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資金繰りが厳しくなる前に『既存融資一本化+新規融資』という選択肢

資金繰りが厳しくなる前に『既存融資一本化+新規融資』という選択肢

会社の資金繰りがほんとうに厳しくなる前に、検討しておくべき「既存融資一本化+新規融資」について。

その「効果」や「やり方」、「デメリット」をお話ししていきます。

目次

資金繰りがほんとうに厳しくなる、その前に。

会社の資金繰りがほんとうに厳しくなる前に、検討しておくべきこととして「既存融資の一本化」が挙げられます。

既存融資の一本化とは。文字通り、いま受けている融資を一本にまとめることです。加えて、新規融資を受けることにより、資金繰りを大幅に改善することができます。

ところが。「既存融資の一本化」は、実行するタイミングが遅すぎると意味をなさず。「新規融資」といっしょに実行しないと効果が半減することには注意が必要です。

というわけで。「既存融資一本化+新規融資」について次のようなお話をしていきます ↓

このあとのお話の内容
  • 「既存融資一本化+新規融資」の効果
  • 「既存融資一本化+新規融資」のやり方
  • 「既存融資一本化+新規融資」のデメリット

これらを理解したうえで、会社の資金繰りがほんとうに厳しくなる前に、 「既存融資一本化+新規融資」を検討できるようにしておきましょう。

それでは、このあと順番にお話をしていきます。

 

「既存融資一本化+新規融資」の効果

まずは、「既存融資一本化+新規融資」の効果から。具体例で見てみましょう ↓

「既存融資一本化+新規融資」の具体例
 融資残高残り返済期間毎月返済額
融資A3,000万円40ヶ月75万円
融資B1,500万円30ヶ月50万円
融資C500万円20ヶ月25万円
合計5,000万円150万円

※ いずれの融資も、資金使途は「運転資金」とします

上記の借入状況にある会社が、資金繰りが厳しくなりそうだとの予測から、「既存融資一本化+新規融資」を検討しているとします。

そこで会社は、取引銀行のひとつに「既存融資の一本化」を依頼することにしました。その結果が次のとおりです ↓ 

 融資残高残り返済期間毎月返済額
融資A3,000万円40ヶ月75万円
融資B1,500万円30ヶ月50万円
融資C500万円20ヶ月25万円
合計5,000万円150万円
一本化5,000万円60ヶ月83.3万円

つまり、3本あった融資を1つにまとめて、長い返済期間で組み直します。

これにより、一本化前は「毎月返済額 150万円」だったのに対して、一本化後は「毎月返済額 83.3万円」。ひと月あたり 66.7万円返済額が少なくなる。

返済額が少なくなった分、毎月の資金繰りがラクになる。これが一本化の効果であり、メリットでもあります。

ただし。一本化によって、「いますぐ」に手元のおカネが増えるわけではありません。「先々」の返済が少なくなる、「先々」の資金繰りがラクになるだけです。

そこで。いますぐに手元のおカネを増やすために、「既存融資一本化」だけではなく、「新規融資」もあわせて依頼することをおすすめします。

もし仮に、「既存融資一本化」とあわせて、1,000万円の新規融資を受けることができれば。当然ながら、いますぐに手元のおカネが 1,000万円増えることになります。

これによって、会社の資金繰りは大幅に改善する。というのが、「既存融資一本化+新規融資」の効果です。 

「既存融資一本化+新規融資」のやり方

銀行からの融資には、大きく分けて、「信用保証協会付き融資」と「プロパー融資」の2つがあります。

いずれの融資も、「既存融資一本化」を実行することは可能です。

異なる銀行の融資も、まとめて一本化することはできますが、「信用保証協会付き融資」と「プロパー融資」とは別々に考えなければいけません。

信用保証協会の一本化には「借り換え保証制度」があります。同制度で扱える融資は、信用保証協会付き融資のみです。よって、プロパー融資については、各銀行に検討してもらうことになります。

ところで。「既存融資一本化」は「新規融資」とあわせて実行すべきなのは、前述したとおりです。

この点で、新規融資を受けるとなると、会社の状況が悪いほど断られてしまう可能性が高まります。

そう考えると、「既存融資一本化+新規融資」は、会社の状況がほんとうに悪くなる前に実行しなければいけません。

ほんとうに悪くなってからだと、 新規融資を断られる。のみならず、既存融資一本化も断られてしまう。これでは、資金繰り改善のチャンスを逃してしまうばかりです。

実行のタイミングが遅すぎた… ということがないように。新規融資を受けられるうちに、実行を検討することが大切になります。

なお、どこの銀行で一本化するかは、よく考えるようにしましょう。

たとえば、A銀行の融資をまとめて、B銀行で借り換えるとなると。A銀行はB銀行に融資を取られたかたちになりますので、気分を害することでしょう。

その場合、A銀行との関係が悪くなることから、以降の融資が受けられない・受けにくくなることがありえます。

したがって、どこの銀行で一本化するか? は気をつけましょう。とくに理由がない限り、自社のメインバンクで一本化することをおすすめします。

「既存融資一本化+新規融資」のデメリット

実行することで資金繰りを大幅に改善できる「既存融資一本化+新規融資」ではありますが。いっぽうで、デメリットもあります。こちらです ↓

「既存融資一本化+新規融資」のデメリット
  • 完済までの期間が延びる
  • しばらく新規融資が受けられない

これらのデメリットも理解をしたうえで、「既存融資一本化+新規融資」の実行を検討しましょう。それぞれのデメリットを順番に説明していきます。

完済までの期間が延びる

既存融資一本化によって、完済までの期間が延びる。これはデメリットのひとつです。

前述した具体例でも、一本化する前より、一本化した後の完済時期が伸びていることがわかります(一本化前 40ヶ月 → 一本化後 60ヶ月)。

とはいえ。容易に完済できないからこそ、一本化を検討してるのであって、完済を急ぐばかりに資金繰り破綻していたのでは元も子もありません。

ですから、銀行融資を継続的に受けるという前提であれば、「完済までの期間が延びる」ことは、必ずしもデメリットではない。とも言えるでしょう。

借金を減らす、借金をなくすことも、ひとつの考え方ではありますが。それよりもまず、資金繰りを安定させることが先です。

しばらく新規融資が受けられない

既存融資一本化は、いわゆる「リスケ(返済条件の変更)」とは異なります。

リスケは、既存の融資について、もともとの返済条件を変更する。つまり、「当初の約束を変えてしまう」という点では大事(おおごと)です。

これに対して、一本化は。あらたな融資によって、既存の融資を借り換えるものです。当初の約束を変えてしまうわけではありません。

けれども、実行の効果(返済の先送り)としては、リスケも一本化も同じようなものです。

したがって、 リスケをしている会社が新規融資を受けにくいように、一本化した会社も融資が受けにくくなる。と考えておくのが良いでしょう。

銀行からは「状況が悪い会社」だと見られてしまう、ということですね。

その点もふまえて。一本化するのであれば、あわせて新規融資を受けておく。しばらく新規融資が受けられないことに備えておく。ということが大切です。

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まとめ

会社の資金繰りがほんとうに厳しくなる前に、やるべきこと・やれることとして 「既存融資一本化+新規融資」を理解しておきましょう。

「既存融資一本化+新規融資」によって、資金繰りを大幅に改善することが可能です

資金繰りが厳しくなる前に『既存融資一本化+新規融資』という選択肢

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