銀行から融資をスムーズに受けるために、会社・個人事業者が銀行へ伝えるべき5つのポイントについてお話をしていきます。
銀行に融資を依頼するときになにを伝えるか?
会社・事業における銀行融資について。
融資をスムーズに受けるために銀行へ伝えるべきポイント、というものがあります。言い換えると、銀行が融資をするにあたって知りたがっているポイントです。
そのポイントをうまく伝えることができれば、融資はスムーズに受けやすくなる。逆にうまく伝えられなければ、融資が受けにくくなってしまいます。
銀行に融資を依頼するにあたり、「なにを伝えればいいかよくわからないなぁ」「いままで伝えていたことはだいじょうぶだったのかなぁ」などの不安があるようでしたら、ポイントを確認しておきましょう。
具体的には、次の5つです ↓
- 希望融資金額
- 資金使途
- 返済原資
- 希望返済期間
- 希望融資日
それでは、このあと順番に見ていきましょう。
融資をスムーズに受けるために銀行へ伝えるべき5つのポイント
《ポイント1》希望希望金額
融資希望金額、つまり、「いくら借りたいのか?」を銀行に伝えるようにしましょう。
これに対して、「いくらだったら借りられますか?」という話がありますが。そのようなことを銀行に聞くのはよろしくありません。
なぜなら、銀行は「必要な分だけのおカネ」を貸すのであって、「貸せるだけのおカネ」を貸すのではないからです。
じゃあ、「必要な分だけのおカネ」って具体的にどういうことですか? の答えになるのが、次のポイントでもある「資金使途」になります。
とにかく、借りる側から「〇〇円借りたい」との融資依頼をするのが「筋」だということを覚えておきましょう。
ちなみに。そうは言ったって、「いくらだったら借りられるのか?」は気になるところです。借りる側が「〇〇円」と言ったところで、銀行が「その金額は貸せない」と考えていれば借りることはできません。
ニワトリが先か、タマゴが先か… というわけで、ひとつの目安として「債務償還年数」が参考になります。端的に言えば、融資を受けられるのは「税引後利益+減価償却費」の10倍くらいまで。
くわしくはこちらの記事をどうぞ ↓
《ポイント2》資金使途
《ポイント1》では、融資希望金額を伝える、というお話をしました。
その「融資希望金額」とは、「必要な分だけのおカネ」であって。その「必要な分だけのおカネ」とは「資金使途」による、とも言いました。
では、その「資金使途」とは。「借りたおカネの使いみち」です。借りたおカネをなにに使うのか? これが資金使途です。
おカネを貸す側としては「使いみち」は気になりますよね。当然、銀行も気にしています。だから、きちんと伝えましょう。
資金使途には大きく分けると、設備資金と運転資金とがあります。
設備資金は、文字どおり、なにかしらの設備をするためのおカネです。たとえば、工場を建てる、機械を入れ替える、営業車を買う、などなど。
設備資金について銀行に伝えるときには、該当する設備の見積書など「設備の内容・金額」がわかる書類を提示しましょう。
もうひとつ、運転資金とは。設備資金以外のおカネです。具体的には、商品を仕入れたり、各種経費の支払いをしたり。
運転資金について銀行に伝えるときには、今後の入金・出金状況がわかるように「資金繰り表」を提示しましょう。資金繰り表のなかで、どれだけの運転資金が必要かを示すことになります。
設備資金にしても、運転資金にしても。資金使途が決まるから、融資希望金額も決まります。資金使途と融資希望金額をセットで伝えるようにしましょう。
《ポイント3》返済原資
銀行から融資をスムーズに受けるために、会社・個人事業者が銀行へ伝えるべきポイントの3つめ。それは、「返済原資」です。
返済原資、つまり、「なにをもって借りたおカネを返済するのか?」になります。
銀行としては「貸したはいいけど、ほんとうに返してもらえるんでしょうね?」というのが不安であり。返済原資については、とくに注目をしています。
まず、資金使途が「設備資金」であれば。基本的には、その設備によって増える「利益」が返済原資です。設備後の利益見込みを「事業計画書」としてまとめたうえで、銀行に提示をするようにしましょう。
