『将来のことなんてわからない』という会社の予測・計画の立て方

「将来のことなんてわからない」という会社の予測・計画の立て方

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予測・計画を立てても、どうせそのとおりにはならない。当たりもしない予測や計画を立ててもしかたない。

そんな「将来のことなんてわからない」という会社の予測・計画の立て方についてお話をします。

だれにもわからないからこそイメージしておく

本記事では、「創業時」の予測・計画は対象外とします。すでに事業の実績がある会社の予測・計画が対象です。

会社や事業について、来期の予測・計画を立てましょう!という話になると。こんな声を耳にします ↓

「将来のことなんてわからない」

だから、予測・計画を立てても、どうせそのとおりにはならない。当たりもしない予測や計画を立ててもしかたない。そんな声です。

けれども。予測や計画の価値は「当たるか当たらないか」ではありません。だれにもわからない将来だからこそ「想定(イメージ)する」ことに、予測や計画の価値があります。

想定内で迎えた将来と、想定外で迎えた将来と。どちらが対応できるか・しやすいかと言えば、想定内のほうでしょう。

予測・計画を立てていれば、「想定内」の範囲が広がります。また、事前に想定できますから、先回りで対策・行動することもできます。

「そうは言うけどさ。いったいどうやって予測・計画を立てるのさ? 」

というのが、このあとのお話です。予測や計画を立てたほうが良いとはわかっていても、どうしていいかわからないという声もよく聞きます。

そんなときには、つぎのような「立て方」がおすすめです ↓

「将来のことなんてわからない」という会社の予測・計画の立て方
  1. ゼロからではなく、実績をベースに考える
  2. 3要素をイメージする
  3. 目指すべき将来を試行錯誤する
  4. 借入金返済額を考慮する

それでは、このあと順番に見ていきましょう。

 

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「将来のことなんてわからない」という会社の予測・計画の立て方

《手順1》ゼロからではなく、実績をベースに考える

将来のことなんてわからない、と言うのであれば。過去の「実績」をベースに考えてみましょう。

わからないことをゼロから考えるよりもスムーズですし、「現実」としての実績は、予測や計画を立てるうえでの目安にもなるものです。

というわけで、ここからは具体例を使って見ていきます ↓

「将来のことなんてわからない」という会社の具体例

当期の実績は次のとおり。

  • 売上高  3,000万円
  • 売上原価  1,800万円、その他経費  1,300万円
  • 税引前利益 ▲100万円(赤字)

上記のとおり、当期は 100万円の赤字です。将来のことなんてわからない、とばかりも言っていられない会社です。

さっそく次の手順へと進みましょう。

《手順2》3要素をイメージする

予測や計画は「緻密」であるに越したことはありません。

けれども、はじめから緻密に考えすぎると、予測・計画を立てきる前に挫折する人が増えてしまいます。

そこでまずは、ざっくりいきます。具体的には「3つの要素」だけを使って予測します。その要素とは、

予測・計画の3要素
  • 売上高
  • 原価率
  • 原価以外の経費

この3要素について、当期の実績をもとに、来期を想定していきます。順番に見ていきましょう。

売上高の想定

来期は、当期実績に対して何%の増減を見込むか?

予測や計画を立てるのは苦手でも。売上高が「何%増減しそうか」くらいはイメージできるものです。

5%くらいなら増やせそうかな、とか。10%くらい減るかもな、とか。あるいは、だいたい当期と同じくらいかな(0%)、とか。

さきほどの具体例で言えば、実績は「売上高 3,000万円」でした。これについて、社長が「3%くらいなら販売数量を増やせそうだ」と想定したとします。

つまり、来期の売上高は、当期実績に対して3%増を見込んだ、とします。

原価率の想定

来期は、当期実績に対して何%の原価率を見込むか?

