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『会社の融資』を『個人のローン』と同じに考えてはダメな3つのポイント

会社の融資と個人のローンを同じに考えてはダメ

「会社の融資」と「個人のローン」。どちらも「借金」という点では同じようにも見えますが…

実は、「会社の融資」と「個人のローン」とを同じに考えてはダメですよ。というお話をしていきます。

目次

融資とローンの違いを知らないと会社は破綻する

会社・事業における銀行融資について。

個人におけるローンと同じように考えている人のハナシを見聞きすることがあります。

たしかに、「借金(=おカネを借りる)」という点では、「会社の融資」も「個人のローン」も同じです。

ところが。まったく同じように考えていいか、というとそんなことはありません。

むしろ、違うところのほうが多く、その違いに注意をする必要があります。

なぜならば、経営者が「会社の融資」を「個人のローン」と同じ感覚で考えていたばかりに、会社の資金繰りが破綻してしまうことがあるからです。

というわけで。「会社の融資」を「個人のローン」と同じに考えてはダメなポイントについてお話をしていきます。ポイントは次の3つです ↓

「会社の融資」を「個人のローン」と同じに考えてはダメなポイント
  1. 給与は一定でも、売上は変動する
  2. そもそも個人に「運転資金」のローンはない
  3. 会社の融資に「繰り上げ返済」はありえない

それでは、このあと順番に見ていきましょう。

【参考】「融資」と「ローン」という言葉について

「融資」と「ローン」は、ほぼほぼ同じような意味を持つ言葉です。いっぽうで、「融資」は会社に対して使われ、「ローン」は個人に対して使われることが一般的になっています。

したがって、本記事でも「会社の融資」「個人のローン」という言葉の使い分けをしています。

 

「会社の融資」を「個人のローン」と同じに考えてはダメなポイント

《ポイント①》給与は一定でも、売上は変動する

借金はできるだけしたくない、という考え方があります。借金は無いほうがいい、同感です。

ただ、「しなければいけない借金」についてまで、借金は無いほうがいいとは言えません。

しなければいけない借金、とはいったいどういうことなのか? ここで、会社・事業における「売上」をイメージしてみましょう。

多くの場合、売上は波を描きます。売上は多いときもあれば、少ないときもある。

とくに、大企業ほど事業が安定しない中小零細企業においては、その波は大きく、さらには読みにくい。そんな特徴があるものです。

では、売上が少ない状態が続いてしまった場合にどうなるか。手元のおカネが無くなれば、当然、会社はつぶれてしまいます。

したがって会社は、いつくるかわからない波(売上の変動)に備えて、手元のおカネをじゅうぶんに増やしておく。という考え方が必要です。

このとき、おカネを自己資金で増やせないのであれば、借りてでもおカネを増やすことが選択肢にあがります。

これが「しなければいけない借金」であり、具体的には「銀行からの融資」です。

会社に対して、個人の場合はどうでしょう? 個人の収入源である「給与」は、会社の売上ほどには変動しないはずです。

もちろん、減給されることもあれば、リストラの憂き目にあう… ということもあるでしょう。けれども、それらは売上が増減する頻度に比べれば、それほど起きることではありません。

ですから、個人の場合には、収入(給与)の波に備えて借金をするという感覚がなじまないのです。

ただ、その感覚のまま、会社の融資を考えてはいけません。前述したとおり、売上の波は大きく、読みにくいからです。

しなければいけない借金を嫌い、会社の資金繰りを破綻させることがないように。会社の売上と、個人の給与とは違う、ということに気をつけましょう。

《ポイント②》そもそも個人に「運転資金」のローンはない

さきほど《ポイント①》で、会社は「売上の波」に備えて融資を受ける、という話をしました。

であるならば。会社ほどではないにせよ、個人も「給与の波(減給・リストラ)」に備えてローンを受けておくのがよさそうだ、との考え方はあるでしょう。

ところが、個人の場合、そのような目的で受けられるローン商品がありません。

会社の場合には、日々の仕入や経費の支払いに充てるためのおカネ(運転資金と言います)に対する融資がある。でも、個人が日々の生活費に充てるためのおカネを借りるローンはないのです。

