銀行融資に対する税理士の「姿勢」はいろいろです。
そんな「いろいろ」のようすと、いろいろあるうえで、わたし自身はどういう姿勢でいるか? お話をしてみます。
税理士に銀行融資の相談をしたことはありますか?
税理士に「銀行融資」の相談をしたことがある、という社長や個人事業者の方は少なくないものと想像します。
わたし自身、20年以上のあいだ税理士業界にいるなかで、まさに「数え切れないほど」のご相談を受けてきました。
この点で。銀行融資に対する税理士の「姿勢」はいろいろです。銀行融資に対する考え方やアドバイス、提供サービスはいろいろです。あたりまえですが。
それはそれとして。そんな「いろいろ」のようすと、いろいろあるうえで、わたし自身はどういう姿勢でいるか? お話をしてみます。こちらです ↓
- 銀行融資に積極的に関わる
- 銀行融資を勧める
- 紹介・コネを武器にしない
- 対銀行も考えて決算書をつくる
会社・事業において、資金調達はだいじなことです。資金調達の手段として、銀行融資を欠くことはできません。
税理士に銀行融資の相談をするときの参考になるようであれば幸いです。
銀行融資に対する「わたし」の姿勢
銀行融資に積極的に関わる
そもそも、銀行融資に対して積極的に関わるかどうか? 税理士によって分かれるところです。
お客さまに対して、銀行融資のハナシをすることもあまりない。銀行対応には手を出さない。という税理士がいます。消極的。
わたしは、その逆です。日ごろから銀行融資のハナシをするようにしています。お客さまからの依頼があれば、銀行対応のお手伝いもします。積極的。
じゃあ、消極的な税理士が悪くて、積極的な税理士が良いかと言えば、そんなことはありません。姿勢が違うだけ、です。
それに。お客さまと税理士とのあいだに、「税務顧問」の契約しかないのであれば、銀行融資は「業務範囲外」だと言ってもよいでしょう。
業務範囲外であるにもかかわらず、銀行対応のお手伝いを税務顧問料の範囲内としている税理士は少なくありません(以前に勤務していた税理士事務所もそうでした)。
すると、「傾向」としては、片手間の仕事になりがちです。本来であれば「業務外の仕事」になりますから、片手間もやむを得ないところでしょう。
ところが。銀行対応のお手伝いは、税務顧問の「片手間」でできるような仕事ではありません。というか、片手間でやって成果をあげられるものでもない、というのがわたしの考えです。
というわけで。わたし自身は、税務顧問料とは別に料金をいただき、「そもそもの業務」として対応させていただくようにしています。
銀行融資を勧める
銀行融資を勧める税理士と、銀行融資を勧めない税理士とがいます(そのあいだくらい、という税理士もいるのでしょうけど)。
わたしは、銀行融資を勧めるほうの税理士です。
とはいえ。やみくもに、銀行融資を受けろ! 借金をしろ! と言いたいわけではありません。借金をしなくていいのであれば、しないほうがいい。とは考えています。
けれども。借金が必要なのにもかかわらず、それこそやみくもに借金を毛嫌いしていると、会社・事業を潰してしまう可能性が高まります。
中小企業の多くは、手元のおカネ(現金預金)が不足している状況です。新型コロナウィルスによる影響で、多くの会社・個人事業者が、コロナ関連の融資に殺到したのは、その証左だと言ってよいでしょう。
結果、融資を受けるにも時間がかかり、たいへんな思いをした… という社長・個人事業者も多いはずです。
そう考えると。いつか借りるかもしれないほど、手元のおカネが無いのであれば、あらかじめ銀行融資を受けたほうがいいよね。というのが、わたしの考えです。
繰り返しになりますが。中小企業の多くは、もともと手元のおカネが不足しているのですから。高い確率で、銀行融資が必要だと言えます。
にもかかわらず。「必要な借金」と「不必要な借金」とをひとくくりにして、「借金はしないほうがいい」と言うのはどうでしょう?
