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銀行は『決算書の信頼度』を『会社と税理士の関係』でも見ている 7つのポイント

銀行は「決算書の信頼度」を「会社と税理士の関係」でも見ている

銀行から融資を受けようとするときに見られる決算書。銀行は「その決算書が信頼できるかどうか」に関心を持っています。

というわけで。銀行は「決算書の信頼度」を「会社と税理士の関係」でも見ている、というお話をしていきます。

目次

会社と税理士の関係まで見ている銀行

会社が銀行から融資を受けようとする場合、「決算書」の提示を求められます(創業時の融資を除く)。

その結果、決算書の内容が良ければ融資には前向き、悪ければ後ろ向き。

決算書の内容がすべてだ、とまでは言いませんが。決算書の内容が融資の可否を大きく左右する、と言ってよいでしょう。

貸したおカネを返してくれる会社かどうか。決算書に記載されている具体的な「数字」をもとに、会社の返済力をはかることができる。

具体的かつ計測可能な「数字」がある、というのが決算書が銀行に重宝される理由です。

ところが。

もしも、その「数字」が間違っているとしたら?事実とは異なっているとしたら? 銀行は融資の可否を正しく判断することができません。

したがって、「その決算書は信頼できるのか?」というのは、銀行にとっての関心事です。

そこで、決算書の信頼度をはかる方法はいろいろありますが。そのなかのひとつに「会社と税理士の関係を見る」ことが挙げられます。

決算書ができあがるまでの過程で、会社と税理士とはどのように関わっているのか? そこから、決算書の信頼度をはかろうというわけです。

へぇ、銀行はそんなところまで見ているのか。ということではありますが。銀行の見方・考え方として、押さえておくとよいでしょう。

そんな「会社と税理士の関係」について、銀行が見ているポイントはこちらです ↓

銀行は「決算書の信頼度」を「会社と税理士の関係」でも見ている 7つのポイント
  1. 税理士が関与しているものか?
  2. 税理士がよく変わっていないか?
  3. 決算書の様式が変わっていないか?
  4. チェックリストを出してもらえるか?
  5. 収受印はあるか?期限内か?
  6. 加算税、延滞税はないか?未納はないか?
  7. 決算はコンサバか?

それでは、このあと順番に見ていきましょう。

 

銀行は「決算書の信頼度」を「会社と税理士の関係」でも見ている 7つのポイント

《ポイント1》税理士が関与しているものか?

まず第一に、「その決算書に税理士は関与しているのか」を銀行は見ています。

言い換えると。税理士は関与しておらず、会社だけでつくられた決算書ではないかどうか。

この点で、税理士が関与した決算書のほうが信頼できる、というのが銀行の見方です。

実際、税理士抜きで決算書をつくる、とくに法人税申告書をつくるのはなかなか困難であり。会社だけでつくった決算書はメチャクチャだった…ということはあるわけです(わたしも見たことがあります)。

では、税理士が関与しているかどうかをどこで確認するのか?

法人税申告書の1枚目、「別表一」と呼ばれる書類の右下に「税理士 署名押印」の欄があります。

そこに税理士の名前があるかどうか、です。あれば税理士が関与している、なければ税理士が関与していない。一目瞭然です。

【参考】法人税申告書も含めて決算書

銀行が「決算書を見せてください」と言うときには、基本的に「法人税申告書一式」のことを言っています。そこには、法人税申告書のほかに、勘定科目内訳明細書なども含まれます。

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《ポイント2》税理士がよく変わっていないか?

さきほど触れた「税理士 署名押印」の欄について。銀行は時系列でも見ています。時系列で並べてみて、税理士が変わっていないかを見ています。

それでなにがわかるのか、と言うと。粉飾や脱税の可能性です。

税理士はその仕事柄(?)、粉飾や脱税を嫌います。ゆえに、もしも会社がそれらを望めば「お引き受けできません」となるわけです。

結果、「税理士 署名押印」の欄にある税理士がコロコロ変わる…ということが起こりえます。

税理士が変わることに対して、銀行は「ネガティブ」に感じるところがある、ということです。

税理士を変えたときには、その経緯・理由を銀行に説明しておくのがよいでしょう。

《ポイント3》決算書の様式が変わっていないか?

決算書の中身はもちろん重要ですが、銀行は決算書の外身にも注目をしています。

ここで言う決算書の外身とは、「決算書の様式」のことです。

いまどきはほとんどの場合、会計ソフトで決算書を作成・印刷します。ですから同じ会計ソフトを使っていれば、毎年同じ様式の決算書ができるはず。

ところが。あるとき突然、決算書の様式が変わった場合に銀行はなにを思うか?

それは「もしかして二重帳簿?」です。ほんとう(事実)の決算書とは別に、銀行用のウソ(粉飾)の決算書をつくっているのではないか、を疑います。

たとえば。ほんとうの決算書はいままでどおりの会計ソフトでつくっていて、ウソの決算書は別の会計ソフトやExcelなどでつくっている、など。

なので、決算書の様式が変わると銀行から「会計ソフト変えました?」と聞かれることがあります。疑われてますよ、というハナシです。

《ポイント4》チェックリストを出してもらえるか?

