新型コロナウィルス関連の融資について、「借りたほうが良いのか?」との質問があるので、その回答をお話していきます。
コロナ融資は絶対に受けるべき!ではないというハナシ。
本記事の投稿日現在(2020年4月17日)、新型コロナウィルスの影響により、多くの会社・個人事業者が資金繰りに苦慮しています。
そこで、国や地方自治体が主導する「特別な融資制度」の利用がすすめられているところです。
具体的には、公的金融機関である日本政策金融公庫の「新型コロナウィルス感染症特別貸付」、民間金融機関を利用する「セーフティネット保証」が挙げられます。
これら新型コロナウィルス関連の融資(以下、コロナ融資)について。コロナの影響があるのであれば融資を受けたほうがいい、というのは当然です。
そのいっぽうで。とにかく受けるべき、絶対に受けるべき、なにがなんでも受けるべき、みたいなハナシを見聞きしています。
その結果(なのでしょう)、「コロナ融資は借りたほうがいいのか?」との質問にまでいたるようです。
というわけで。この質問に対する回答(もちろん、わたしなりの)をお話することにします。
借りなくて良いのであれば借りないほうが良い。これが結論です。
わたしのことをご存知であれば、「いつも借りられるだけ借りろ、とか言ってるくせに」と思われるかもしれません。けれども、コロナ融資に関して言えば違います。
ではなぜ、コロナ融資は「借りなくて良いのであれば借りないほうが良い」のか? その理由についてお話をしていきます。こちらです ↓
- 改ざんはもってのほかだから
- マイナス評価になりうるから
- 通常の融資として借りればよいから
それでは、このあと順番に見ていきましょう。
コロナ融資は借りなくて良いのであれば借りないほうが良い理由
《理由1》改ざんはもってのほかだから
コロナ融資について。とにかく受けるべき、絶対に受けるべき、なにがなんでも受けるべき、みたいなハナシの背景には「利息」があるようです。
コロナ融資には「コロナで困っている会社・個人事業者を支援する」という狙いがありますから、「無利子」の制度も用意されています。
この「無利子」に反応をして、「受けるべき」となるわけです。また、利息だけではなく、「信用保証料の補助」もあるため、これも魅力のひとつでしょう。
とはいえ。コロナ融資を受けるには、売上が一定割合減少するなどの「要件」があります。要件に合致するところはそれでいいのですが、要件に合致しない場合には、こんなことを考える人があらわれます ↓
” 帳簿を改ざんしてでも… ”
言うまでもないことですが、これはいけませんよね。改ざんしなければ要件に合わないということは、コロナの影響はそれほどでもないということ。そのような会社・個人事業者は、コロナ融資で支援すべき対象でもないのですから。
無利子にはそこまでの価値があるのでしょうか?
たとえば。500万円・無利子でコロナ融資を受けられたとします。これに対して通常の融資の金利が3%だとすると、支払う利息は年間 15万円(500万円 × 3%)。月にすると12,500円です。
帳簿を改ざんして、月 12,500の利息を免れたとしても。改ざんがバレた場合には信用を失い、以後の融資を受けることが困難になります。あえて言いますが、「たった」月12,500円の利息を免れるために、今後の何百万、何千万円の融資をフイにする… とんでもない損失です。
改ざんという行為自体がよろしくないのはもちろんのこと。さらには、今後の融資を失ってまでやるようなことでもありません。
ゆえに、改ざんなどもってのほかだから。というのが、コロナ融資は借りなくても良いのであれば借りないほうが良い理由の1つめでした。
《理由2》マイナス評価になりうるから
繰り返しになりますが。コロナ融資は、「コロナで困っている会社・個人事業者を支援する」ことを狙いとしています。
困っている。つまり、売上が減っている、利益も減っている、おカネも減っている。会社・事業の「状況が悪い」ことが前提です。
したがって、「コロナ融資を受ける=状況が悪い」、誤解を恐れずに言えば、「状況が悪い=潰れる可能性が高い」。よって、「コロナ融資を受ける=潰れる可能性が高い」と見ることができます。
そう考えると。コロナ融資を受ける会社・個人事業者は、銀行からすると「危ない会社」ということであり、今後の融資審査に影響を与えることでしょう。
それでもコロナ融資を受けられるのは、コロナ融資が「特別な融資」だからです。
