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融資を受けたければ、社長は『銀行の業績』のココを見よ!

融資を受けたければ、社長は『銀行の業績』のココを見よ!

業績が良い銀行は、積極的に融資ができるものです。逆に、業績が悪い銀行は、積極的に融資ができないものです。だから、会社は業績が良い銀行から融資を受けたほうがいい。

そこで。社長は『銀行の業績』のココを見よ、というお話をしていきます。

目次

銀行は会社の業績を見る。ならば、会社も銀行の業績を見る。

銀行から融資を受けたい。じょうずに融資を受けたい。そう考えている社長にお伝えしたいことはいろいろありますが。今回、お伝えするのは、「銀行の業績を見ましょう」ということです。

融資を受けるにあたって、会社の業績を見られることは広く知られています。いっぽうで、会社は「融資を受ける銀行の業績」を見たほうがいいということはあまり知られていないようです。

実際に、銀行の業績を見て融資を考えている社長は、それほど多くないのではないでしょうか。

業績が良い銀行は、取れるリスクが大きいことから、積極的に融資ができるものです。逆に、業績が悪い銀行は取れるリスクが限られている。ゆえに、融資に対して消極的にならざるをえません。

であるならば、業績が良い銀行に融資を依頼するほうがいいですよね。

とはいえ。銀行の業績と言っても、いったいどこを見たらいいのかわからない… どうやって見たらいいのかわからない… ということもあるでしょう。

そこで。銀行の業績について、見るべきポイントをお話していきます。具体的には、こちらの3点です↓

融資を受けたければ、社長は『銀行の業績』のココを見よ!
  • 自己資本比率
  • 当期純利益
  • 預貸率

それではこのあと、順番に見ていきましょう。

融資を受けたければ、社長は『銀行の業績』のココを見よ!

自己資本比率

銀行から融資を受けるにあたって、見ておきたい「銀行の業績」の1つめ。それは、「自己資本比率」です。

ちなみに、銀行の業績を知る方法としては、まず「ディスクロージャー」があります。各銀行がWEBで公開していますし、銀行担当者が会社にもってきてくれることもあるでしょう。

また、市販のビジネス誌ではときどき、「銀行ランキング」の特集が掲載されることがあります。そこから、各銀行の業績を把握するのも、ひとつの方法です。

で、まずは自己資本比率から、という話をしていました。

そもそも、自己資本比率とは「自己資本/総資産」で計算する指標です。その自己資本比率について、銀行には「一定のハードル(自己資本比率規制)」が課せられています。

ハードルを下回ると、その銀行は存続できなくなってしまう。ゆえに、ハードルをクリアすべく、各銀行は自己資本比率を上げようとしているわけですが。どうやったら上げられるのか?

ハナシをわかりやすくするために、銀行における「総資産」は「貸付債権(融資)」に、「自己資本」は「利益」に置き換えてみましょう。置き換えることで少々厳密さは欠きますが、話の本質は変わりません。

まず、自己資本比率(利益/貸付債権)を上げるには、「利益」を上げることだとわかります。ところが、「低金利」や「回収不能による損失」などで利益を上げられないこともあるでしょう。

そうなると、自己資本比率を上げるためには、「貸付債権(融資)」を減らさなければいけません。「貸付債権(融資)」を減らすということは、いわゆる「貸し渋り・貸し剥がし」です。

これが、業績が悪い銀行ほど積極的に融資ができない、との理由になります。ですから会社は、自己資本比率が高い銀行から融資を受けるのがおすすめです。

当期純利益

銀行から融資を受けるにあたって、見ておきたい「銀行の業績」の2つめ。それは、「当期純利益(最終利益)」です。

ひとくちに「銀行」と言っても、各銀行の利益には大きな差があります。メガバンクであれば、利益は1,000億円単位です。地方銀行であれば、10億円〜100億円単位。信用金庫・信用組合であれば、10億円単位あるいはそれ未満。という「イメージ」になります。

では仮に、当期純利益が 100億円のA銀行と、当期純利益が 10億円のB信用金庫があったとして。会社が 5,000万円の融資を受けたいと考えている場合はどうでしょう?

