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設備資金の銀行融資で絶対に注意すべき5つのポイント

設備資金の銀行融資で絶対に注意すべき5つのポイント

「設備投資」には、多くのおカネがかかります。おカネが要るのにおカネが無いのであれば、「設備資金の銀行融資」は有効な選択肢です。

ただし。設備資金の融資を受けるときには注意すべきポイントは押さえておきましょう、というお話です。

目次

設備投資にはおカネが要る

工場を建てる、工場の機械を買い換える、あたらしい店舗を出店する、社用車を買う、など。いわゆる「設備投資」には、多くのおカネがかかります。

じゅうぶんなおカネが手元にあればよいのですが、まとまったおカネとなるとなかなか難しいものでしょう。そこで検討をしたいのが、銀行からの融資です。

銀行は、会社が設備投資に必要なおカネを、「設備資金」として融資しています。おカネが要るのにおカネが無いのであれば有効な選択肢です。

ただし。設備資金の融資を受けるときには注意すべきポイントがあります。次の5つです ↓

設備資金の銀行融資で絶対に注意すべきポイント
  1. 買う前に借りる
  2. できるだけ借りる
  3. 事業計画をつくる
  4. 返済年数=耐用年数
  5. 運転資金も借りる

それでは、このあと順番に見ていきましょう。

 

設備資金の銀行融資で絶対に注意すべき5つのポイント

《ポイント1》買う前に借りる

銀行から借りたおカネで、モノを買う(設備投資をする)。というのが、設備資金の考え方です。

逆に、じぶんのおカネで先にモノを買ってから、その分のおカネを銀行から借りる。これはおかしい、ということです。

したがって、「買う前に借りる」という順序に注意しましょう。

銀行に融資を依頼するときには、「見積書」の提示が必要になります。必要なだけのおカネを融資するため、必要以上のおカネを融資しないようにするため、ですね。

ならば、見積書の金額を水増ししておいて… などと考えるのはやめましょう。その後の追跡調査がありますし、バレたときには重いペナルティが待っています ↓

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《ポイント2》できるだけ借りる

設備投資をするのであれば、じぶんのおカネ(自己資金)で。という考え方もあります。融資を受ければ利息の支払いもあるわけだし…

けれども、じぶんのおカネで設備投資をした結果、手元のおカネが少なくなってしまうのは避けたほうがよいでしょう。

言うまでもなく、資金ショートの可能性が高まるからです。

いっぽうで。設備資金の融資を受けておけば、手元のおカネを減らさずに済みます。設備投資とう「大義名分」があるのですから、このタイミングでの融資を検討しましょう。

設備資金の融資を受けずに、のちのち「資金ショートしそうだから貸して」と言うのであれば、融資のタイミングとしては最悪です。

銀行は、危ない会社に融資はしません。「借りられるとき(設備投資のとき)」に借りておくのが、銀行融資のセオリーです。

ちなみに。設備投資の「全額を融資」というのは、「計画性が無い」との見方もあります。つまり、融資が受けにくい。

この点で、設備投資額の2割~3割ていどの自己資金を入れることができれば、銀行としても安心でしょう。ただし、自己資金を入れすぎれば、手元のおカネが不足することを忘れてはいけません。

《ポイント3》事業計画をつくる

設備資金を融資するにあたり、銀行は次のようなことを考えています ↓

  • そもそも投資の必要性があるのか(なぜいま投資するのか)?
  • 投資の内容は妥当か(たとえば高性能すぎる機械でないか)?
  • 投資による利益はじゅうぶんか(いくらの利益を見込んでいるか)?
  • 利益できちんと返済ができるか(何年で返済できるか)? 

したがって、これらが不明瞭だと、融資を受けることは難しくなります。ゆえに「事業計画書」をつくり、上記の疑問を明らかにする必要があるのです。

もちろん。事業計画書は「対銀行」以前に、自社自身にとって重要なことでもあります。

華美な社屋や立派な工場、高級な社用車などは、ほんとうに必要なのか? ステータスをおもな目的にした投資ではないだろうか?

