銀行からの借入金利を隠している、社長個人の財産を黙っているなど。手の内を明かさずにいる会社もありますが。
銀行融資をうまく受けたいなら、会社はあえて手の内を明かすべき。という話をしていきます。
良かれと思ったことがアダになる。
銀行融資をうまく受けたいですよね。そこで、銀行融資をうまく受けるために、「手の内を明かさない」ようにしている会社があります。
手の内を明かさずに、銀行との駆け引きをすることで、うまく融資を受ける。あるいは、良い融資条件を引き出そう、ということでしょう。
よくある例を挙げると、次のとおりです↓
- 銀行からの借入金利を隠している
- 社長個人の財産を黙っている
- 粉飾決算をしている
ところが、手の内を明かさずにいると。逆に、会社が不利益をこうむることもありますので、注意しなければいけません。
したがって、銀行融資をうまく受けたいのであれば、むしろ会社は「あえて手の内を明かす」べきだと言えます。
そのあたりをくわしく、このあと確認していきましょう。
銀行融資をうまく受けたいなら会社は手の内を明かすべき
《手の内1》銀行からの借入金利を隠している
銀行からの借入金利を隠している会社があります。ある銀行と話をしているときには、ほかの銀行の金利は教えない。そんな会社です。
けれども、金利は隠さずに明らかにすることをおすすめします。なぜなら、金利を隠す理由などないからです。
でも、金利を明らかにしてしまうと、銀行に手の内がわかってしまう。金利は「仕入値」のようなものなのだから秘密にしておいたほうがいいだろう、と思われるかもしれません。
銀行は、ほかの銀行の金利を見て、足並みをそろえるに違いない。自社の借入金利が高い場合には、足元を見られてしまうことになる… そう思われるかもしれません。
たしかに、決算書の内容が悪い会社であれば、そのとおりでしょう。
しかし、決算書の内容が良い会社、あるいは、決算書の内容を良くしようと努力している会社であれば、足元を見られるようなことはないはずです。
決算書の内容が良い会社に対しては、どの銀行も融資をしたいと考えます。 だから、そのような会社は、金利を積極的に開示することで、銀行どうしの競争をあおりましょう。
「あおる」などと言うと、品が悪く聞こえもしますが。商売の世界では「当然のハナシ」です。
とはいえ、「金利を下げろ、下げろ」と言い続ける必要はありません。 ほかの銀行の借入金利を明らかにするのでじゅうぶんです。
決算書の内容が良い会社ほど、銀行は「少々金利を下げてでも貸したい」と考えます。ほかの銀行の金利を見て、見劣りしない金利を考えてくれることでしょう。
いっぽうで、あまり頑なに金利を隠し続けると。銀行からは「なにかあるのか?」と疑われることにもなりかねません。
会社の状況が悪いことを隠そうとしているのではないか? 銀行以外の高利貸しからの借金があるのではないか? といったことを疑われる可能性があります。
そのような事実がなければ、金利を隠す理由はないわけで。会社は、あえて手の内を明かすことも考えていきましょう。
いま決算書の内容が悪いとしても、良くしようと努力しているのであれば、その努力を銀行に伝えることです。たとえば、経営改善計画書を作成して説明するとか。
それであれば、決算書の内容が悪いからと言って、カンタンに足元を見られるようなことはないはずです。
《手の内2》社長個人の財産を黙っている
銀行に対して、社長個人の財産を黙っている、話さないようにしている会社があります。
会社が融資を受けようとしたときに、銀行から「社長個人の財産」について聞かれたことがあるかもしれません。
このとき、「会社の借入なのに、なんで個人のことまで教えなければいけないんだ!」と、怒りだしてしまう社長がいます。
どうせまた、担保にとることを考えているんだろう(怒)そう、カンタンにはこちらの手の内は見せんぞ! といった感じです。
たしかに、それ(担保にとる)もあるかもしれません。けれども、そればかりでもありません。銀行はなんとか融資をしたくて、社長個人の財産を確認している可能性があります。
どういうことかと言うと。会社の財産が不十分である場合(資産より負債が多い、など)、社長個人の財産を合算することでカバーできればOK、との見方が銀行にはあるのです。
決算書だけを見ていると融資はちょっと難しい。でも、社長個人の財産があれば… と考えて、銀行は社長にたずねているかもしれないわけです。
にもかかわらず、「銀行に個人の財産は教えない」ということだと、受けられるはずの融資が受けられなくなることがあります。
したがって、決算書の内容が悪い会社は、銀行に対して、社長個人の財産を積極的に開示する。これも、選択肢のひとつです。
社長個人のこととはいえ、銀行に教えたほうがいいケースもある。そのように理解しておきましょう 。
《手の内3》粉飾決算をしている
粉飾決算をしている、という会社があります。事実とは異なる経理処理をすることで、事実よりも決算書の内容を良く見せようとする会社です。
「粉飾」などと言うと、「ウチの会社はそんなことをしていない!」と言われるかもしれません。
けれども、粉飾決算にも「ていど加減」があって。少しくらいは粉飾をしている、という会社は少なくないものと推測しています(あくまで個人的に推測しています)。
たとえば、減価償却費を法定限度額まで計上していないとか。買掛金や未払金について、計上していたりしていなかったりするものがあるとか。もはや売れそうもない在庫をそのまま計上している、とかとか。
ではなぜ、会社がそんなことをしようとするのか。決算書を良く見せるためです。少なくとも、必要以上に決算書を悪く見せないためです。
会社にとって「事実=手の内」であるとすれば、粉飾決算は手の内を隠す行為だと言えます。
ところが、銀行に対して手の内を隠しきることはできません。粉飾決算を隠しきることはできないものです。
バレていないように見えて、実はバレている。バレてはいるけれど、銀行は「しらんぷりをしているだけ」ということがあります。
粉飾決算によって銀行との信頼関係が崩れるのですから、融資を受けることができなくなったり、仮に受けられたとしても相当に融資条件が悪かったり… になります。良いことがありません。
というわけで、「事実」という手の内は明かすべきもの、と考えておきましょう。
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まとめ
銀行融資をうまく受けるために、「手の内を明かさない」ようにしている会社があります。
ところが、手の内を明かさずにいると。逆に、会社が不利益をこうむることもありますので、注意しなければいけません。
あえて手の内を明かすことを考えておきましょう 。
- 銀行からの借入金利を隠している
- 社長個人の財産を黙っている
- 粉飾決算をしている