もしも、入金が減りすぎる・遅すぎる… となれば。必要な支出ができなくなってしまうことが起こりえます。一大事です。
そこで。入金が減る・遅くなる前にやっておきたい資金繰り対策についてのお話です。
無い袖は振れない、とも言う。
唐突ですが。会社・事業の「資金繰り」を考えるうえで役立つ、次のような名言があります ↓
入るを量りて出ずるを為す(いるをはかりていずるをなす)
【 五経「礼記」より 】
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かんたんに言うと、「まずは入金の算段をする。そのうえで、入金に見合った支出を考える」といったところでしょうか。
まずは入金。この点で、「入金が少なくなる・遅くなる」のは困りますよね。もしも、入金が減りすぎる・遅すぎる…となれば、必要な支出ができなくなってしまうこともあるからです。
そこで。
入金が減る・遅くなる前にやっておきたい資金繰り対策、についてお話をしていきます。こちらの5つです ↓
- 入金サイトの短縮
- 手付金・前受金
- 入金遅れの督促
- 在庫の処分
- 銀行借入
それでは、このあと順番に見ていきましょう。
入金が減る・遅くなる前にやっておきたい資金繰り対策5選
《対策1》入金サイトの短縮
入金サイト、つまり、「売り上げてから代金が入金されるまでの期間」を短縮する。
これができれば、入金を早めることができます。できなければ、入金は遅くなる。資金繰りは悪くなる。入金は早いほうが資金繰りは良くなります。
とはいえ。支払う相手(お客さま)からすると、支払いは遅いほうがいいわけで。このままだと、お互いの利益は相反するばかりです。
そこで。早く支払いをしてくれるのであれば「割引」をします! との提案をする方法があります。支払うほうとしては「支払う金額が安くなるなら…」と、提案を受け入れてくれるかもしれません。
そう考えると。価格設定は、「通常払い」と「早期払い」とで、あらかじめ分けておくべきです。たとえば、通常払いなら 10,500円、早期払いなら 10,000円、という感じ。
これに対して、もともと「10,000円」とだけ価格設定をしていると。早期払いの場合には、そこからさらに割り引くのですから、利益率が悪化してしまいます。
通常払いの場合には、「回収できないかもしれない」というリスクもあるわけですから、その分だけ高めに価格設定しておくのは当然です。「価格の使い分け」と「割引制度」を組み合わせることで、入金サイトの短縮を検討してみましょう。
既存のお客さまへの価格変更は難しいかも、ですが。新規のお客さまであれば、価格変更はやりやすいはずです。
《対策2》手付金・前受金
個人だけではなく、会社でネットショッピングをする場合にも。代金の支払・決済は「前払い」であることが少なくありません。代金前払いの文化が広がっている、と言えるでしょう。
だったら、自社がモノやサービスを売るときにも前払いをしてもらう。そうすれば、入金も早まります。結果として、入金が遅くなるのを防ぐことができる。
とくに、新規のお客さまや、高額取引のお客さまについては、「手付金」や「前受金」の名目で、一定金額を前払いしてもらうのがよいでしょう。
代金未回収(貸し倒れ)の防止にもなるからです。代金未回収となれば、入金が減ってしまいますから、前払いしてもらうことが防止策になります。
これもまた、既存のお客さまへの導入は難しいかも、ですが。新規のお客さまであれば、導入はやりやすいはずです。できるところから、少しづつでもはじめていきましょう。
《対策3》入金遅れの督促
お客さまから代金を支払期日に払ってもらえない… ということがあります。放置していれば、入金が遅くなる。場合によっては、支払ってもらえずに入金が減ってしまいます。
そこでまずすべきことは「督促」です。期日を過ぎていますから払ってください、と伝える。あたりまえのことなのですが、意外とできていないケースが散見されます。
意外とできない理由は、期日を過ぎていることに気がついていないから。言い換えると、期日の管理ができていないから。言うまでもなく、きちんと管理をしましょう、というハナシです。
