お客さまを接待したときの飲食代、取引先と打合せをしたときのカフェ代など。領収書やレシートの取り扱い方によっては経費から漏れてしまいます。
というわけで、接待・会議の飲食代を漏れなく経費にするための領収書・レシート術のお話です。
領収書・レシートの取り扱いがヘタだと経費は漏れる
お客さまを接待したときの飲食代、取引先と打合せをしたときのカフェ代など。
接待・会議の飲食代を、漏れなく「経費」にできていますか?
経費から漏れてしまえば、その分、税金が高くなってしまいます。払う必要がない税金を払うのはイヤですよね。
この点で。漏れなく経費にするためのポイントのひとつに、「領収書・レシート」が挙げられます。
つまり、領収書やレシートの取り扱い方によって、きちんと経費にできたり、逆に経費から漏れてしまったりするわけです。
仕事がら、社長や個人事業者が領収書・レシートを取り扱うようすを拝見していますが。必ずしも上手な取り扱いはできていないようです。その場合、経費から漏れてしまう可能性があります。
そこで、接待・会議の飲食代を漏れなく経費にするための領収書・レシート術についてお話をしていきます。
- 領収書・レシートはもらう、とっておく
- 高額なら「領収書」をもらう
- 必要に応じて出金伝票を使う
- 「誰と、なんのために」をメモしておく
- プライベートのレシートもとっておく
それでは、このあと順番に見ていきましょう。
接待・会議の飲食代を漏れなく経費にするための領収書・レシート術
《術その1》領収書・レシートはもらう、とっておく
そんなのあたりまえじゃないか、と思われるかもですが。意外とそうでもありません。「失くしちゃった」とか、「もらうの忘れた」というハナシはよくお聞きしていますから。
言うまでもありませんが、領収書・レシートは「支払いをした」ことの証拠になるものですから。漏れなく経費にするのであれば、きちんともらう・とっておくことです。
ここでのポイントは、受け取った領収書・レシートはクシャクシャっと洋服のポケットに突っ込んだりしないこと(よく見かけます)。そういうものは、どういうわけか失くなりやすいので。
ですから、領収書・レシートを受け取ったらすぐに、財布のなかやカバンのなかにしまいましょう(なにかしら、しまう場所を決めておくとよいです)。
加えて、その領収書・レシートを翌朝には取り出して、帳簿つけ(経理)してしまうのがベストです。それを放置していると、やはりどういうわけか失くなってしまうのは「あるある」ですから。
それからもうひとつ、別の視点から。お会計の際、「これは自腹を切ろう(経費には入れない)」と考えたとしても、ひとまず、領収書・レシートはもらっておきましょう。とっておきましょう。
会社や事業の業績を優先して、飲食代は自腹を切ろうと考える社長・個人事業者は少なくありませんが、決算になって「こんなに利益が出ていた…」というケースも少なくありません。
そのようなときには、ひとまずもらっておいた領収書・レシートを経費に入れることができます。自腹を切らずに済むし、ムダな税金を払わずに済みます。
ですから、領収書やレシートはひとまずもらう・ひとまずとっておくのがおすすめです。
《術その2》高額なら「領収書」をもらう
接待のときなど、飲食代が「高額」になるときは、レシートではなく領収書をもらうようにしましょう。
なぜなら、領収書のほうがレシートよりも、経費を主張するうえでの「説得力」があるからです。誰に対しての説得力か?
