「この会社、倒産しそうだなぁ」と銀行に思われたら、融資を受けることはできません。
というわけで。銀行が融資を渋る「倒産の前兆?」と見られる会社の特徴についてお話をしていきます。
倒産しそうな会社に、銀行がおカネを貸すはずがない。
会社・事業における銀行融資について。
「銀行は晴れた日に傘を差し出し、雨の日には傘を取り上げる」との言葉があります。
つまり。銀行は、会社の調子が良いとき(晴れの日)には傘(融資)を差し出すけれど、調子が悪いとき(雨の日)には傘(融資)を取り上げる。そういうことです。
CHECK! 雨の日に傘を取り上げるのは当然!銀行融資は晴れの日に傘を借りよ
この点で。雨がザーザー降っているような会社、言い換えると、倒産をするのではないか?と思われるような会社に対して、銀行は融資を渋ることになります。
したがって、おカネを借りる側としては融資を渋られることがないように。また、あらぬ倒産の疑いをかけられることがないように。
銀行が「倒産の前兆」と見る会社の特徴について知っておく、自社が該当していないか確認をしておくのがよいでしょう。その特徴はぜんぶで9つです ↓
- 融資残高が減るいっぽう
- 高金利の借入がある
- 2期連続赤字
- 粉飾決算っぽい
- 現金預金がいつも月商1ヶ月分未満
- 支払遅延が起きている
- 社長が不在にしがち
- 社員の退職が多い
- 売上先が集中している
それでは、このあと順番に見ていきましょう。
銀行が融資を渋る「倒産の前兆?」と見られる会社の特徴
《特徴①》融資残高が減るいっぽう
銀行からいちど融資を受けたあと、ふたたび融資を受けることがなければ、返済が進むにつれて融資残高は減り続けます。
これについて、A銀行からの融資残高が減り続けているようすをB銀行が見た場合。B銀行はこんなふうに考えることがあります ↓
「この会社、倒産しそうだからA銀行は融資をしないのかなぁ」
B銀行は、その会社が「おカネを借りたくても借りられない」ほど危ない状況にあるのではないか、と疑っているわけです。疑えば、当然、融資を渋ります。
銀行からおカネを借りられることはひとつの信用と見られている。ゆえに、融資残高が減るいっぽうだと、低下する信用というものもある。覚えておきましょう。
《特徴②》高金利の借入がある
銀行からの融資ではなく、いわゆるノンバンクその他からの「高金利」の借入をしていると。倒産の前兆、と見られがちです。
銀行から借りられないから、ほかで借りているのでしょう? ということであり、いずれ高金利と返済に耐えきれずに… と見られるわけです。
それなら銀行にバレないように、社長個人が借入をしてきて、会社は社長から借りたことにすればいい。
かと言うとそうでもなく。不自然なおカネの流れに、銀行は敏感なものです。社長からの借入の「源泉」について、銀行から聞かれることもあります。
また、社長は社長で返済をしなければいけませんから、会社からおカネを持ち出そうとする。すると、そこにも不自然なおカネの流れが生じます。バレないように、はうまくいきません。
《特徴③》2期連続赤字
会社の業績不振を示す「赤字」が2期続くと、銀行からの融資は格段に厳しくなります。
2期連続となると、「たまたま赤字」とは言えなくなるからです。銀行からすれば、「このまま赤字が続くのではないか?」と見たくなる。
したがって、銀行融資を考えるのであれば。単年の赤字はやむをえないとしても、2期連続の赤字はなんとしても避けたいところです。
赤字については、ほんとうに業績が悪い場合とは別に、「税金を納めたくないから赤字(にしている)」というケースがあります。
税金を減らすこともひとつの視点ではありますが、税金が減った分だけ、銀行からの資金調達力は下がるのだということを忘れてはいけません。
《特徴④》粉飾決算っぽい
たとえば、在庫が妙に増えている、売掛金が妙に増えている、という場合。架空在庫や架空売上として、粉飾決算を疑われることがあります。
ほんとうは業績が悪いのだけれど、粉飾をすることで黒字にしているのではないか? 銀行にはそのように考えているのです。
実際、「倒産した会社の半分は黒字だった」との統計データもあり。倒産する会社というのは少なからず粉飾をしているのではないか、と銀行が考えるのもムリはありません。
ほんとうに粉飾をしている、というのは論外として。ほんとうは粉飾なんてしていないのに、疑われてしまうことがないように。