というわけで。わたしは、「必要な借金、必要な銀行借入はしましょう」との考えで、銀行融資を勧めているところです。
[ad1]紹介・コネを武器にしない
銀行融資・銀行対応のお手伝いをする税理士がいます。また、税理士以外にも、コンサルタントがいます。
そういった税理士やコンサルタントの「売り文句」として、「紹介・コネ」を武器にしているケースがあるでしょう。
たとえば。たくさんの銀行とのパイプがある・紹介できる、とか。たくさんの銀行員・支店長とコネがある、とか。
だから、銀行融資・銀行対応に強いんです! というような感じです。
じゃあ、わたしはどうかと言うと。そういう武器はありません。ひとりで税理士をしていることもありますので、何十件、何百件のお手伝いができるわけでもなく。
武器にできるほど、紹介やコネを売りにすることはできません。
そのいっぽうで。銀行融資・銀行対応において、紹介やコネは「二の次三の次」だとも考えています。
紹介やコネは無いよりあったほうがよいけれど、紹介やコネがあったからといって融資が決まるものではありません(もし決まる銀行があったら、それはもう大変な問題です)。
融資を決めるにあたって、なによりだいじなものは「理屈」です。銀行融資の理屈、銀行融資の原理原則、考え方です。
理屈がわかっていれば、どのような会社であっても、どのような銀行に対しても、融資を成功させる「再現性」は高くなります。理屈は、どの会社・どの銀行にも共通していることだからです。
けれども、紹介やコネとなると、「再現性」は高くないものです。銀行の再編も進んでいますし、銀行員の異動や退職もあります。そのような場合には、紹介やコネは通用しないことでしょう。
なので、わたしはあくまで「理屈」を重視しているし、「理屈」を武器にもしています。理屈については、このブログやセミナー、You Tubeを通じて発信もしているところです。
対銀行も考えて決算書をつくる
毎年の決算書の作成を税理士に任せている、という会社・個人事業者も少なくないことでしょう。
このとき、任せられた税理士がつくる決算書は、大きく2つに分かれます。
ひとつは「税金計算が中心の決算書」、もうひとつは「税金計算が中心ではない決算書」です。
では、「税金計算が中心の決算書」とは、どういう決算書なのか? と言うと。
たとえば、赤字のときには減価償却費を計上しない。赤字のときには買掛金や未払金の計上をしない。だって、計上しようがしまいが、税金の金額(赤字なので税金はゼロ)は変わらないから。というのが、「税金計算が中心の決算書」です。
これに対して、「税金計算が中心でない決算書」では。赤字であっても減価償却費を計上します。赤字であっても買掛金や未払金を計上します。
赤字のときと黒字のときとで「計上の基準」を変えていたら、会社の状況を正しく把握することができなくなるからです。
この点で。銀行に好まれるのは「税金計算が中心でない決算書」になります。そのほうが会社の状況を正しく把握することができるから、ですね。
「税金計算が中心の決算書」、つまり、赤字のときには減価償却費を計上しない、赤字のときには買掛金や未払金の計上をしない決算書は、銀行からすれば、「利益が水増しされた決算書」です。好まれません。
とはいえ。「税金計算が中心の決算書」は間違っているかと言えば、そういうわけでもありません。税金計算は間違っておらず、税務署から文句を言われることもありません。
税務顧問という仕事のなかでの決算書としては、間違っていない。と、言ってもよいでしょう。
ただし、「対銀行」という視点で言えば、融資を受けにくくしている可能性が高くなります。なにより、会社自身が、状況を正しく把握できないのは大きなデメリットです。
というわけで。わたしは、税金計算が中心でない決算書、対銀行を考えた決算書をつくるようにしています。
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まとめ
銀行融資に対する税理士の「姿勢」はいろいろです。
そんな「いろいろ」のようすと、いろいろあるうえで、わたし自身はどういう姿勢でいるか? をお話してきました。
姿勢には、正解も不正解もありません。それぞれの姿勢に「違い」があるだけです。
ゆえに、税理士に銀行融資の相談をするときには、その税理士がどのような姿勢なのか? を確認するようにしましょう。
姿勢いかんで、相談に対する回答は大きく変わることもありますので。
- 銀行融資に積極的に関わる
- 銀行融資を勧める
- 紹介・コネを武器にしない
- 対銀行も考えて決算書をつくる