「中小企業の会計に関する基本要領」というものがあります。これは、中小企業が決算書をつくるにあたり「よりどころ」とすべき会計・経理ルールです。

この「基本要領」をどれだけ守っているかを示すものとして、『「中小企業の会計に関する基本要領」の適用に関するチェックリスト』なる書類があります。

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基本要領にもとづいて決算書をつくっている場合、チェックリストに回答をしたうえで、関与税理士が記名・押印。それを銀行に提示することで、決算書の信頼度が高まる、という効果があります。

とはいえ、必ずしもチェックリストのすべてに問題なく回答できるとは限りません。

たとえば、減価償却をちゃんとやっているか。未払費用や未払金をちゃんと計上しているかなど。赤字の会社などではちゃんとやっていなかったりします。この場合、チェックリストは積極的に出す理由はありません。

「赤字だろうと黒字だろうとちゃんとやる」かどうかは、会社の考え方や税理士との意思疎通によるところです。

チェックリストを出さないからといってそれが問題になることはありませんが、「チェックリストを出せる会社の決算書は信頼度が上がる」ということは覚えておくとよいでしょう。

《ポイント5》収受印はあるか?期限内か?

税務署に提出する決算書(ホンモノ)とは別に、銀行用の決算書(ニセモノ)がつくられる、というケースがあります。

税務署に提出する決算書は赤字だけれど、融資を受けたいので銀行用に黒字の決算書をこしらえる。

というわけで、銀行は「その決算書が税務署に提出されたものと同一か」に注意を払っています。

少々専門的なハナシになりますが。損益計算書の末尾「税引後当期純利益」の金額が、法人税申告書の別表四の先頭の金額と一致をしているかどうか、などがチェックされます。

そのうえで、その法人税申告書がたしかに税務署に提出されたものかどうかを「収受印」で確認します。提出していれば、申告書に押されているはずですから。

ちなみに、紙の申告ではなくて、電子申告の場合には「受信通知メール」で確認します。

なお、収受印や受信通知メールから、申告書がきちんと期限内に提出されたものかどうかも、銀行はあわせて確認しています。

申告の期限を守れないような会社は、貸したおカネの返済期限も守れないものなので。

《ポイント6》加算税、延滞税はないか?未納はないか?

税金の計算に誤りがあり追徴があったり、悪意ある脱税をしているような会社の場合。ペナルティとしての税金が課されます。

加算税や延滞税と呼ばれる税金です。

これらの税金の有無は、法人税申告書の別表五(二)という書類から確認をすることができます。

銀行としては、税金計算を間違えたり(内容やていど加減によりますが)、脱税をするような会社は困る、というわけです。

また、同じく別表五(二)からは、未納(支払っていない・支払いが遅れている)の税金も確認できます。

税金の支払いができないような会社への融資ははばかられるところですから、厳しく見られます。

税金の誤りや未納に対しては、税金の専門家である税理士の関わり方が影響する部分です。

「会社と税理士の関係」が注目されるポイントのひとつだと言えるでしょう。

《ポイント7》決算はコンサバか?

税金計算の考え方(税法)について端的に言うと。収入は早めに・費用は遅めに、です。

結果として「利益は多め」になりますから、税金が増えていいよね。ということになります。

ところが、会社の利益を銀行が見る場合。「利益が多め」はよろしくありません。多めの利益、楽観的な利益では、会社の返済力を見誤ってしまう。

よって銀行は、コンサバを望みます。コンサバティブ、つまり保守的な利益、保守的な決算を望みます。

保守的とは言い換えると、収入は遅めに・費用は早めに。税金計算の考え方とは真逆です。

けれどもそれが、いわゆる「企業会計」が求めるところでもあり、前述した「中小企業の会計に関する基本要領」が求めるところでもあります。

じゃあ、税金計算と企業会計のどちらをとるか? ここも、会社の考え方や税理士との意思疎通が影響するところです。

結果として、企業会計を重視する場合。その姿勢は、法人税申告書にあらわれます。別表四や別表五(一)への記載項目・金額が増えるのです。

決算書を企業会計の「収入は遅めに・費用は早め」にもとづいてつくるため、税金計算をする際、別表四や別表五(一)で「収入は早めに・費用は遅め」に調整を必要とするからです。

逆に、税金計算を重視する場合には、ほとんど記載が無い。真っ白。決算書自体が税金計算にもとづいているため、調整の必要がないからです。

とはいえ、これらをきちんと読み解くのには相応の「税金的な専門知識」が必要になります。

ゆえに、すべての銀行員が見ている・見ることができるところではありませんが。見る人は見ているポイントとして挙げておきます。

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まとめ

銀行は「決算書の信頼度」を「会社と税理士の関係」でも見ている、ということについてお話をしてきました。

へぇ、銀行はそんなところまで見ているのか。ということではありますが。銀行の見方・考え方として、押さえておくとよいでしょう。

銀行は「決算書の信頼度」を「会社と税理士の関係」でも見ている 7つのポイント
  1. 税理士が関与しているものか?
  2. 税理士がよく変わっていないか?
  3. 決算書の様式が変わっていないか?
  4. チェックリストを出してもらえるか?
  5. 収受印はあるか?期限内か?
  6. 加算税、延滞税はないか?未納はないか?
  7. 決算はコンサバか?
銀行は「決算書の信頼度」を「会社と税理士の関係」でも見ている

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