銀行がやってはいけない「コンプライアンス違反」。
これを会社のほうから促してしまうようなことがないように。銀行のコンプライアンス違反について、会社も知っておきましょう。というお話です。
やってはいけないことを促したりせぬように。
会社・事業における銀行融資について。
銀行(員)が「やってはいけないこと」があります。いわゆる「コンプライアンス違反」です。
これを、「銀行にとってのコンプライアンス違反」なのだから、おカネを借りる側の会社には関係のないこと。と考えるのであれば、気をつけましょう。
なぜならば、場合によっては、会社のほうから銀行(員)に対して、コンプライアンス違反を促しているようなケースもありうるからです。
というわけで。本記事では、銀行がやってはいけない「コンプライアンス違反」についてお話をしていきます。具体的にはこちらです ↓
- 浮貸し
- 歩積両建預金
- 融資予約
- 導入預金
- 優越的地位の濫用
それではこのあと、順番に見ていきましょう。
銀行がやってはいけない「コンプライアンス違反」
浮貸し
銀行がやってはいけない「コンプライアンス違反」について、まずは「浮貸し(うきがし)」から。
たとえば。A社から融資の申込みを受けていた銀行員のBさんがいました。審査の結果、残念ながら融資は不可。Bさんは、A社の社長から「なんとかしてほしい…」と泣きつかれてしまいました。
じぶんの力不足も感じ、「なんとかしてあげたい」と考えたBさん。じぶん個人の預金で、A社に融資をすることにしました。
というのは「浮貸し」にあたり、違反行為です(出資法に違反)。
つまり、浮貸しとは。銀行員が、その地位を利用して、じぶんまたは他人の利益をはかるためにする金銭の貸し付けなどを言います。
ここでいう「など」には、「債務の保証」や「金銭貸借の媒介」も含まれていることを覚えておきましょう。
銀行が貸してくれないなら、友人からおカネを借りる。だから、銀行員のBさんに保証人になってもらう。というのが「債務の保証」です。会社は銀行に、そういうお願いしてはいけません。
また、銀行が貸せないのであれば、「だれかおカネを貸してくれる人を紹介してくれ」と、A社の社長が言ったとして。銀行員のBさんが紹介をするのが「金銭貸借の媒介」です。これもいけません。
というわけで。会社は、銀行員に対して「無理」を言わないように、「浮貸し」を促したりしないように、との注意が必要です。
ちなみに。「浮貸し」の語源は、帳簿には乗らない(帳簿から浮く)取引だから、と言われています。
歩積両建預金
続いて、銀行がやってはいけない「歩積両建預金」。
まず、「歩積預金(ぶづみよきん)」について。手形を銀行で割り引くときに、割引額の一部を預金させて拘束する行為です。
「両建預金(りょうだてよきん)」とは、融資をしたときに、融資額の一部を預金させて拘束する行為になります。
どちらも似たようなものであり、ことのはじまりが「手形の割引」か「融資」かの違いです。
たとえば。会社が 1,000万円の融資を依頼したところ、銀行から「3,000万円融資します。その代わり、2,000万円は定期預金にしてくだい」と言われる。これが、両建預金です。
なんかいいことあるの? ということですが。銀行にとってはメリットがあります。
おカネを拘束できますから、なにかあったときにも回収がしやすくなる。それから、実質的な金利が上がるのもメリットです。
さきほどの例で言えば。銀行は、実質的には 1,000万円しか貸していないのにもかかわらず、 3,000万円に対する金利を受け取ることができます。銀行は儲かり、会社は余計な利息を払うことになる…
このような「歩積両建預金」は禁止されていることを覚えておきましょう(独占禁止法に違反)。
銀行から促されても、「それはダメでしょ」と断ればいい。いっぽうで、融資を受けやすくするために、会社みずからが預金をするのはひとつの戦略です。
もっとも、「みずから」なのか「促されて」なのかは判然としませんが。
[ad1]融資予約
会社が銀行から融資を受けるときには、まず、銀行の担当者に融資の相談・申し込みをするでしょう。
そのときに、銀行の担当者が「だいじょうぶ、融資できます!」などと融資を約束するような発言は「融資予約」にあたります。
もしも、会社がその「だいじょうぶ」を信用して、なにかしらの商談や取引などを進めていたとして。結果、融資がNGになってしまった場合に、商談や取引の破棄にともなう損失(違約金とか)が生じてしまった…
とすると、銀行は損害賠償責任を負わねばならない可能性があります。
だから銀行員は、融資の相談・申し込みの段階では「だいじょうぶ」とは決して言わないように! と、教育をされているのです。
これに反して、「だいじょうぶ」をクチにしてしまう銀行員(たまにいます)は、ちょっと問題があるわけですが。「だいじょうぶ」を促してしまう会社にも問題があることを覚えておきましょう。
ときおり、銀行員に対して執拗に「融資は受けられるのか?だいじょうぶなのか?」と迫る社長がいます。だから、銀行員は「だいじょうぶ」って言えないんだって… というハナシです。気をつけましょう。
導入預金
導入預金とは? について、たとえばバナシで説明をします。
A社が銀行に融資を依頼したところ、断られてしまいました。その話を聞いた、A社社長の知人Cさん。おカネ持ちのDさんを、Aさんに紹介します。
その意図は、「Dさんが銀行に預金をするので、その見返りとして、銀行からA社に融資をしてもらおう」というものです。
このときの預金を「導入預金」と言います。
なお、導入預金を促すようなCさんは「導入屋」とも呼ばれるところです。きっと、CさんはA社から「お礼」を受け取っていることでしょう。
そのお礼が高額だからかどうなのか、結局、A社は倒産。Dさんはすでに預金を引き出しており、銀行は回収しそびれる… ということは決して少なくないようで。銀行では、導入預金による融資を禁じています。
ですから、会社のほうから導入預金を手配するような行為はつつしまなければいけません。気をつけましょう。
ちなみに。Dさんが銀行に差し入れた預金を、銀行が「担保にとる」のであれば、それは「導入預金」には当たりません。A社になにかあれば、銀行は担保から回収できますので。
優越的地位の濫用
まずは「前提」の話として。おカネを貸す側の銀行は、おカネを借りる側の会社よりも、立場が上です。なにしろ、銀行が「いいよ」と言わなければ、会社はおカネを借りることができないのですから。
この点で。銀行がその立場を逆手に取り、会社に対して不利益を与えるような行為をしてしまう… これは「優越的地位の濫用」として禁じられています(独占禁止法に違反)。
では、具体的にどのような行為が「優越的地位の濫用」に該当するのか? いろいろあります。例を挙げると、
- 融資と引き換えに、投資信託の購入や保険の加入を要求する
- 度を超えた金利の引き上げ、担保の追加を要求する
- 他の銀行からの融資を受けないように要求する
- 会社の経営や意思決定に対して過剰に関与する(銀行から人を送り込むとか)
いくら融資を受けたいとは言っても、これらの行為をかんたんに受け入れることがないように、会社は気をつけなければいけません。
結果として、ひとつの行為を受け入れることが次の行為につながり。行為がどんどんとエスカレートする、長期化するという例を実際にも見かけるところです。気をつけましょう。
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まとめ
会社・事業における銀行融資について、銀行がやってはいけない「コンプライアンス違反」があります。
これを知らずにいると、会社のほうから銀行に対して、コンプライアンス違反を促してしまうようなケースもありうるところです。
そんなことがないように。銀行のコンプライアンス違反についても知っておくようにしましょう。
- 浮貸し
- 歩積両建預金
- 融資予約
- 導入預金
- 優越的地位の濫用