A銀行から見た場合、もし 5,000万円の融資をして回収できなかったとしても、その損失は「5,000万円/100億円(0.5%)」です。いっぽうで、B信用金庫から見た場合には、5,000万円の損失は「5,000万円/10億円(5%)」になります。

したがって、A銀行はB信用金庫に比べれば、積極的に 5,000万円の融資に取り組むことができるでしょう。そう考えると、会社が融資を依頼するのであれば、「利益が大きいA銀行」ということになります。

繰り返しになりますが、各銀行の利益には大きな差があります。たとえば同じ信用組合のなかでも、当期純利益が 100億円近いところもあれば、マイナスのところもある。

これだけの差があれば、融資の姿勢にも差が出るものです。自社の周囲に銀行が複数あって選べる環境なのであれば、それぞれの銀行の当期純利益を比較したうえで、どこの銀行に融資を依頼するかの検討をしましょう。

銀行どうしを比較する前提として、会社は自社の「規模」に合った銀行を選ぶべきです。大きい会社は大きい銀行と、小さい会社は小さい銀行と。くわしくはこちらの記事をどうぞ↓

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預貸率

銀行から融資を受けるにあたって、見ておきたい「銀行の業績」の3つめ。それは、「預貸率(よたいりつ)」です。

預貸率とは、「貸出債権(融資)/預金残高」で計算される指標になります。つまり、銀行が集めた預金を、どれだけ貸し出し(融資)に回しているか? をあらわすのが預貸率です。

たとえば。100の預金を集めて、70の貸し出しをしているのであれば。その銀行の預貸率は70%(=70/100)になります。計算自体は、とくに難しいことはありませんよね。

問題は、計算結果の見方・考え方です。

まず、預貸率が低い銀行は「融資に消極的だ」と見ることができます。預貸率が低くなる理由としては、自己資本比率のところで触れたように業績が悪いということがあるでしょう。また、貸し出し能力(目利き力)が不足していて融資に及び腰、ということもあるでしょう。

いずれにせよ、預貸率が低い銀行から融資を受けようとするのは、得策ではありません。

では、なにをもって「預貸率が低い」と考えるのか?それは、「相対的に考える」といこうことです。つまり、自社が選ぶことができる銀行それぞれの預貸率を比較してみて、そのなかで高い・低いを考える。

実際に借りることができない場所にある銀行(会社は近くの銀行からしか融資を受けられない)の預貸率を見てもしかたありません。実際に借りることができる銀行のなかから選ぶしかないのですから。

それでも、ひとつの目安を示すのであれば。預貸率が 70%くらいはあればベスト。というのが、わたしの考えになります。

じゃあ、高ければ高いほうがいいのか? と言えば、そんなことはありません。

銀行の形態(都市銀行か地方銀行か信用金庫・信用組合か)によっても、預貸率は変わってきます。地方銀行の預貸率は平均で 70%くらいですが、信用金庫・信用組合となると 50%くらいです。形態の異なる銀行どうしを比べるときには注意しましょう。

また、地方にある銀行などでは、周囲に「貸出先企業」が少ないことが理由で預貸率が低下しているケースもあります。この場合、融資をしたくてもできないのですから、預貸率が低いからといってダメだとも言えません。

そういったこともふまえて、自社が選ぶことができる銀行のなかで預貸率を比べてみるのがよいでしょう。

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まとめ

業績が良い銀行は、積極的に融資ができるものです。逆に、業績が悪い銀行は、積極的に融資ができないものです。

ゆえに会社は、業績が良い銀行から融資を受けたほうがいい。社長は、銀行の業績について見るべきポイントを押さえておきましょう。

融資を受けたければ、社長は『銀行の業績』のココを見よ!
  • 自己資本比率
  • 当期純利益
  • 預貸率
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