返済期間はどうするか、据置期間はどうするか、返済日はどうするか。このあたりは、実際に質問が多いところです。
というわけで。銀行融資の返済にまつわる豆知識について、お話をしていきます。
質問が多い「返済期間・据置期間・返済日」について。
会社が銀行から融資を受ける場合の「返済」について。意外と知られていないであろう、と思われるのがこちらの話です↓
- 返済期間は返済力で決める
- 据置期間はできれば短く
- 返済日は月初にする
返済期間はどうするか、据置期間はどうするか、返済日はどうするか。このあたりは、実際に質問が多いところでもありますので。
銀行融資の「返済」にまつわる豆知識として、お話をしていきます。それでは、このあと順番に見ていきましょう。
銀行融資の「返済」にまつわる豆知識
《豆知識1》返済期間は返済力で決める
銀行から融資を受けるにあたって、「返済期間はどうしたらいいか?」という話を聞くことがあります。返済期間を何年にしたらいいか、ということですね。
返済期間を最終的に決めるのは銀行ではありますが。借りる側が希望を出すことはもちろんできます(というか、希望を出すべきです)。
では、借りる側である会社は、返済期間をどのように考えたらいいのか。その答えは、「返済力」です。自社の返済力から、返済期間を何年にしたらいいかを考えます。
返済力を算式で表すと次のとおりです↓
返済力 = 税引後利益 + 減価償却費
借りたおカネの返済原資を「税引後利益 + 減価償却費」だと考える、ということになります。
税引後利益が返済原資になるのはいいにしても、どうして減価償却費が返済原資になるのか?と思われるかもしれません。
そこは少々込み入ったハナシになりますので、ひとまず「そういうもんなんだな」と考えておきましょう。
それはそれとして。たとえば、1,000万円の融資を受けるとして。税引前利益が 300万円、減価償却費が 50万円の会社であれば。
税率を30%と仮定すると、税引後利益は 210万円になります(税引前利益 300万円 − 税引前利益 300万円 × 税率 30%)。すると、返済力は次のとおりです↓
税引後利益 210万円 + 減価償却費 50万円 = 返済力 260万円
融資を受けようとしている 1,000万円を、この 260万円で割り算してみると↓
1,000万円 ÷ 260万円 = 3.84…
このことから、1,000万円の融資を受けるのであれば、3年で返済するのでは厳しそうだ。4年であれば返済できそうかな、ということがわかります。
ちなみに。借りたおカネを使わないのであれば、返済力は不要です。いざというときのために、手元のおカネを増やしておく。そのためにおカネを借りるのであれば、返済力は不要。
なぜならば、借りたおカネを使って、返済していけばよいからですね。
したがって、返済期間を返済力で考えるのは、借りたおカネをすぐに使う場合の話であることを覚えておきましょう。
《豆知識2》据置期間はできれば短く
銀行から融資を受ける場合に「据置期間(すえおききかん)はどうするか?」と聞かれることがあります。
据置期間とは、その期間のあいだは「元金の返済」は無し。利息の支払いだけをする、というのが「据置期間」です。
これを聞いて、「だったら据置期間は長ければ長いほうがいい」と考えるのであれば気をつけましょう。据置期間には、デメリットもあるからです。
まず1つめのデメリットとして、「返済負担が重くなる」ことが挙げられます。
たとえば、返済期間5年(60ヶ月)、据置期間6ヶ月、とした場合。はじめの6ヶ月は元金の返済がない分、残りの54ヶ月で元金を返済することになります。
ですから、据置期間がない場合(60ヶ月で元金を返済)に比べると、7ヶ月め以降の返済負担は重くなることに注意しなければいけません。
また、据置期間中は元金が減らない分、支払う利息の負担も大きくなります。
続いて、2つめのデメリットとして「追加融資が受けられない」ことが挙げられます。据置期間中は、その銀行からの融資は受けられない、と考えておきましょう。
なぜなら、 据置期間中は「返済が進まない」からです。銀行は融資先に対して、融資できる金額(上限)を決めています。返済が進まない限り、融資できる金額は増えません。
たとえば、1,000万円の融資を受けた場合。1,000万円が、銀行がその会社に対して融資できる上限額だとすれば、据置期間中はこれ以上の融資はできないということです。
したがって、近い将来に追加融資を受けることも考えているのであれば、できるだけ据置期間は短くして、返済を進めておくのがよいでしょう。
なお、その銀行からは初めて融資を受けるという場合。据置期間中は、その銀行に対して「返済実績ができない」ことになります。言うまでもなく、返済をしていないからです。
返済実績がないと、やはり追加融資を受けることができません。
お付き合いを始める銀行からは、まず少なく借りて、実績をつくりながら徐々に借入額を増やしていくのがセオリーです。
そう考えると、据置期間はできるだけ短くして(あるいは無くして)、早く返済実績をつくるのがよいでしょう。
ただし、創業融資を受ける場合には、据置期間を慎重に決める必要があります。創業時には、売上が伸びるまでに、半年から1年ていどを要するからです。
売上が不十分であれば、資金繰りが厳しく、返済するにも負担が大きくなるでしょう。据置期間を短くすることで、資金繰りが破たんしてしまっては元も子もありません。
ですから、創業融資については、売上見込を考慮して、あるていどの据置期間(少なくとも6ヶ月)をとることをおすすめします。
《豆知識3》返済日は月初にする
銀行から融資を受けるときに、「返済日はどうしますか?」と聞かれたら。「いつでもいいです」などと答えるのはやめましょう。
結論として、「月初」の日にちを返済日にすることをおすすめします。
逆に、月の中旬以降の日にちを返済日にすると。給料や仕入先への支払があったり、お客さんからの入金が遅れることがあったりで、資金不足になりやすいものです。
すると、銀行への返済が厳しくなります。場合によっては、返済できずに遅れてしまう。返済が遅れれば、約束を破った罰として、以降の融資が受けにくくもなってしまいます。
そうは言っても、返済が遅れる可能性はゼロではありません。だから、返済が遅れてしまう場合のことも考えておく必要があります。
この点で、返済日を月初に指定していた場合に。資金繰りが厳しく、銀行への返済の遅れてしまった。けれども、月末までには返済することができれば、ダメージは最小限で済みます。
理由を伝えれば、銀行も待ってくれるでしょう(なんども… というわけにはいきませんが)。
これに対して、返済日を中旬から月末に指定していて、返済が遅れてしまった場合。遅れたままの状態で、すぐに月をまたぐことになります。。
このとき銀行は、信用情報機関に「返済が遅れた」という情報を連絡することがあります。
登録された情報は、ほかの銀行にも共有されることにもなるので、会社としては大きなダメージです。今後の融資にも影響が出てしまいかねません。
同じ「返済が遅れた」であっても、月をまたぐか、またがないかで「温度差」があることを覚えておきましょう。
そのうえで、返済が遅れたときにでも、月をまたぐ可能性が少ない「月初」をへ返済日に指定することです。
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まとめ
返済期間はどうするか、据置期間はどうするか、返済日はどうするか。このあたりは、実際に質問が多いところです。
本記事でお話をした豆知識、ぜひ、覚えておいていただければと思います。
- 返済期間は返済力で決める
- 据置期間はできれば短く
- 返済日は月初にする