たとえば、セーフティネット保証4号による融資であれば。会社が返済できないときには、信用保証協会が代わりに銀行へ返済をします。銀行は痛み無しです。だから、「危ない会社」だとしても貸せるのです。
こうして、コロナ融資を受けることはできたとしても。銀行的には「コロナ融資を受けなければならないような危ない会社」との見方が残ります。
いずれ、コロナ融資以外の融資を受けようとするときには、その見方がジャマにになる可能性がある。言い換えると、融資が受けにくくなる可能性がある、融資を受けられても融資条件が悪くなる可能性がある、ということは覚えておいたほうがよいでしょう。
もちろん。いま、コロナ融資を受けなければ潰れてしまうんだ!という会社・個人事業者であれば、「先々」の可能性よりも「目先」が優先です。マイナス評価を躊躇している場合ではありません。
そうではなく。ここで問題になるのは、「いまいまコロナ融資を受けなくてもだいじょうぶなんだけど、コロナ融資を借りたほうがいいのかなぁ」と考えている会社・個人事業者です。
いま受けなくてもだいじょうぶなのであれば、やめておきましょう。さきほどお話したとおり、マイナス評価になりうるから。というのが、コロナ融資は借りなくても良いのであれば借りないほうが良い理由の2つめでした。
[ad1]《理由3》通常の融資として借りればよいから
いましがた、こんなことを言いました ↓
” いまいまコロナ融資を受けなくてもだいじょうぶなのであればやめておきましょう ”
しかし。融資そのものまでをやめておけ、という話ではありません。むしろ、今回のコロナを教訓にして、融資を受けてでも手元のおカネは増やしておくことをおすすめします。
コロナ融資には多くの会社・個人事業者が殺到している、というのは報道にもあるとおりです。結果、融資を受けたくてもすぐには受けられない状況が生じています。
コロナ以前に、もともと「手元のおカネが少ない」という中小企業は少なくありません。具体的に言えば、手元のおカネが平均月商(年間売上高 ÷ 12ヶ月)の1〜2ヶ月分未満しかない。
この状況でコロナのような事態が起きると、おカネがもたないのです。コロナ融資を申し込んでから入金されるまでには、1ヶ月から2ヶ月近くかかるケースもあるため、そのあいだに手元のおカネが尽きてしまう…
そんなことにならないように。ふだんから、手元のおカネは増やしておいたほうがいいわけです。いまいまコロナ融資を必要としなくても、そのことにあらためて気づいた会社・個人事業者もいます。
だから、「いまここで、コロナ融資を借りたほうが良いの?」との質問も出てくるのでしょう。場合によっては、改ざんをしてでも、とにかく受けるべき、絶対に受けるべき、なにがなんでも受けるべきとのハナシにもなるのでしょう。
けれども、それは違います。
改ざんがいけないこと、コロナ融資がマイナス評価になりうることは前述したとおりです。いまいま必要がないコロナ融資を受けるのは違います。
その代わりに、「通常の融資」を受けましょう。コロナ下においてもなお、業績を維持できる会社・個人事業者であれば、その業績を活かしてフツーに融資を受けましょう。
いまのうちに融資を受けて、手元のおカネを増やすことで、今後起きうる不測の事態にも備えることができます。
手元のおカネを増やす、つまり、いま使うアテのないおカネを借りることはできるのか? と思われるかもしれませんが。
できます。
それこそ、コロナで得た教訓です。会社・個人事業者がギリギリのおカネでやりくりするのがいかに危険であるかは銀行もわかっています。
手元のおカネを増やして財務基盤をより強固なものにする、そのための「余裕資金」を借りることは可能です。余裕資金は、業績が良い会社ほど借りやすいので、業績が良いときにこそ融資を受けるようにしましょう。
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まとめ
コロナ融資について、「借りたほうが良いのか?」との質問があります。
回答は、「借りなくても良いのであれば借りないほうが良い」です。その理由を押さえておきましょう。
とにかく受けるべき、絶対に受けるべき、なにがなんでも受けるべき、みたいなハナシもあるようですから注意が必要です。
- 改ざんはもってのほかだから
- マイナス評価になりうるから
- 通常の融資として借りればよいから