原価率は「売上原価 ÷ 売上高」で計算をします。具体例で言えば、原価率は「1,800万円 ÷ 3,000万円 = 60%」です。

この実績の原価率 60%に対して、来期は何%の原価率を見込めるか、をイメージします。

と言っても、原価率はなかなかイメージが難しいところでもあり。よくわからないなぁ、という場合には「ひとまず据え置く」で進めてみましょう。

具体例の会社の社長も「よくわからないから、当期と同じ 60%で」と想定をしたとします。

原価以外の経費の想定

来期は、当期実績に対して何円の増減を見込むか?

ここで言う原価以外の経費とは、文字どおり、売上原価以外の経費です。損益計算書で言えば、販売管理費と営業外費用(おもに支払利息)となります。

これが、具体例の会社では 1,300万円ある、ということでした。

このような経費については、売上高や原価率などと比べると、わりと具体的にイメージできるという人は少なくありません。

売上高や原価率には、お客さまや仕入先など「相手」しだいなところがありますが、経費は「じぶん」しだいだからです。

じぶんしだいで、増やしたり減らしたりができる・しやすい。ゆえに、経費は具体的に「何円の増減」を想定できるでしょう。

具体例の会社の社長は「交際費、福利厚生費、交通費を見直して、50万円の減」を想定したとします。

《手順3》目指すべき将来を試行錯誤する

《手順2》で3要素をイメージしました。結果、具体例の会社はこうなります ↓

「将来のことなんてわからない」という会社の具体例

当期の実績は次のとおり。

  • 売上高  3,000万円
  • 売上原価  1,800万円、その他経費  1,300万円
  • 税引前利益 ▲100万円(赤字)

3要素の想定は次のとおり。

  • 売上高  3%増 → 3,090万円
  • 原価率  据え置き → 60%
  • 原価以外の経費 50万円減 → 1,250万円

想定の結果、予測・計画は次のとおり。

  • 売上高 3,090万円 − 売上原価 3,090万円 × 60% − 経費 1,250万円 = ▲14万円

いろいろ想定をしてみたものの。残念ながら、まだ赤字です。予測・計画をしておきながら赤字、というわけにはいきません。

これを受けて、「もういちど」さきほどまでの3要素を再検討します。

このとき、とくに注目をしたいのは「原価率」です。

にもかかわらず。売上高を増やそうとしたり、経費を下げようとしたりするケースは多いものです。

けれども、売上高は相手(お客さま)があるものですから増やすのもかんたんではありません。

また、経費を減らすといっても限度があります。減らしすぎれば、事業活動にも支障をきたしかねません。

いっぽうで、原価率は手付かず… は意外と多いのです。

原価率だって「相手」があることじゃないか、と言われるかもしれません。たしかに、そのとおりです。

けれども、仕入先に値引き交渉をしたことがない・しばらくしていない、相見積もりをしたことがない・しばらくしていない、という会社は少なくありません。

また、「売値を上げる(値上げ)」も、原価率を下げることといっしょです。

60円の商品を100円で売っていた会社が、103円で売ることができれば、原価率は 60%から 58.3%まで下がります。

売値についても、値上げをしたことがない・しばらくしていない。原価高騰分すら売値に上乗せしていない、という会社は少なくありません。

ぜひ、検討をしてみましょう。わずか数%に思えても、原価率改善が利益に与える影響は決して小さくありません。

というわけで。具体例の会社の社長も考えました ↓

「一部商品の値上げ、仕入先への価格交渉で、原価率3%減を見込む」

これにより、具体例の会社はこうなります ↓

「将来のことなんてわからない」という会社の具体例

当期の実績は次のとおり。

  • 売上高  3,000万円
  • 売上原価  1,800万円、その他経費  1,300万円
  • 税引前利益 ▲100万円(赤字)

