プロパー融資を受けたい! なのに、なかなか受けられない…
では、どうしたらプロパー融資を受けることができるのか。「プロパー融資を受けやすくする」のに必要な条件について、お話をしていきます。
プロパー融資を受けたいのに受けられない、というもどかしさ。
会社・事業における銀行融資について。
「プロパー融資を受けたい」という話をよく聞きます。なぜなら、借り手にとって、プロパー融資には多くのメリットがあるからです ↓
いっぽうで。いったいどうしたらプロパー融資が受けられるようになるのか? いつになったらプロパー融資を受けられるようになるのか? という話もよく聞きます。
プロパー融資には多くのメリットがある反面、受けるのが難しいというデメリットもあるからです。
そこで、プロパー融資をより受けやすくするために必要な条件について、お話をしていきます。次の5つです ↓
- 内容が良い決算書
- 間違いのない銀行選び
- 取引実績
- 密なコミュニケーション
- 借り手に有利なタイミング
それでは、このあと順番に見ていきましょう。
「プロパー融資を受けやすくする」のに必要な条件
《条件1》内容が良い決算書
銀行が融資の可否を判断するための「審査材料」はいろいろあります。いろいろあるなかで、もっとも大きな影響力を持つのが「決算書」です。
内容が良い決算書は融資が受けやすく、内容が悪い決算書は融資が受けにくい。
これは融資全般に言えることではありますが、プロパー融資についてはとりわけ「決算書」の良し悪しがだいじになります。
もし回収不能になれば、100%の損をこうむるプロパー融資に対して、銀行はとても慎重だからです。
かたや、回収不能時には損の一部または全部を肩代わりをしてもらえる「信用保証協会付き融資」とは銀行の姿勢も異なります。
では、プロパー融資を受けるにあたっての「内容が良い決算書」とは? 具体的には次の3つが目安になります ↓
- 税引後利益+減価償却費 > ゼロ
- 資産 > 負債
- 借入金残高 ÷(税引後利益+減価償却費)< 10
CHECK! 『銀行から融資を受けられる?』の目安がわかる決算書の見方
上記3つを「すべて満たす」というのが、プロパー融資を受けられる決算書の目安です。
もちろん、それぞれをより余裕をもって満たす・らくらくクリアできるほど、プロパー融資は受けやすくなります。
逆に、上記3つのいずれかでも満たせないものがある場合、いまはまだプロパー融資は厳しいという理解が必要です。
《条件2》間違いのない銀行選び
プロパー融資には「内容が良い決算書」が必要だ、という話をしました。
これに関連して。銀行の規模が大きくなるほど融資の審査は厳しく、より「内容が良い決算書」が求めらることも覚えておきましょう。
具体的には、銀行の規模が大きい順に、「都市銀行」「地方銀行」「信用金庫・信用組合」となります。
なかでも「都市銀行」については、中小企業がプロパー融資を受けるのは無理だ、と考えてよいでしょう。
それぞれの銀行の役割分担として、都市銀行の主たる融資先は「大企業」だからです。
中小企業に比べて決算書の内容が良く、安定している大企業に、大きな金額を低利で融資するのが都市銀行。リスクがある中小企業に、小さな金額を低利で融資していたのでは商売にならない。
ですから、中小企業はそもそも都市銀行に融資を求めないことです。審査が厳しいプロパー融資であればなおさらです。
中小企業がプロパー融資を受けるのであれば、まずは「信用金庫・信用組合」。次いで「地方銀行」がセオリーです。
銀行選びを間違えると、受けられるはずのプロパー融資も受けられません。気をつけましょう。
《条件3》取引実績
もし回収不能になれば、100%の損をこうむるプロパー融資に対して銀行はとても慎重だ、と前述しました。
この点で、銀行は「取引実績」を重視しています。過去に融資をした・約束どおり返済をしてもらった、という実績です。
その取引実績をひとつの信用と見て、「プロパー融資をしてもだいじょうぶだろう」と考えるのです。
そこでまず銀行は、銀行にとってリスクが小さい信用保証協会付き融資から取引をはじめて、様子をうかがいます。
ですから、はじめからプロパー融資を受けるのは難しい(絶対に無理ではありませんが)。まずは信用保証協会付き融資で取引実績をつくるところから、との理解が必要です。
《条件4》密なコミュニケーション
決算書の内容が良かったとしても、その数カ月後にどうなっているかはわかりません。
業績が悪化している… というのもありえる話ですから、銀行としても心配なところでしょう。心配になれば、プロパー融資も難しくなります。
であるならば、銀行とはコミュニケーションを蜜にすることです。年に1回、決算書を提示するだけではなく、定期的に状況を知らせる。
具体的には、試算表の作成・提示です。毎月試算表を作成・提示することで、銀行は融資先の状況をより把握できるようになります。
状況が良いにしても悪いにしても、タイムリーな情報を継続的に知ることができるというところに、銀行の安心があるものです。
毎月かどうかという頻度はともかく、2ヶ月に1度でも、四半期に1度でも、「定期的」に試算表を提示することを検討してみましょう。
また、試算表を通じて銀行とコミュニケーションをとることで、銀行が融資先の「事業の内容」をよく知るきっかけにもなります。
すると、決算書の表面的な数字・過去の数字だけではなく、将来の「事業の成長可能性」までを見て、銀行はプロパー融資の検討ができるようになります。
結果として、プロパー融資がより受けやすくなる、ということです。プロパー融資を求めるのであれば、銀行との密なコミュニケーションを心がけましょう。
《条件5》借り手に有利なタイミング
繰り返しになりますが、リスクが大きいプロパー融資に銀行は慎重です。
けれども、銀行自身が「どうしても融資をしたい」というタイミングであればどうでしょう? ふだんは厳しいプロパー融資でも、より受けやすくなることが期待できます。
では、どうしても融資をしたいタイミングとは。たとえば、銀行の中間決算である9月、本決算である3月。目標達成に向けて、とくに目標未達の状況にあれば、融資をしたいと考えることでしょう。
ですから、それら決算の少し前、8月あるいは2月あたりに融資の打診をしてみる。タイミングとしておすすめです。
また、この時期は銀行のほうから融資をすすめてくることもあります。そのときには、「プロパー融資なら受けます」との交渉をするチャンスです。
プロパー融資を受けることができれば、その実績が、今後融資を受けるにあたっての信用になります。他の銀行からもプロパー融資を受けるチャンスが広がります。
たとえいま現在は「融資は必要ない」という状況であったとしても、将来を考えて「あえてプロパー融資を受ける」のも選択肢のひとつです。
いつかはプロパー融資を受けたいというのであれば、銀行が「融資をしたい」というタイミングを見逃さないようにしましょう。
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まとめ
「プロパー融資を受けやすくする」のに必要な条件についてお話をしてきました。
プロパー融資には多くのメリットがある反面、受けるのが難しいというデメリットもあります。
プロパー融資を受けたいのであれば、より受けやすくするのに必要な条件を押さえておきましょう。
- 内容が良い決算書
- 間違いのない銀行選び
- 取引実績
- 密なコミュニケーション
- 借り手に有利なタイミング