融資先について、銀行はわかっていそう・銀行が正しそうに見えて、実はそうでもないケースはあるものです。
そこで。銀行が融資先について「わかっていない・間違っている」こともある事例について、お話をしていきます。
銀行はわかっている・銀行が正しい、わけでもない。
銀行が融資先について、「わかっていない・間違っている」ということもあります。
この点で、「銀行はわかっている・銀行は正しい」と考えていると。会社は、うまく融資を受けることができません。
ですから、もしも銀行が「わかっていない・間違っている」のであれば、 会社のほうから「説明をする・理解を求める」ということも必要です。
では、銀行が「わかっていない・間違っている」のは、具体的ににどのようなことなのか? 実際の事例として3つ挙げてみます。こちらです↓
- 「融資金額」がとんちんかん
- 「商売の把握」がとんちんかん
- 「スピード感」がとんちんかん
これらは、銀行がわかっていそう・銀行が正しそうに見えて、実は「わかっていない・間違っている」という事例になります。
それでは、このあと順番に見ていきましょう。
銀行が融資先について「わかっていない・間違っている」こともある事例
《事例1》「融資金額」がとんちんかん
銀行が融資先について「わかっていない・間違っている」こともある事例の1つめ。それは、「融資金額」がとんちんかん、です。
融資先に対する「融資金額」を決めるのは銀行ですから、「銀行員が口にする融資金額に間違いはないだろう」と思われるかもしれませんが。こんな事例があります。
融資を相談したときには、「〇〇万円くらいはだいじょうぶそうです!」と言っていたのに。最終的には、その半分くらいになってしまった… 意外とあります。
もちろん、最終的な融資金額を決めるのは、目の前にいる担当者ではありませんので(支店長などの決裁が必要)。必ずしも、担当者が口にする金額にならないことは理解できます。
けれども、口にした金額の「半分くらい」にまで大きな差が出てしまうのは、少々問題があると言ってよいでしょう。
また、担当者が会社の「決算書」や「試算表」をまったく見ることもなく、「〇〇万円くらいはだいじょうぶです!」などと口にすることもあります。
でも、結局は、決算書や試算表を見て、その金額は大きく減額になる… これでは、会社もがっかりするばかりでしょう。
会社としては、「このような事例もある」ということを心得ておくことです。
そのうえで、会社自身も「どれくらい借りれるか」の目安を理解しておくことをおすすめします。会社自身が分かっていれば、とんちんかんにがっかりすることも減るはずです。
では、「どれくらい借りれるか」の目安は? と言うと。次のとおりです↓
(税引後利益 + 減価償却費)× 10 − 既存の借入金残高
だいたいこのくらいです。「税引後利益 + 減価償却費」は、「簡易キャッシュフロー」と呼ばれるもので、「返済原資」にあたります。
この返済原資のおおむね 10倍くらいまでが、銀行が融資できる限度だという考え方です。
会社は決算書や試算表を見て、「どれくらい借りれるか」の目安を計算できるようにしておきましょう。
[ad1]《事例2》「商売の把握」がとんちんかん
銀行が融資先について「わかっていない・間違っている」こともある事例の2つめ。それは、「商売の把握」がとんちんかん、です。
銀行が融資の審査をするときには、決算書などの「数字」のほかにも見ているものがいろいろあります。そのひとつが、会社の「商売」です。
「商売」とは、言い換えると「事業の内容」。つまりは、「なにを売っているか」や「だれに売っているか」、「他社類似商品との違い」などについてです。
これらを銀行が把握したうえで、融資先の商売が「良い商売(将来性がある)」ということであれば融資をしやすく、「悪い商売(将来性がない)」ということであれば融資がしにくくなります。
にもかかわらず、銀行が自社の商売を把握していなければ。受けられるはずの融資が受けられなかった… ということはあるでしょう。
ですから、会社は銀行に対して、自社の商売についてきちんと説明しなければいけません。
これを聞いて、「そんなこと、銀行はわかっているだろう」と思うのであれば危険です。実際に、こんな事例がありました。
銀行の担当者に、自社の商売についてたずねたところ。「製造業ですよね」、との回答で終わったことがあります。「製造業」はただの「業種」であって、「商売」ではありません。
担当者に答えて欲しかったのは、「なにを製造しているのか」「材料はどこから仕入れて、製品をどこへどのように売っているのか」「他社類似製品との違いはなんなのか」といったところです。
残念ながら、銀行の担当者はそのあたりのところをまったく把握していませんでした。
とはいえ、会社は銀行ばかりを責められません。自社の商売を銀行に伝えようとしなかった会社にも責任があるからです。
銀行に対して、決算書や試算表は提示しているでしょう。けれどもそこに掲載されている「数字」からでは、商売について把握することはできません。
銀行に商売を把握してもらうためには、会社案内や商品パンフレット・カタログなどを提示したり、あるいは現物を見てもらう・体験してもらうのが有効です。
そういったことを、会社は「お客さま」に対してはやっています。でも、銀行に対してもやっているという会社は少ないものです。
銀行に対しても、お客さまにやっているのと同じようにして、自社の商売を伝えるようにしてみましょう 。
《事例3》「スピード感」がとんちんかん
銀行が融資先について「わかっていない・間違っている」こともある事例の3つめ。それは、「スピード感」がとんちんかん、です。
銀行に融資の依頼をするときに、「いつくらいまでに返事がほしい」ということはあるでしょう。
この点で、「銀行はわかっているはずだ、できるだけ急いでくれるはずだ」とは考えないことです。実際に、こんな事例がありました。
銀行に融資を依頼したところ1ヶ月経っても、2ヶ月経っても音沙汰なし。そんなある日、銀行の担当者が異動になりました。
そこで、あたらしい担当者に「依頼していた融資はどうなっているのか?」とたずねたところ。「そんな話は聞いていない、前担当者からの引き継ぎ事項になかった」との回答が…
あらためて確認してもらったところ、前担当者は融資申込書類一式をしまいこんでおり、新担当者には話が伝わっていない状況でした。
なんともひどい話だと言えばそれまでですが。やはり、そうさせてしまった会社の側にも責任があります。
会社は、融資の依頼をするときには、銀行に対して「スピード感」を伝えることです。
「いつくらいまでに返事がほしい」という伝え方もありますし、「いつぐらいまでに返事がもらえそうですか」という伝え方もあります。
いずれにせよ、スピード感を伝えておけば、銀行もそれに合わせて動くはずです。合わせられないことがあれば、状況を伝えてくれるはずです。
会社が考えているスピード感と、銀行が考えているスピード感がずれてしまうと、融資が間に合わずにおカネが足りなくなってしまう… ということもありえます。
銀行に対してはいろいろ言いづらい、との話を見聞きするところではありますが。だいじなことはきちんと伝えなければ、会社を守ることはできません 。
伝えるべきことを理解して、確実に伝えるようにしましょう。伝えるときには、文書で伝えることも有効です。くわしくはこちらの記事もどうぞ↓
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まとめ
融資先について、銀行はわかっていそう・銀行が正しそうに見えて、実は「わかっていない・間違っている」ということもあります。
本記事で掲載した事例を参考に、銀行が自社のことをわかっているか・自社のことを間違えていないか確認をしてみるとよいでしょう。
- 「融資金額」がとんちんかん
- 「商売の把握」がとんちんかん
- 「スピード感」がとんちんかん