設備投資をするための銀行融資が受けられなかったり。融資を受けられたとしても、あとで大きな問題になったり。そんなことがないように。
設備投資をするときの銀行融資で忘れてはいけない3つのこと、についてお話をしていきます。
設備投資にはピンチが潜んでいる。
設備投資、つまり、会社が事業で使う「不動産」や「機械」「クルマ」「備品類」などを購入する。そんな設備投資をするときの銀行融資で忘れていはいけない、ということについてお話をしていきます。こちらの3つです↓
- 計画書をつくる
- 運転資金で借りない
- 自己資金で買わない
これらを忘れてしまうと、設備投資をするための銀行融資が受けられなかったり。融資を受けられたとしても、あとで大きな問題になったり。はたまた、資金繰りが厳しくなってピンチを迎えてしまったり…
そんなことにならないように。忘れてはいけない3つのことについて、このあと順番に確認していきましょう。
設備投資をするときの銀行融資で忘れてはいけない3つのこと
計画書をつくる
設備投資にはおカネがかかるので、「銀行から融資を受けよう」というのであれば。「設備投資計画書」をつくりましょう。
なぜなら、設備投資のための融資について、銀行はこんなことを考えているからです↓
- 設備投資の必要性があるのか(なぜいま投資するのか)?
- 設備投資の内容は妥当か(たとえば、豪華過ぎる設備、高性能すぎる機械などではないか)?
- 設備投資により増える利益はじゅうぶんか(いくらの利益を見込んでいるか)?
- 利益で返済ができるか、何年で返済できるか?
これら銀行の疑問に対して、会社の回答が足りないと、銀行は融資をしづらくなります。ですから会社は、銀行の疑問を解消できるように、計画書をつくって説明するのが効果的です。
この点で、「口頭で済ませよう」という考え方はおすすめできません。
わざわざ計画書をつくるなんてメンドーだ、という気持ちはわかりますが。それでもつくるからこそ、銀行からは評価されるものです。そもそも、口頭ではうまく伝わらないことだってあるでしょう。
設備投資の融資を銀行に依頼するにあたっては、ぜひ計画書をつくっておくことをおすすめします。
なにより、計画書は「対銀行」以前に、会社自身にとって重要なものです。不動産にしても、機械にしても、じゅうぶんな利益を生み出すことはできるのか?
できなければ、返済負担によって資金繰りの悪化は避けられません。
豪華過ぎる社屋や工場、高性能過ぎる機械、贅沢過ぎる社用車という設備投資も少なくありませんので。計画書をつくる過程で、ほんとうに必要な設備投資なのか? を検証するようにしましょう。
運転資金で借りない
いましがた、「計画書をつくりましょう」という話をしました。設備投資の融資を受けるにあたっては、ほかにも購入する設備の「見積書」や「パンフレット」などの準備が必要になります。
このあたりの手間がイヤなので、「運転資金(仕入代金や経費支払のためのおカネ)」として融資を受ける。というのはやめましょう。
銀行から融資を受けるときには「資金使途(借りたおカネを何に使うのか)」を聞かれます。設備投資であれば、資金使途は「設備資金」であって、「運転資金」ではありません。
にもかかわらず、「ウソ」をつき、そのウソがバレると「資金使途違反」ということになってしまいます。資金使途違反になれば、一括返済を求められる。それを免れても、完済するまでは次の融資を受けることが困難になってしまいます。大きなペナルティです。
運良くペナルティを受けなかったとしても、問題は残ります。
ひとつは、資金繰りの悪化です。運転資金の融資は、設備資金の融資よりも「返済期間」が短くなります。通常、設備投資による資金回収は長い期間がかかるものです。それよりも短い返済期間となれば、返済負担から資金繰りが悪くなってしまいます。
もうひとつの問題は、以降の運転資金の融資が受けにくくなることです。運転資金の融資には、「上限」があります。目安として、「売掛金・受取手形+たな卸資産ー買掛金・支払手形」の金額です。
ところが、設備投資をするのに「運転資金」として融資を受けると、その分だけ、借りられる運転資金の金額は減ってしまいます。すると、ほんとうに運転資金を借りたいときに借りられない… これまた資金繰りの悪化を招きます。
というわけで。設備投資をするにあたって、「運転資金」として融資を受けても、なにも良いことはありません。設備投資をするなら、設備資金として融資を受ける。忘れないようにしましょう。
自己資金で買わない
ここまでの話を受けて、こんなことを思われるかもしれません。設備資金として融資を受けようとすれば、計画書をつくるのがメンドーだ。運転資金として借りるわけにもいかない。
それなら、自己資金で設備投資をしよう。いまあるおカネで買ってしまおう。そんなことを思われるかもしれません。
やめておきましょう。設備投資には相応のおカネがかかります。その会社にとって、けして小さくはない金額のおカネになるのが設備投資です。当然、資金繰りに与える影響も小さくないでしょう。資金繰りは、以前よりも厳しくなります。
もしも、自己資金で設備投資をした結果、「やっぱり資金繰りが厳しい…」となったとしても。そのときにはもう、設備資金として融資を受けることはできません。
設備投資をするためのおカネは、設備投資をするタイミングでしか融資を受けることができない。これを忘れないようにしましょう。
ちなみに。設備投資がうまくいかなかったから、おカネを貸してほしい。こういった理由で融資を受けるのは困難です。設備投資の失敗、あるいはそれによる赤字を「穴埋め」するような融資を銀行はしたがりません。
失敗や赤字という「事実」がある以上、貸したおカネを回収できない可能性は高いと感じるからです。
したがって、設備投資をするのであれば、「潤沢な現金預金」がある場合を除いて、設備資金の融資を受けるようにしましょう。自己資金で設備投資をするのはやめておきましょう。
「潤沢な現金預金」の目安としては、設備投資をしてもなお、「売上高半年分以上の現金預金」があるかどうか。というのが、わたしの考えです。
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まとめ
設備投資をするための銀行融資が受けられなかったり。融資を受けられたとしても、あとで大きな問題になったり。はたまた、資金繰りが厳しくなってピンチを迎えてしまったり… そんなことがないように。
設備投資をするときの銀行融資で忘れてはいけない3つのことを押さえておきましょう。
- 計画書をつくる
- 運転資金で借りない
- 自己資金で買わない