受けるのが難しいプロパー融資。受けるためには、引き換えとして「あきらめるべきこと」もある、というお話です。
なにかを手に入れるために、なにかをあきらめる。
会社が銀行から融資を受けるにあたって、望まれるものとして「プロパー融資」が挙げられます。
ここで言う「プロパー融資」とは、「信用保証協会の保証が付いていない融資」のこと。そのプロパー融資には次のようなメリットがあります ↓
- 信用保証料がかからない
- 金利が低い
- 借入額に上限がない
- 審査が速い
- 信用がつく
- 万一のときに一部返済免除がありうる
※ プロパー融資のメリットについて詳しくはこちらの記事を ↓
これらのメリットが魅力となり、会社はプロパー融資を望むのです。
ところが。プロパー融資を受けることは、決してカンタンではありません。とくに、はじめてプロパー融資を受けるのは難しいものがあります。
この点で。難しいプロパー融資を受けられるようになるためには、引き換えとして「あきらめるべきこと」もある。というお話をしていきます。こちらです ↓
- 金利
- 税金
- メンドー
- 設備資金
- 時間
それでは、このあと順番に見ていきましょう。
プロパー融資を受けるためにはあきらめるべき5つのこと
《あきらめるべきこと1》金利
プロパー融資は、銀行にとって「リスク」が高い融資です。
これが信用保証協会付き融資となれば、会社が返済できないときでも信用保証協会が肩代わりをしてくれます。この「肩代わり」がない分、プロパー融資はリスクが高いのです。
したがって、銀行としてはカンタンにプロパー融資をするわけにはいきません。それでもプロパー融資をするというのであれば、リスクに備えることが必要になります。
銀行が考える、リスクに対する備え。その1つが「金利」です。リスクが高いのであれば、その分だけ利息を高くとっておく。
すると、同じ銀行でも、信用保証協会付き融資のときの金利よりも、プロパー融資のときの金利のほうが高い、ということが起こりえます。
もちろん、会社にとって「金利が高い」のはイヤですが。プロパー融資を受けようと考えるのなら、銀行が提示する金利を飲み込むのも選択肢のひとつです。
はじめは金利が高くても、プロパー融資の返済実績ができて、会社の業績もよければ、いずれ下げることはできます。
とにかくいちど、プロパー融資を受けるために、目先の「(高い)金利」はあきらめることも考えてみましょう。
プロパー融資よりも信用保証協会付き融資のほうが金利が低かったとしても、信用保証協会付き融資には「信用保証料」の支払いが別途必要である点には注意しましょう。
ケースバイケースではありますが、信用保証料は「おおむね金利1%」に相当します。そう考えると、プロパー融資の金利が必ずしも高いとは言えません。
《あきらめるべきこと2》税金
銀行にとってプロパー融資はリスクが高い、と前述しました。リスクが高いがゆえに、銀行はプロパー融資の審査を厳しくしています。
具体的には、決算書を見る目が、信用保証協会付き融資に比べると厳しくなる。そういうことです。
決算書を見る目にもいろいろありますが、端的に言えば、「きちんと利益が出ている」ことが求められます。
利益こそが返済原資、というのが銀行の理屈だからです。
だったら利益を出せばよいのですが、話はそうカンタンではありません。利益を出せば、その分、税金が増えてしまう… 税金を払うのはイヤだ。
そこで、利益を圧縮することにより(経費を増やすなど)、「出せる利益を出していない」という会社は少なくないのです。
極端な場合には「ほんのちょっとだけ黒字」の決算書になりますが、プロパー融資を受けるには「利益が不十分」なのは言うまでもありません。
ムダに税金を払うことはありませんが、税金を嫌い、出せるはずの利益を出し惜しむとプロパー融資は遠のきます。「税金」はあきらめる、という考えも持ちましょう。
《あきらめるべきこと3》メンドー
厳しいプロパー融資の審査をクリアするためには、「きちんと利益が出ている決算書」が重要だとお話しました。
もうひとつ、審査をクリアするのに重要なものとして「事業性評価」が挙げられます。
事業性評価とは、決算書にはあらわれない、「事業の内容」や「成長可能性」も評価して融資をしようという考え方です。
金融庁の意向もあり、いま現在、銀行は事業性評価による融資を増やしていかざるを得ない状況にあります。ゆえに、会社が事業性評価の面でアピールできれば、融資はより受けやすくなります。
したがって、プロパー融資をより受けやすくするためには、「決算書 + 事業性評価」と理解しておきましょう。
とはいえ。アピールをするにも、書類をつくったり、銀行と話をする機会を増やしたり、手間や時間がかかりますから「メンドー」です ↓
メンドーではありますが、プロパー融資を受けるためには必要なメンドーであり、有効なメンドーでもあります。「メンドー」をあきらめることも考えてみましょう
《あきらめるべきこと4》設備資金
融資を受ける際には、「資金使途」が必要になります。資金使途とは、借りたおカネの使いみちのことです。
その資金使途には、大きく分けて2つあります。ひとつが「設備資金」、もうひとつが「運転資金」です。
設備資金とは、本社や工場の建設、機械設備や社用車、備品の購入など、いわゆる設備投資に必要なおカネを言います。
運転資金とは、事業で日常的に必要なおカネ(商品の仕入、経費の支払)ということになりますが。言い換えると「設備資金以外」です。
このうち、プロパー融資を受けやすいのは「運転資金」になります。
逆に、設備資金が受けにくい理由は、設備資金は運転資金に比べて金額が高額であり、返済期間も長くなること。加えて、設備投資による効果を予測しづらいことなどから、銀行にとってはリスクが高いものだからです。
というわけで。とくに、はじめてプロパー融資を受けるようなケースでは「運転資金」から実績をつくることを考えましょう。ひとまずは「設備資金」をあきらめる、ということです。
《あきらめるべきこと5》時間
繰り返しになりますが、プロパー融資は銀行にとってリスクが高い融資です。ゆえに、銀行は慎重になります。
慎重な銀行を相手にするのですから、あるていどの「時間」がかかることは理解しておきましょう。
この点で。はじめての融資からプロパー融資、というのは基本的に困難です。
まずは、信用保証協会付き融資でようすを見つつ、返済実績ができたところでプロパー融資を検討するという流れになります。
とくに、信用金庫や信用組合は、プロパー融資までに時間がかかることが少なくありません。
これは、信用金庫や信用組合の融資に対する考え方や、そもそもの資金量が地方銀行や都市銀行に比べて少ないことなどに起因します。
なんにせよ。プロパー融資を受けるまでには時間がかかる。その「時間」をあきらめなければいけないことを覚えておきましょう。
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まとめ
会社が銀行から融資を受けるにあたって、望まれるものとして「プロパー融資」が挙げられます。
ところが、プロパー融資を受けることは、決してカンタンではありません。とくに、はじめてプロパー融資を受けるのは難しいものがあります。
難しいプロパー融資を受けられるようになるために、引き換えとして「あきらめるべきこと」を押さえておきましょう。
- 金利
- 税金
- メンドー
- 設備資金
- 時間