この点で。カードローンやキャッシング、リボ払い、もっと言えばサラ金・闇金だってあるだろう。そう言われるかもしれません。

ですが、それらは利息が高すぎます。それこそ給与は一定ですから、もっと稼いで返すということもそうそうかないません(ギャンブルで稼ぐ、と言い出す方がいますが論外です)。

ゆえに、カードローンやらキャッシングやらは使うとしても、一時的・短期的な利用に限られる。ご利用は計画的に、と言われているとおりです。

そう考えると、個人の場合にはそもそも「給与の波」に備えるようなローンはないわけで。

これが、会社の場合にも「売上の波」に備える融資もない、との思い違いにつながることがあります。あるいは、融資があるのは知っているが利用しようという発想にいたらないことがあります。

繰り返しになりますが、会社の場合には日々の仕入や経費の支払いに充てるための銀行融資がありますし、一時的・短期的な利用に限られるものではありません。

個人のローンと会社の融資とでは、商品に違いがあるということを押さえておきましょう。

【参考】スコアレンディングについて

個人のローン商品として、最近では「スコアレンディング」もあります。スマホやパソコンなどで情報登録・質問回答すると、点数化されて金利・貸出金額が決まるというものです。

借りたおカネの使いみちは自由なのですが、いかんせん現状では金利が高く。やはり、一時的・短期的な利用に限られるとの理解が必要でしょう。

《ポイント③》会社の融資に「繰り上げ返済」はありえない

個人のローンの代表格とも言えるものに「住宅ローン」が挙げられます。

その住宅ローンについては「繰り上げ返済」が関心事とされ、繰り上げ返済すべきか否かの相談はしばしば見聞きするところです。

端的に言えば。手元のおカネに余裕があるのなら、繰り上げ返済をしたほうがいいよね。そのほうが利息を含めた総返済額が少なくなるから、というのが「答え」になります。

これと同様に、会社の融資も繰り上げ返済すべきか否かのハナシもありますが。結論として、会社の融資に繰り上げ返済はありえません。

なぜならば、「手元のおカネに余裕がある」という会社はまずないからです。

おカネに余裕がある、つまり、資金繰りに余裕があると言うためには、最低でも月商(月の売上高)の3ヶ月分は必要だ。というのがわたしの考えです。

月商1ヶ月分では資金ショートの可能性が高く、2ヶ月分ではなにかあったとき(売上の減少など)にもたない可能性が高いから。ゆえに、月商の3ヶ月分の現金預金は欲しい。

ところが、月商1ヶ月分くらいしか現金預金がない、という会社(とくに中小零細企業)は決して少なくありません。

そのような会社が、繰り上げ返済をすればどうなるか? 言うまでもなく、資金繰りが破綻する可能性は高くなります。

その破綻を防ぐために、経営者が資金繰りに奔走し、疲弊するのであれば。それもたいへんな苦労です。

だとしたら、借りてでも手元におカネを持つべきであり、せっかく借りたおカネをわざわざ繰り上げ返済する理由がありません。

そもそも、会社の売上が変動することは前述したとおりです。個人の給与が一定なのとは、置かれている環境がまるで違います。前提が違うのです。

住宅ローンの繰り上げ返済で言われる「利息の損得」は、給与が一定という前提のもとに成り立つ話であることを理解しておきましょう。

利息の損得をとって、会社がつぶれてしまうのでは元も子もありません。

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まとめ

「会社の融資」を「個人のローン」と同じに考えてはダメなポイント、についてお話をしてきました。

どちらも「借金」という点では同じようにも見えても、「会社の融資」と「個人のローン」とを同じに考えてはいけません。

会社の資金繰りが破綻することがないように、両者の違いを押さえておきましょう。

「会社の融資」を「個人のローン」と同じに考えてはダメなポイント
  1. 給与は一定でも、売上は変動する
  2. そもそも個人に「運転資金」のローンはない
  3. 会社の融資に「繰上返済」はありえない
会社の融資と個人のローンを同じに考えてはダメ

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