決算書上の異常値などについては、銀行にじゅうぶん説明をすることが大切です。決算書を渡しているだけだと、疑いは晴れません。必要な手間は惜しまないようにしましょう。
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《特徴⑤》現金預金がいつも月商1ヶ月分未満
いつも資金繰りが忙しく汲々としているようすは、倒産の前兆としてよく見られるところです。
ではなぜ、資金繰りが忙しいのかと言えば。それは手元のおカネが無い・少ないからです。
具体的には、現金預金の残高がいつも月商1ヶ月分未満。そのような会社は総じて資金繰りが忙しく、資金ショートの可能性が高くなります。
ですから銀行は、現金預金の残高が少ない会社を好みません。結局、資金ショートして、返済してもらえなければ困ります。だから融資をしたくない。
銀行から融資を受けようと考えるのであれば、現金預金はどんなに少なくとも月商1ヶ月分以上を維持するように気をつけましょう。
言い換えると、月商1ヶ月分以上の余裕があるうちに融資を受けておくようにしましょう。それを怠ると、借りれるものも借りれなくなってしまいます。
《特徴⑥》支払遅延が起きている
支払うべきものが支払えていない・遅れている、となれば。倒産を想像させることになります。
たとえば、仕入先への支払い、事務所の家賃、従業員への給与など。それらの支払遅延が銀行に知れれば、融資を受けることは難しくなるばかりです。
なかでも、税金の支払遅延はよくありません。銀行は税金の支払遅延をとくに嫌います。
税金を支払うのはだいじなことだから、ということもありますが。それとは別に、税金は「銀行融資よりも優先する債権」だからでもあります。
つまり、銀行に返済をするよりも先に、払うべき税金を払わなければいけない、ということです。
税金の支払い遅延がある分だけ、融資をしても返済をしてもらえる可能性が低くなる。だったら融資はしたくない、と銀行は考えます。
少なくとも、融資を受ける時点では税金の支払遅延はなくしておくようにしましょう。
《特徴⑦》社長が不在にしがち
資金繰りが厳しい会社によくあらわれる現象として、社長が会社に不在がちになる、というものが挙げられます。
不在にしてなにをしているのか? おカネの算段です。
おカネが尽きたときが会社の終わりですから、資金繰りが厳しくなると、社長はなにをおいてもおカネの算段に奔走することになります。
経営について考える時間も、社内をマネジメントする時間も、商談や会議に参加する時間もありません。すべて後回しです。
したがって、急に社長が不在がちになった、それとなく行き先を聞いても的を射ない、という会社を銀行は警戒します。
《特徴⑧》社員の退職が多い
社員がいれば誰かしらが退職をするのは普通です。けれども、たくさんの社員が辞めていくとなると、それは異常です。
10人の社員がいて、1人〜2人が辞めることはあっても、5人〜6人が辞めるというのはなにかがおかしい。
社員が、会社の未来に見切りをつけた、と考えるのが妥当でしょう。とくに、会社の財務内容を知る立場にある経理職員や役員・幹部の退職が多いとなると決定的です。
そのようなことから、銀行は社員の退職にも注意を払っていることを覚えておきましょう。
《特徴⑨》売上先が集中している
売上先の数が少なく、売上が集中しているのはリスクである。これは、銀行に限らず、一般的に言われることでもあります。
極端に言えば、売上先は1つしかなく、なんらかの事情で売上先でなくなってしまったら。売上はゼロになってしまう…
ゆえに、売上先はあるていど分散をしているほうがいい。ということです。
倒産の前兆とまでは言えないにしても、売上先が集中していると倒産の可能性が高い、という目では見られます。
また、売上先が集中しているうえに、その相手が中小零細企業ということであればなお危険です。中小零細企業は大企業ほどに事業が安定していないからですね。
逆に、相手が大企業なのであれば、その点を銀行にアピールしておくようにしましょう。
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まとめ
銀行が融資を渋る「倒産の前兆?」と見られる会社9つの特徴についてお話をしてきました。
- 融資残高が減るいっぽう
- 高金利の借入がある
- 2期連続赤字
- 粉飾決算っぽい
- 現金預金がいつも月商1ヶ月分未満
- 支払遅延が起きている
- 社長が不在にしがち
- 社員の退職が多い
- 売上先が集中している