だとすれば、じゅうぶんな利益を生み出すことはなく、返済負担による資金繰りの悪化は避けられません。自己資金で設備投資をする場合にも、本質的には同じことです。

設備投資をするにあたって、事業計画書をつくる工程は欠かせません。メンドーなのでつくらないとか、テキトーにつくることがないように注意しましょう。

《ポイント4》返済年数=耐用年数

たとえば、10年使える 1,000万円の機械を買ったとして。会計の世界には、「100万円ずつ毎年価値が減少する」という考え方があります(1,000万円 ÷ 10年)。

なお、このときの「10年」を「耐用年数」、「100万円」を「減価償却費」と呼びます。

では、この機械を「設備資金の融資」で購入するとして(1,000万円を毎年 100万円ずつ10年で返済するものとします)。その結果、毎年 100万円の売上が増えるとしたら(仕入原価は無いものとします)。

毎年の利益は次のとおりです ↓

  •  売上 100万円 - 減価償却費 100万円 = 利益0万円

ありゃりゃ、利益がないけど「返済」はだいじょうぶかいな。と、思われるかもしれませんが、だいじょうぶ。

なぜなら、減価償却費 100万円はおカネの支払いがともなわない費用だからです。機械については購入時に 1,000万円のおカネの支払いが済んでいます。

減価償却費は、その 1,000万円を買った年にいちどに費用にするのではなく、10年に分割するための「会計的テクニック」にすぎないのです。

したがって。利益はゼロでも、おカネは毎年 100万円残ることになります。その 100万円で 100万円の返済をすることができますよね。

つまり。「返済年数=耐用年数」であれば、きちんと返済できることがわかります。

ではもしも、「返済年数<耐用年数」となったらどうでしょう? たとえば 200万円ずつ5年で返済をするとしたら。最初の5年間は、100万円のおカネが足りなくなってしまう…

ですから、返済年数と耐用年数の関係には注意しましょう。

この点で。「運転資金」の融資を受けて設備投資をする、という会社があります。「設備資金」の融資となると、前述したように、事業計画書の作成などメンドーだから、という理由です。

ところが、運転資金は設備資金に比べて返済年数が短く、結果として「返済年数<耐用年数」になってしまいます。資金繰りを悪化させるばかりですから注意しましょう。

《ポイント5》運転資金も借りる

設備資金の融資を受けるときには、合わせて「運転資金」の融資を受けることも検討しましょう。

運転資金の融資とは、設備資金以外の融資。仕入や経費の支払いなどにあてられるのが「運転資金」の融資です。

ではなぜ、設備資金に合わせて運転資金の融資が必要かと言うと。設備投資をしたからと言って、すぐに効果がでるとは限らないからです。

たとえば、あたらしい製品をつくるための機械を買ったとしても。本稼働させるまでに時間がかかったり、稼働しても製品が売れるまでに時間がかかったり。

そのあいだ先行する支払い(機械稼働にかかる人件費・光熱費、材料仕入など)があれば、その分だけ資金繰りは厳しくなります。

このあたりも、前述した「事業計画書」のなかに織り込み、運転資金の融資も受けらるように注意しましょう。

それからもうひとつ。設備投資によって売上が増加する場合、いわゆる「所要運転資金」が増加します。所要運転資金とは、

  • 所要運転資金 =(売上債権 + たな卸資産)- 仕入債務

売上が増加すると、基本的に所要運転資金も増加するために資金繰りが厳しくなります。これもまた、事業計画書のなかに織り込み、「増加運転資金」の融資を受けるようにしましょう ↓

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まとめ

「設備投資」には、多くのおカネがかかります。

じゅうぶんなおカネが手元にあればよいのですが、まとまったおカネとなるとなかなか難しいものでしょう。そこで検討をしたいのが、設備資金の銀行融資です。

ただし、注意すべきポイントがありますので、きちんと押さえておきましょう。

5つです ↓

設備資金の銀行融資で絶対に注意すべきポイント
  1. 買う前に借りる
  2. できるだけ借りる
  3. 事業計画をつくる
  4. 返済年数=耐用年数
  5. 運転資金も借りる
設備資金の銀行融資で絶対に注意すべき5つのポイント

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