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有事のときほど無借金会社は融資を受けにくい。それでも融資を受ける方法とは?

有事のときほど無借金会社は融資を受けにくい。それでも融資を受ける方法とは?

無借金の会社は融資を受けにくい。コロナのような有事のときほど、無借金の会社は融資を受けにくい。

その理由と、それでも融資を受ける方法についてお話をしていきます。

目次

コロナでわかった「有事はほんとうに起きる」

本記事の投稿日現在(2020年5月21日)、新型コロナウィルスの影響により、多くの会社・個人事業者が資金繰りに苦しんでいます。

いまから半年前を思えば、コロナは「まさか」の事態であり、まさかそんなことが起きるなんて… です。

有事に備えよ、などとは言うけれど。ほんとうに有事など起こるのか? との思いもありつつ。しかし、今回のコロナを通じてわかったのは「有事はほんとうに起こる」ということでした。

そんな「有事」について。「無借金の会社は融資を受けにくい」のを知らなかった… という会社があります。

コロナの影響によって資金繰りが悪化。国や地方自治体が主導する「各種のコロナ関連融資」を受けたい。ところが、なかなかうまく融資を受けられない。その理由のひとつに「いままで無借金」が挙げられる。

このあたりがわからずにいると、コロナのような有事にも融資が受けられずに苦労をしてしまうことがあるわけです。

そこで。このあと、次のようなお話をしていきます ↓

このあとのお話の内容
  • そもそも、無借金の会社が融資を受けにくい理由
  • 有事のときにはなお、融資が受けにくい理由
  • それでも無借金の会社が融資を受ける方法

それでは、このあと順番に見ていきましょう。

 

そもそも、無借金の会社が融資を受けにくい理由

そもそも、無借金の会社を銀行は警戒しています。無借金なんてスゴイじゃないか! と思われるかもしれませんが。銀行からするとそうでもない。

無借金なのは「借りなくてもいいのではなく、借りたくても借りられないのではないか?」と銀行は見るからです。

実際、社長自身になにかしらのブラック情報があって、会社が融資を受けられないケースがあります。また、いわゆる反社など、会社自体に問題が… というケースもあるでしょう。

こういう場合、会社の決算書がどれだけ良くても関係ありません。ブラックなのだから、問題があるのだから、銀行は融資ができない。

この点で。とある元銀行支店長がこんなことを言っていました ↓

” 決算書が黒字でピカピカの会社でも、無借金の会社には基本的に融資をしなかった ”

もちろん、すべての銀行がそのような姿勢とは限りませんが。そのくらい無借金の会社は警戒をされるのだ、と理解をしておいたほうがよいでしょう。

無借金。つまり、どこの銀行からも融資を受けていない会社は、銀行からすると「得体が知れない」のです。

いっぽうで。どこかしらの銀行から融資を受けていれば、「得体が知れない」とまではなりません。融資審査を通じて、会社は調べられ、得体は知れているはずだからです。

どこの銀行からも融資を受けていないと得体が知れない。その会社が「何者か?」がいっそうわからない。

だから、無借金の会社は警戒されるし、融資が受けにくくなるのです。

有事のときにはなお、融資が受けにくい理由

いましがた、そもそも無借金の会社が融資を受けにくい理由をお話しました。これが有事となると、無借金の会社はなお、融資が受けにくくなります。

どういうことかと言うと。

このたびのコロナでもわかるとおり。有事になると、多くの会社が融資を受けるために銀行に殺到しますよね。すると、銀行の「事務処理能力」にも限りがありますから、おのずと「優先順位」が発生します。

このとき、無借金の会社に融資をするのは、銀行としてはタイヘンです。なにしろ「得体が知れない」のですから、得体を調べるのに時間や手間をかけなければいけません。

だったら、「お付き合いのある会社」に融資をするのが先でしょう。有事には、とにかく多くの会社が融資を待っているわけで。

お付き合いもない、得体の知れない会社よりもまず、これまでお付き合いのある会社を優先するのは当然です。結果として、無借金の会社が融資を受けられるとしても、後回しにされることは容易に想像できます。

