いますぐには使わないおカネ「余裕資金」を借りられる会社もあれば、借りられない会社もある。
そこで、余裕資金まで銀行から借りられる会社はココが違う! というポイントをお話ししていきます。
余裕資金を借りれる会社、借りれない会社。
会社が銀行から融資を受けるときには、「資金使途(借りたおカネの使いみち)がなければいけない」と言われます。
言い換えると、使いみちがないおカネ、いますぐ使わないおカネを借りることはできない。
たしかに、基本的な考え方としてはそのとおりです。けれども実際には、「余裕資金」を借りることができます。
つまり、いますぐ使うおカネではないけれど、いざというときのために手元のおカネを増やしておきたい。との理由で借りるおカネが「余裕資金」です。
会社を続けていれば、いつ何が起きるかは分かりませんから。手元のおカネを増やしておくのは、会社を守るためにも必要なことだと言えます。
それは銀行もわかっているので、余裕資金を融資することはあるわけですが。必ずしもすべての会社が、余裕資金の融資を受けられるわけではありません。
余裕資金を借りられる会社もあれば、借りられない会社もある。そこで、余裕資金まで銀行から借りられる会社はココが違う! というポイントをまとめてみました。こちらです↓
- 余裕資金を借りれると知っている
- 黒字が出ている
- ムダ使いをしていない
- おカネを持っている
- タテマエがある
これら5つのポイントを多く押さえている会社ほど、余裕資金を借りやすくなります。逆に、ポイントを押さえていない会社ほど、余裕資金を借りにくくなります。
というわけで、このあと5つのポイントを順番に見ていきましょう。
余裕資金まで銀行から借りられる会社はココが違う!5つのポイント
《ポイント1》余裕資金を借りれると知っている
余裕資金まで銀行から借りられる会社はココが違う! というポイントの1つめ。それは、「余裕資金を借りれると知っている」です。
そんなのあたり前じゃないか、と思われるかもしれませんが。とはいえ、銀行から「余裕資金」を借りれることを知らない会社は少なからずあります。
冒頭で話をしたとおり、「資金使途がなければ融資が受けられない」とかたくなに考えているような会社です。
すると、運転資金を借りるときにも、「必要な運転資金ピッタリ」の金額を借りることになります。
ところが、余裕資金を借りれることを知っている会社であれば、「必要な運転資金 + α」の金額を借りようとするものです。
銀行に対しては、「ギリギリの運転資金では資金繰りが安定しないので、+αのおカネを持つことで資金繰りに余裕を持たせたい」といった説明をします。
+αとは具体的にいくらの金額になるのかは、ケースバイケースです。ひとつの目安として、手元のおカネは「平均月商の2ヶ月分くらい」と考えておくとよいでしょう。
平均月商とは、「ひと月の平均的な売上高」のこと。その平均月商の2ヶ月分くらいの現金預金がないと、会社の資金繰りとしては不安があるものです。
したがって、現金預金が「平均月商の2ヶ月分くらい」になるまでの+αであれば、銀行から「それは多すぎる」と言われることはあまりないものと考えます。
《ポイント2》黒字が出ている
余裕資金まで銀行から借りられる会社はココが違う! というポイントの2つめ。それは、「黒字が出ている」です。
いま現在、「赤字」の会社を想像してみましょう。赤字の会社が、「余裕資金を貸して欲しい」と銀行にお願いをした場合です。
赤字なのですから、すでに資金繰りが厳しい状況にあると考えられます。だとすれば、おカネを貸せば、赤字の補てんにあてられてしまう。返済してもらえるかわからない…
銀行はそのように考えることでしょう。結果として、余裕資金の融資は難しい。
余裕資金とは、すぐには使わないおカネのことでした。すぐには使わないのですから、貸したおカネは残っているということです。
銀行には「いざとなったら、手元に残っているおカネで返してもらえばいい」との安心感があります。
これに対して、赤字の会社は。赤字の補てんとして、すぐに貸したおカネを使ってしまう。手元にはおカネは残らないので安心感はありません。
ですから、余裕資金を借りようとするのであれば、「決算が黒字のとき」です。銀行が融資をしやすいと考える、黒字のときに余裕資金の融資を受けるようにしましょう。
