銀行融資のリスケ。もちろん、できることならやりたくないことではありますが。融資を受けている以上は、どの会社にも起こりうることです。
そこで。いざ、銀行にリスケを依頼するときに覚えておきたい、「社長の心持ち」についてお話をしていきます。
融資を受けている以上、リスケは起こりうること。
銀行から融資を受けている会社に起きうることとして、「リスケ」が挙げられます。リスケとは、リスケジュールの略であり、「返済条件を変更してもらう」のがリスケです。
資金繰りが悪くなった会社は、従来どおりの返済をすることは難しく、やむをえずリスケをお願いする… もちろん、できることならやりたくないことではありますが。
融資を受けているのであれば、どの会社にも起きうることとして考えておく必要があるでしょう。はじめから「リスケをしよう」と考えて融資を受ける会社などないはずですから。
そこで。いざ、銀行にリスケを依頼するときに覚えておきたい、「社長の心持ち」についてお話をしていきます。こちらです↓
- 話の入口はお詫びから
- 他人・環境のせいにしない
- 気持ちは楽観的に、計画は悲観的に
これらの心持ちができていないと、うまくリスケができない、うまく銀行からの支援が得られない… ということはあるものですから注意が必要です。
それではこのあと、順番に見ていきましょう。
銀行にリスケを依頼するときに覚えておきたい社長の心持ち3つ
《心持ち1》話の入口はお詫びから
銀行にリスケの依頼をするときに覚えておきたい社長の心持ち、1つめは「話の入口はお詫びから」です。
どんな理由があれ、リスケは「約束を破る」ことにほかなりません。毎月〇万円ずつ返済する、という当初の約束を守れないからリスケを依頼するわけです。
約束を破ったら謝る、お詫びをするのはあたりまえですよね。けれども、なかにはなんの「お詫び」もなく、お願いをはじめる社長もいると聞きます。これでは、銀行としてもおもしろくないでしょう。
というわけで、まずは「リスケをお願いするような状況になり申し訳ございません」とのひとことから、話をはじめることをおすすめします。
この点で。リスケの依頼をするのに、銀行を会社に呼びつけるのはやめましょう。リスケの前提が「お詫び」であるならば、呼びつけるというのはなんとも失礼なハナシになってしまいます。
ですから、リスケの依頼をするときには「ご相談があるので、こちらから伺います」とアポイントをとるようにしましょう。そう言われて、「来るな」という銀行はないはずです。
それからもうひとつ。「手ぶら」でリスケを依頼しに行くのはやめましょう。ほんとうになにも持たずに、身ひとつで行く社長もいるようですが。銀行からは「お詫び」の気持ちがないものと見られてしまいます。
持っていくべきものは、「経営改善計画書」です。リスケにいたってしまった経緯・原因にはじまり、リスケを解消するための具体策、リスケを解消するまでの道すじを記載した「経営改善計画書」を作成して持参しましょう。
いくらクチでは「がんばります!」と言ったところで、銀行としてはなにを信じればよいかわかりません。もし、計画を語ったとしてもカタチには残りませんから、銀行は困ってしまいます。
したがって、経営改善計画書も無しにリスケを依頼する会社は、お願いをする者としての誠意に欠けると言ってよいでしょう。
なにより、だいじな経営改善計画書を作成する手間を惜しむような会社が、ほんとうにリスケを解消できるのか? 再起できるのか? 不審に思われるばかりです。
経営改善計画書について、くわしくはこちらの記事もどうぞ↓
《心持ち2》他人・環境のせいにしない
さきほど、経営改善計画書の話をしたときに、「リスケにいたってしまった経緯・原因」ということに触れました。
今後、リスケを解消するためにも、「リスケにいたってしまった経緯・原因」を明らかにしておくのは大切なことです。
この話を銀行にするときに、経緯・原因を「他人・環境のせい」にしてしまう社長がいます。たとえば、得意先が倒産してしまったとか、得意先にダマされたとか。あるいは、不景気のせいだとか、業界が悪いだとか。
言うまでもありませんが、これらは「逃げ口上」として見られます。銀行からは、「他人のせい、環境のせいにして逃げている社長」だと見られてしまいます。
もちろん、他人のせい、環境のせいもゼロではないでしょう。それは、銀行もわかっています。そのうえで、「社長には、会社には問題がなかったのか?」を聞きたいわけです。
得意先が倒産してしまうことに対する備えがなかったのであれば、社長・会社のせいです。ダマされないように注意・対策をしていなかったのであれば、やはり、社長・会社のせいでしょう。
また、どんなに景気が悪くても、どんなに自社の業界が悪くても、好業績を挙げている会社はあるものです。であるならば、景気のせい・業界のせいというのは、おかしなことだとも言えるでしょう。
ですから、リスケにいたってしまった経緯・原因については、あくまで社長自身に、会社自身に目を向けることが重要です。それができなければ、対銀行ということ以前に、会社の再起自体が難しくなってしまします。
言葉にすると「当事者意識」です。なにが起きたとしても、じぶんごととして考える、考えられる。そういう社長・会社に対して、銀行は可能性を感じるし、実際に再起を果たすことができるのではないか?