だから。有事のときにはなお、無借金の会社は融資が受けにくくなる。

ちなみに。銀行が得体を調べたところで限界もあり、不安は拭いきれません。得体が知れたとしても、貸したおカネを返してくれる会社か、返せるだけのチカラがある会社か? まではよくわからないからです。

この点で。すでに借金がある会社であれば、融資を受けた実績に加えて、「返済をしてきた」という実績があります。この実績が銀行にとっては大きな信用にもなるのです。この会社は返済ができる(はず)、と。

いずれにせよ。無借金の会社は融資を受けにくい、これを忘れてはいけません。

それでも無借金の会社が融資を受ける方法

ここまで、無借金の会社が融資を受けにくい理由。有事のときにはなお融資が受けにくい理由について、お話をしてきました。

とはいえ。それでも、無借金の会社が「融資を受けたい」との場面もあるでしょう。そんなときにはどうしたらいいのか? の方法をお話しておきます。次の3点です ↓

無借金の会社が融資を受ける方法
  • せめて口座のある銀行へ
  • 最寄りの信金、地銀を選ぶ
  • できる限りの資料を用意する

それでは、このあと順番に見ていきましょう。

《方法1》せめて口座のある銀行へ

預金口座のある銀行であれば、口座をつくるときに「得体」については調べられています。

また、その口座内で、売上入金や仕入・経費の支払いなどの取引があれば、会社・事業に実態がある(ペーパーカンパニーではない)こともわかるでしょう。

逆に。預金口座も無いとなると、まったくのゼロからのお付き合いになりますので、銀行からの警戒は強まるばかりです。

《方法2》最寄りの信用金庫、地方銀行を選ぶ

銀行の種類としては、できれば信用金庫、あるいは地方銀行を選びましょう。

なぜなら、それらの銀行は「地域密着」の商売をしているからです。地域にある会社、地域に済む人たちに貢献する、とのミッションがあります。

だから、近くの会社が「融資を受けたい」と言っているのに無視をする、というのはミッションに反することでもあるわけです。無視しづらい。

そう考えると、会社の最寄りの信用金庫や地方銀行がベストになります。言うまでもなく、めちゃくちゃ「密着」だからです。こんなに近くにある会社を無視するのか? 無視できるのか? と言いはしませんが。そういうことです。

これに対して、中小企業が都市銀行を選ぶのはやめておきましょう。そもそも、都市銀行の融資ターゲットは「大企業」です。ただでさえ、融資が受けにくいのに、無借金となればなおのこと融資は望み薄となります。

【参考】日本政策金融公庫も選択肢

政府が100%出資する金融機関「日本政策金融公庫」も、中小企業が融資を受けるのであればおすすめです。

民間銀行よりも柔軟な対応が、日本政策金融公庫の特徴になります。民間銀行とのお付き合いに加えて、日本政策金融公庫とのお付き合いも欠かさないようにしましょう。

《方法3》できる限りの資料を用意する

無借金の会社は、銀行から見て得体が知れない、信用に不安がある。だから警戒される、というのは再三お話をしてきたとおりです。

であるのなら。少しでも銀行の警戒を和らげられるような努力をしましょう。言い換えると、できる限りの資料を用意することです。具体的には、

  • 決算書3期分
  • 直近の試算表
  • 経営計画書
  • 予測資金繰り表
  • 借入金一覧表
  • 会社概要がわかる書類(会社案内、組織図、商品パンフレット、主要取引先一覧、株主名簿・役員名簿など)

このあたりの書類を準備することで、「実態のある会社」であることや、「信用できそうな会社」であるとの印象を銀行は持ちやすくなるでしょう。

逆に。手ぶらであれば、やはり銀行は警戒をするばかりです。無借金の会社はメンドーがらずに「資料を用意する」ことが大切になります。

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まとめ

有事に融資を必要とするようであれば(手元にじゅうぶんな現金預金がないのであれば)、ふだんから「銀行とのお付き合いをしておく」ことです。

お付き合いのない相手への融資は、銀行として難しいものがあります。コロナのような有事のときにはとくに、です。

無借金が必ずしもよいとは限らないことを理解しておきましょう。

有事のときほど無借金会社は融資を受けにくい。それでも融資を受ける方法とは?

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