いっぽう、資金使途が「運転資金」であれば。基本的には、日々の「売上」が返済原資になります。今後も一定の売上が継続し、返済に支障がないことを、「資金繰り表」をもって銀行に説明しましょう。
このとき、売上の確実性を示すために、注文書や受注書、受注見込みリストなどの資料を添付するのも効果的です。資金繰り表だけでは、「ほんとうにそのとおりになるの?」というのが銀行の見方になりますので。
とにもかくにも、返済原資については「あいまい」にしないことです。
あいまい、とは。これからは売上が伸びるはずです、とか。利益を増やせるようにがんばります、とか。なんの根拠、なんの書類もなく、口頭だけでハナシを済ませようとするのも「あいまい」の典型です。
あいまいにしていて最終的には困るのは自社・じぶんでもあります。借りたはいいけど返せませんでした… では困ります。根拠までを考えて、書類にまとめることで、自身が精査できるようにしましょう。
《ポイント4》希望返済期間
貸すか貸さないかを決めるのは銀行ですし、返済期間を決めるのも銀行です。とはいえ、希望する返済期間は、借りる側が伝えるべきです。
というのは、これまでお話をしてきた「資金使途」「返済原資」について理解していればわかることでもあります。
どういうことかと言うと。
融資を受けたあと、会社・事業の資金繰りが回るかどうかは「月々の返済金額」しだいという一面があります。月々の返済金額が多ければ、資金繰りが回らない、返済ができない、ということは起こりうるからです。
その「月々の返済金額」は、返済期間によって決まります。返済期間が長いほど、月々の返済金額は少なくなる。逆に、返済期間が短いほど、月々の返済金額は多くなる。
であるならば。自社・じぶんの資金繰り状況で「返済できる金額」はおのずと決まるのですから、それに合わせた返済期間を考えるのは借りる側の役目でしょう。
なお、返済期間を長くすれば「月々の返済金額」は少なくなりますが、金利が高くなります。銀行としては長く貸すほど、回収不能のリスクが高まるからです。
いっぽうで。金利が多少高くなっても、手元に多くのおカネを置いておく。これもひとつの考え方であり、選択肢のひとつです。いずれにせよ、返済期間と金利とに関係性があることは覚えておきましょう。
《ポイント5》希望融資日
希望融資日、つまり、「いつまでに融資を受けたいか?」を銀行にはっきりと伝えるようにしましょう。
これには大きく2つの理由があります。
ひとつは、「おカネが必要なときまでに借りられなければ困るから」です。銀行担当者が抱えている融資案件はひとつではありません。したがって、融資の検討をするにも優先順位があるでしょう。
そのときに、自社・じぶんの融資が「遅すぎた」ということがないように。いつまでにおカネが必要なのか、いつまでに融資を受けたいのかを伝えるべきです。
もちろん、伝えたところで実際に融資をするのは銀行ですから、必ずしも希望どおりにいかないこともあります。それもふまえて、融資の依頼は「早めに」が基本です。
それからもうひとつ。希望融資日を銀行に伝えるべき理由は、「ほんとうに借りたいのであることを伝えるため」です。
もしも、銀行から希望融資日を聞かれて、「いつでもいいです」などと回答をするのであれば。銀行からしてみたら「あれ?ほんとうは借りる必要がないのかな?」とも思えるところです。
銀行は「必要な分だけのおカネ」を貸すのですから、「いつでもいい」ようなおカネなら貸さない、という判断もありえます。
実際、資金使途が決まれば、自動的に希望融資日も決まるものです。資金使途が正しいことを示すためにも、希望融資日を銀行に伝えるようにしましょう。
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まとめ
融資をスムーズに受けるために銀行へ伝えるべきポイント、というものがあります。言い換えると、銀行が融資をするにあたって知りたがっているポイントです。
銀行から融資をスムーズに受けられるように、5つのポイントを押さえておきましょう。
- 希望融資金額
- 資金使途
- 返済原資
- 希望返済期間
- 希望融資日