することでも、自社の事業内容の良さや将来性をアピールできます。
それは、株主のなかに「名が知れた企業や人物」がいるときです。たとえば、大企業とか、地域で活躍する会社、その経営者、地元の名士など。
そのような第三者が出資をしているのは、「その会社の事業の良さや将来性を買っているからだ」と見られることでしょう。
④ 従業員数
自社ホームページに「従業員数」を掲載するのであれば、その「推移」を掲載することも検討してみましょう。
たとえば、「2016年 20名、2017年 23名、2018年 28名」のような感じです。
ポイントは、順調に従業員数が推移しているかどうか。できれば増加、少なくとも維持していることを伝えるために、従業員数の推移を掲載します。
ヒトが増えている・定着しているようすから、会社の将来性の高さをアピールできます。昨今はどこも人手不足ですから、ヒトが増えている・維持できているのは大きなプラス材料だと言えます。
この点で、「採用情報」などのページには、毎年の入退職者数などを掲載するのもよいでしょう。継続的採用や、高い定着率の指標になります。
ちなみに。もちろん、ワケあってヒトが減る・減らすということもあるでしょう。その場合には、誤解を招かぬよう、あえて多くの情報を掲載しなくもてよいかとは考えます。
⑤ 主要取引先
大企業や地域で活躍する企業などと取引があるのであれば、「主要取引先」としてホームページに掲載するとよいでしょう。
大企業などは、一般に、取引相手・取引商品を見る目がシビアです。その大企業などに選ばれて取引しているのですから、「技術力・商品力の高さ」をアピールできます。
なお、このアピールがきっかけで、銀行から「契約書や受注書などを拝見できますか?」と言われることがあります。
実際には、大企業に「買い叩かれている(利幅がとても薄い)」というケースも散見されますから、そのような場合には逆効果となることは覚えておきましょう。
ホームページに「主要取引銀行」を掲載している会社があります。そこで言う「取引」とはいったい何を指しているのか? は気になるところです。
取引が「融資を受けている」ことを指すのであれば、メガバンクとの取引はひとつの信用になるでしょう。
いっぽうで、取引が「預金口座がある」ことを指すのであれば、それほどの信用とは言えない。というのが、わたしの主観です。
⑥ 特許権・意匠権など
自社に特許権や意匠権などの、いわゆる「知的財産権」があるのであれば、積極的にホームページでアピールしていきましょう。
開発力の高さ、技術力の高さとして、銀行が注目をするところです。
言うまでもないことですが、いくら特許や意匠があっても、それらが商品に活かされていなかったり、商品が売れていなかったりではアピールとして不十分です。
特許権や意匠権についてアピールするのであれば、自社商品への活用度や、商品の売れ行きなどを考慮して… という点には気をつけましょう。
⑦ 取扱商品・サービス
自社の取扱商品・サービスについては、当然、ホームページに掲載しましょう。
その際のポイントは、「同種他社商品・サービスとはなにが違うのか?」を明確にすることです。
ここで言う「なに」は、たとえば「機能」「性能」「仕様」「価格」「販売ルート」「アフターサービス」「品ぞろえ」などが挙げられます。
たとえ見た目は同じモノだとしても、なにかしら違いはあるものです(実際、そうでなければ売れません)。その違いをはっきりとアピールしましょう。
商品・サービスの名称をただただ列挙しているだけでは、なにも伝わりません。
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まとめ
銀行融資をもっと引き出す「自社ホームページの記載内容」についてお話をしてきました。
事業性評価の浸透を背景に、これからは銀行が「融資先のホームページ」にいままで以上に注目をするはずです。
いまあるホームページをあらためて見直してみましょう ↓
- 経営者あいさつ
- 沿革
- 役員株主
- 従業員数
- 主要取引先
- 特許権
- 取扱商品・サービス