《ポイント3》ムダ使いをしていない
余裕資金まで銀行から借りられる会社はココが違う! というポイントの3つめ。それは、「ムダ使いをしていない」です。
決算書を見たときに。仮払金がある、貸付金がある、投資有価証券がある、といった会社があります。
このような会社は、そもそも融資をが受けにくい。余裕資金の融資であれば、なお受けにくいことを覚えておきましょう。
なぜならば、「余裕資金として貸したおカネが、仮払金や貸付金、投資有価証券などに流れてしまうのではないか」と、銀行が考えるからです。
余裕資金は、いざというときに「本業」のために使うおカネ。 本業とは関係がない、あるいは関係性が薄いものに使われてしまうのでは困ります。
実際に、余裕資金として借りたおカネを違うことに使ってしまえば、銀行から大きなペナルティを受けることになります。
一括返済を求められる、 今後いっさいの融資はしない、といったペナルティです。
余裕資金をおかしなことに使ったりはしませんよ、と銀行に納得してもらうためにも。日ごろから、決算書の内容には注意をしておきましょう。
ムダ使いのない会社は、融資が受けやすいものです。
[ad1]《ポイント4》おカネを持っている
余裕資金まで銀行から借りられる会社はココが違う! というポイントの4つめ。それは、「おカネを持っている」です。
実は、おカネを持っている会社ほど、余裕資金の融資を受けやすくなります。現金預金残高が大きい会社ほど融資を受けやすい。
おカネがある会社は、銀行から見て「安心感」があるからです。
そのような会社が、赤字になったとしても。おカネがあれば、しばらくのあいだは返済に困ることがありません。
銀行としては、返済してもらうことができますので安心です。もっと貸したい、もっと借りてほしい、と考えるところでもあります。
したがって、会社はおカネに余裕のあるときほど、余裕資金の融資を受けることを検討しましょう。借りられるとき・借りやすいときに借りておくのは、銀行融資のコツです。
なお、《ポイント1》では、余裕資金を借りるにあたって「平均月商の2ヶ月分くらい」が目安という話をしました。
けれども、すでに現金預金残高が2ヶ月分以上あるような会社、現金預金が潤沢な会社については、「さらなる余裕資金」を借りることが可能になります。
繰り返しになりますが、銀行としては安心の融資先だからです。
おカネがある会社は、融資を受けてさらにおカネを増やせる。逆に、おカネのない会社は、融資を受けられない。おかしな話に聞こえるかもしれませんが、「銀行融資の真理」として覚えておきましょう 。
《ポイント5》タテマエがある
余裕資金まで銀行から借りられる会社はココが違う! というポイントの5つめ。それは、「タテマエがある」です。
ここで言う「タテマエ」とは。余裕資金を必要とする理由としての「タテマエ」のことです。
余裕資金を借りるにあたっては、「いつ何が起きるかわからないから、おカネを持っておきたい」との説明をするわけですが。
これに加えて、「タテマエ」があると、より余裕資金は借りやすくなります。
たとえば、「新商品の反応が良く、この先、売上増加が予想される。ゆえに、さらなる運転資金が必要になりそう」みたいな話です。
銀行としては、やっぱり「資金使途(借りたおカネの使いみち)」がはっきりしているほうがいいわけで。「さらなる運転資金(いわゆる増加運転資金)」とのタテマエがあったほうが貸しやすいのです。
ちなみに。タテマエとは言っても、ウソはいけません。あくまで、事実をもとに、タテマエになりそうなものがあれば伝える。そういう話です。
ほかにも、「受注量が増えているので、増員を検討している(採用費や人件費がかかる)」といったこともタテマエになるでしょう。
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まとめ
いますぐには使わないおカネ「余裕資金」を借りられる会社もあれば、借りられない会社もあります。
会社を守るためには、余裕資金を持つのは必要なことです。その「余裕資金」まで銀行から借りられる会社はココが違う! というポイントを押さえておきましょう 。
- 余裕資金を借りれると知っている
- 黒字が出ている
- ムダ使いをしていない
- おカネを持っている
- タテマエがある