3要素の想定は次のとおり。

  • 売上高  3%増 → 3,090万円
  • 原価率  3%減 → 57%
  • 原価以外の経費 50万円減 → 1,250万円

想定の結果、予測・計画は次のとおり。

  • 売上高 3,090万円 − 売上原価 3,090万円 × 57% − 経費 1,250万円 = 79万円

上記のとおり、こんどは黒字に転換です。

このように3要素をなんども試行錯誤することで、目指すべき将来をざっくりと予測・計画してみましょう。

「それは机上の空論ではないのか?」と思われるかも知れません。

しかし机上ですら成り立たないものを、実際に成り立たせることは困難です。だからまずは、机上であっても、ざっくりであってもやってみる。

もちろん、ただ「数字」を予測・計画をするだけではなく、想定した3要素を実現するための「行動」まで決めることは欠かせません。いわゆる、「アクションプラン(行動計画)」ですね。

《手順4》借入金返済額を考慮する

これでおしまい、としたいところですが。予測・計画をするなら、もうひとつ、だいじなことがあります。これです ↓

「銀行から融資を受けている場合に、それをきちんと返済できるだけの利益があるかどうか? 」

これを算式であらわすとこうなります ↓

銀行に返済できるかどうか?

予測・計画した来期の利益 × 70% + 来期の減価償却費 > 来期の年間返済額

上記の算式が成り立っていれば、その会社は銀行にきちんと返済ができることをあらわします。

算式の左側、「予測・計画した利益」は、具体例の会社で言うと、「79万円」でした。

これに 70%を「かけ算」しているのは、法人税分(税率30%と仮定)をマイナスするためです。納税する分はおカネが無くなってしまうので、返済にあてることはできません。

そのうえで、減価償却費を「たし算」しています。減価償却費はおカネの支払いをともなわない経費だから足し戻す、というのがその理由ですが。よくわからないというのであれば、こちらの記事もどうぞ ↓

カンタンに知りたい・説明したい人のための減価償却の考え方

2016.09.13

いずれにせよ。自社の経費のなかに「減価償却費」があれば、それを抜き出して足し戻します。

以上の計算で求めた算式の左側の金額が、右側の「来期の年間返済額」を超えていればOKです。

逆に超えていなければ。超えていない分の金額だけ、向こう1年のあいだにおカネが減ることを意味します。手持ちのおカネが足りなければ倒産です。

ゆえに、《手順3》で終わらせることなく、この《手順4》まで予測・計画しなければいけません。

では、具体例の会社が「来期の年間返済額 150万円 」「来期の減価償却費 50万円」だとしたらどうでしょう。こうなります ↓

「将来のことなんてわからない」という会社の具体例

想定の結果、予測・計画は次のとおり。

  • 売上高 3,090万円 − 売上原価 3,090万円 × 57% − 経費 1,250万円 = 79万円

  • 予測・計画した利益 79万円 × 70% + 来期の減価償却費 50万円 < 来期の年間返済額 150万円

上記のとおり。この会社の場合、算式の不等号(<>)が逆になってしまいました。つまり、まだ「利益」が足りない、ということです。

したがって、三度(みたび)、3要素をイメージしなおすこととなります。ざっくりとはいえ、予測・計画もラクではない… ということがわかったところで、お話はここまでとします。

続きは、自社の当期実績を使って、予測・計画を立てることで実践してみましょう。

【参考】3要素を想定しなおしてもダメなとき

3要素をなんど想定しても、銀行への返済ができそうもないという場合。そのときは、算式の右側「来期の年間返済額」を引き下げることを考えます。

借り換えによって返済期間を伸ばす、短期継続融資に切り替える。最悪の場合にはリスケジュールが具体的手段になります。

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まとめ

「将来のことなんてわからない」という会社の予測・計画の立て方についてお話をしてきました。

予測・計画を立てても、どうせそのとおりにはならない。当たりもしない予測や計画を立ててもしかたない。という声はありますが。

だいじなのは、だれにもわからない将来を「想定(イメージ)する」こと。そして、先回りで対策・行動することです。

まずはざっくりでも、予測・計画を立ててみましょう。

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「銀行融資」と「税理士レス経理」支援を得意にする、横浜在住・ひとり税理士ブロガーです。ブログ・メルマガ毎日執筆、セミナー毎月開催中。ランニング、ディズニーリゾート好きです。