また、「なんとなく言いづらい」との理由もあります。督促したりすると、関係性が悪くなってしまうのではないか… みたいな。
たしかに。はじめから強い口調・態度で臨めば、そういうこともあるかもしれません。なので、督促も順を追って対応するようにしましょう ↓
- 期日の翌日になっても入金がなければ、「請求書は届いているか、ご覧になっているか?」の確認連絡(電話・メールなど)をする
- それでも入金がなければ、「いつ支払ってもらえるのか?」を知らせてもらうよう、特定記録郵便(届いたかどうかの確認ができる)で連絡する
- それでもなお入金がなければ、「支払ってもらえなければ訴訟をする」と内容証明郵便(訴訟での証拠になる)で送る
支払う側は、単に忘れていた… ということもあります。また、言われたら払う(言われなければ払わない)ということもありますので、まずはひとこと、すぐに連絡をすることが大切です。
《対策4》在庫の処分
商品を仕入れて売る、製品をつくって売る、という商売をしている場合。商品や製品が売れなければ入金はありません。
商品や製品が売れない、つまり、在庫になっていると。入金は減る・遅れることになります。この点で、いわゆる「不良在庫」は問題です。
不良在庫への対策は、早く処分をすること。
いつか売れるのではないか、と処分を渋っているケースは少なくありません。売ってもどうせ二束三文だし、と処分を躊躇していることもあります。
やめましょう。いつか売れる商品であれば、もう売れているものです(ごくわずかな例外を除いて)。また、二束三文でも売れればおカネになります。逆に、処分せずにいれば、在庫を保管・管理するおカネが出ていくばかりです。
不良在庫は処分するもの、と心得ておきましょう。
さらに。在庫を売却したことによる損失分(仕入価格 − 処分価格)は経費になります。したがって、決算書で利益が出ていれば、その利益を減らす効果がある。結果として、支払う税金を減らすことにもつながります。
不良在庫を持ち続けるか、処分するかで、資金繰りには「大きな差」が生じることを理解しておかなければいけません。
《対策5》銀行借入
会社・事業を続けていれば、良いときもあるし、悪いときもあります。悪いときには、入金が減る・遅くなるということもあるわけで。
いま(2020年4月9日現在)で言えば、新型コロナウィルスによる商売への影響は最たるものでしょう。
本来、入金は「じぶんの稼ぎ」によるものがベスト。けれども、場合によっては、じぶんで稼ぐことができないこともある。
そのときの対策が「銀行借入」です。じぶんで稼ぐことができないのなら、借金をしてでもおカネを持つ。
そこまでするのは、言うまでもなく、おカネが無ければ会社がつぶれてしまうからです。会社の持続・成長を考えるのであれば、借金を躊躇してはいけません。
ここでのポイントは、おカネが無くなってからでは遅い、ということ。おカネが無くなる前に、あらかじめ銀行から借入をしておくことです。
おカネが無いから貸して、という相手におカネを貸したくはありませんよね。銀行もいっしょです。銀行は貸したおカネを返してくれる相手にしか貸しません。
新型コロナウィルス関連の融資は例外です。おカネが無くても、国や地方自治体のバックアップにより銀行から借入することができます(審査の結果、借りられないことはあります)。
けれども、借りるまでには「時間」がかかることを忘れてはいけません。事務手続きやら審査やらに時間がかかるのです。そのあいだにおカネが尽きてしまえばおしまいです。
借入をするのであれば、「あらかじめ」が重要になります。
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まとめ
もしも、入金が減りすぎる・遅くなりすぎる、ということがあれば。必要な支出ができなくなってしまうことが起こりえます。
そんな一大事にならぬよう、入金が減る・遅くなる前にやっておきたい資金繰り対策を押さえておきましょう。
- 入金サイトの短縮
- 手付金・前受金
- 入金遅れの督促
- 在庫の処分
- 銀行借入