「税務署」です。税務調査となると、税務署は「高額」の経費に対してとくに注目します。経費ではない、となれば税金の追徴が大きくなるからですね。
このとき、もしも経費であることをうまく主張・説得できなければ、その飲食代は経費から漏れてしまうことになります。
では、なぜ領収証のほうがレシートよりも説得力があるのかと言うと。領収書には「宛て名(誰が支払ったか)」があるからです。
レシートには「宛て名」の記載はありませんが、領収書にはそれがあります。宛て名の記載によって、「たしかにその人が支払った」ことを示すことができる。
極端を言えば、レシートは人からもらったり、そのへんに落ちているものを拾うこともできますが、宛て名入りの領収書となるとそうもいきません。これが領収書とレシートの大きな違いです。
この点で、領収書をもらうのであれば、必ず「宛て名」に社名・屋号・氏名などをきちんと書いてもらいましょう。
いっぽうで、「上様」と書かれた領収書では、わざわざ領収書をもらう意味がありません。宛て名のないレシートとなんら変わらないからです。
なお、いくらから「高額」かについて明確な基準はありませんが。だいたい2、3万円を超えるくらいから、と考えておくとよいのではないでしょうか。
逆に、それ以下の金額の支払いであれば、レシートでじゅうぶんだと言えます。なんでもかんでもわざわざ領収書をもらう必要はない、ということも覚えておきましょう。
《術その3》必要に応じて出金伝票を使う
さきほど、領収書・レシートを「失くしちゃった」とか、「もらうの忘れた」というハナシはよくお聞きする、と言いました。
領収書・レシートを「失くしちゃった」から、「もらうの忘れた」から経費にはできない… と考えると。その飲食代は経費から漏れてしまいます。
これに対しては、再発行してもらうという方法もありますが、必ずしも現実的ではないというケースもあるでしょう(お店の場所が遠い、など)。
そんなときには、「出金伝票」をつくる、という方法があります。出金伝票とは? つくりかたは? など、詳しくはこちらの記事に譲るとして ↓
要は、領収書・レシートの代わりになるのが「出金伝票」です。
まいどまいど出金伝票というわけにはいきませんが(イイ加減すぎるので)、たまにであれば出金伝票をつくることで経費から漏らさずにすみます。
ところで、この出金伝票。領収書・レシートをもらおうとしたけどもらえなかった、というときにも使えます。
具体的には、飲食代を「割り勘」して支払ったときです。みんなで割り勘をしたのだけれど、領収書・レシートまではもらえなかった。もらいにくかった。そんなこともありますよね。
そのときは、割り勘をして実際支払った金額で、出金伝票をつくっておきましょう。
なお、出金伝票はみずからつくるものであるゆえ、証拠能力としては低めです。飲食をしたお店の「ショップカード」などをもらっておき、証拠資料として出金伝票に添付しておくのがベストです。
《術その4》「誰と、なんのために」をメモしておく
飲食代の領収書・レシートについて、税務署は「ほんとうに経費なのか? 実はプライベートなのでは?」を疑っているものです。
実際、いくら領収書・レシートを眺めてみたところで、プライベートを否定できるような記載はありません。
だったら、じぶんで書いておきましょう。領収書・レシートの余白、あるいは裏に、「誰」と「なんのために」した飲食かを記載しておくのです。
たとえば、「〇〇社 △△氏・◇◇氏、得意先接待」「〇〇社 △△氏、新商品の商談」など。
こんなことを言うと、「なにそれ、メンドー…」と思われるでしょうし、多くの会社・個人事業者はそこまでの記載をしていないものです。
だからこそ、そこまできちんと記載をしていることが、税務署に対しての「説得力」になります。
税務署からすれば「きちんとしているなぁ」ということであり、また、記載されている内容について「これはウソではないか?」とも言いづらいことでしょう。
逆に。メンドーだからと記載の手間を惜しんだ場合、あとになって「これは、誰となんのために?」と聞かれても覚えていない、思い出せない。
税務署に説明がつかず、経費から外すことになってしまった… これでは、ほんとうは経費であるはずの飲食代が、経費から漏れてしまいます。
そこまでにはいたらないにしても。領収書・レシートに記載が無いがために、税務署への説明・説得に苦慮をすることは十分にありうる話です。
「ウチは飲食代が多いんだよね」という自覚がある場合にはとくに、「誰と、なんのために」をメモしておくようにしましょう・
《術その5》プライベートのレシートもとっておく
税務署は「ほんとうに経費なのか? 実はプライベートなのでは?」を疑っている、と前述しました。
その疑いを晴らすための証拠資料として、「プライベートのレシート」が挙げられます。仕事とは関係がない、プライベートでの飲食のレシートです。
もちろん、本来、プライベートのレシートは必要ありません。
けれども、プライベートのレシートがあれば、「経費にしていない飲食代もある」ことの証明をすることができます。
つまり、飲食代のぜんぶがぜんぶを経費にしているわけではない、ちゃんと経費と私費とを区別している、との証明になるわけです。
これに対して、プライベートのレシートが無ければ。いくら区分をしていると言ったところで、「ほんとうに?」という疑いを晴らすことはできません。
ですから、あえてプライベートのレシートももらっておく・とっておくことも検討してみましょう。
とくに、休日の飲食代や、自宅近くの飲食代はプライベートを疑われやすいものです。
それらの飲食代について、経費・私費ともにレシートがあれば、税務署に対するひとつの説得材料にすることができます。
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まとめ
接待・会議の飲食代を漏れなく経費にするための領収書・レシート術についてお話をしてきました。
経費から漏れてしまえば、その分、税金が高くなってしまいます。払う必要がない税金を払うのはイヤですよね。
領収書やレシートの取り扱い方によって、きちんと経費にできたり、逆に経費から漏れてしまったりする。そのポイントを押さえておきましょう。
- 領収書・レシートはもらう、とっておく
- 高額なら「領収書」をもらう
- 必要に応じて出金伝票を使う
- 「誰と、なんのために」をメモしておく
- プライベートのレシートもとっておく