わたしはそのように考えていますが、いかがでしょうか。
[ad1]《心持ち3》気持ちは楽観的に、計画は悲観的に
銀行対応の鉄則として、「いかなるときも前向き」が挙げられます。よく言われるとおり、銀行は「晴れの日に傘を差し出して、雨の日に傘を取り上げる」ところだからです。
ゆえに、会社が「後ろ向き」な発言・態度であれば、銀行はその身を引くばかり。これは、リスケに関しても同じことです。
リスケという事態にいたってもなお、社長は「前向き」な発言・態度につとめましょう。「いまは厳しいけれど、必ず再起する・再起できる」との発言・態度を崩してはいけません。
この点で。「いますごく厳しい… なので、この先に再起できるかどうかはわからない…」といったことを口にしてしまう、態度に出してしまう社長がいます。
これを銀行が見たらどうでしょう? おカネを貸している側としては、不安になりますよね。「リスケをしても結局潰れてしまうのかな、だったらリスケには応じられない」となりかねません。
だからやっぱり、社長は銀行に対して「前向き」であることが必要です。
これに関連して、社長の発言・態度は「後ろ向き」なのに、計画(経営改善計画書の内容)はミョーに「前向き」な会社があります。たとえば、売上が毎年右肩上がりで推移する、みたいな。
いま現在、売上不振であるほど、そのような計画に対する銀行の不審感は高まります。「ほんとうにできるのかよ?」と疑われてしまいます。計画は手堅く、保守的が望ましい。
これらをふまえて、リスケを依頼するにあたって、社長は「気持ちは楽観的に、計画は悲観的」であるべきです。
社長の発言・態度はあくまで前向きであり、そういう意味では楽観的に。けれども、計画は手堅く保守的に、そういう意味では悲観的にあるべきです。
これが逆になっている社長がいます。つまり、「気持ちは悲観的、計画は楽観的」になってしまっている。意外とありがちですから、じゅうぶんに気をつけましょう。
銀行融資におすすめのメニュー
モロトメジョー税理士事務所では、「銀行融資のサポート」をするメニューをそろえています! 当事務所は経営革新等支援機関の認定を受けています。
銀行融資の記事まとめページ
銀行融資入門セミナー
銀行融資・財務のコンサルティング
銀行融資の個別相談
まとめ
銀行融資のリスケ。もちろん、できることならやりたくないことではありますが。融資を受けている以上は、どの会社にも起こりうることです。
いざ、銀行にリスケを依頼するときに、うまくリスケができない、うまく銀行からの支援が得られない… ということがないように。
銀行にリスケを依頼するときには覚えておきたい「社長の心持ち」について、押さえておくようにしましょう。
- 話の入口はお詫びから
- 他人・環境のせいにしない
- 気持ちは楽観的に、計画は悲観的に