売上を増やしたければ、預金通帳を見るべき。いやいや見ているし、という場合でも。その「見方」や「考え方」に問題があるかもしれません。
そこで。売上を増やしたければ社長は預金通帳を見るべき3つの理由について、お話をしていきます。
預金通帳、見てる?
売上を増やしたい! そう考えている社長は少なくないものと想像します。
売上よりも利益だ、利益がいちばんだいじなんだ! との意見もあるかもしれませんが。利益の源泉として売上が必要ですから、売上を増やしたいとの思いを完全否定するものもないでしょう。
では、売上を増やすにはどうしたらいいのか?
ずばり、預金通帳を見ることです。いやいや見てるし、という場合でも。その「見方」や「考え方」に問題があるかもしれません。
というわけで。売上を増やしたければ社長は預金通帳を見るべき3つの理由についてお話をしていきます。具体的にはこちらです↓
- 売上を増やすときにはおカネが減るから
- おカネが減らないように融資を考えるべきだから
- 売上を増やすよりもおカネを増やすべきだから
これらを見て、「えっ、そうなの?」と思われるようでしたら、いちど確認をしておきましょう。
それではこのあと、3つの理由を順番に見ていきます。
売上を増やしたければ社長は預金通帳を見るべき3つの理由
【理由1】売上を増やすときにはおカネが減るから
売上を増やすときには、「その手前」で、おカネが減ることを覚えておきましょう。そこを見逃している社長は、けして少なくありません。
たとえば、売上を増やすために、商品を仕入れるとしたら。売上が増える手前で、仕入代金の支払いによりおカネが減ることがあります。
いままでは 200万円の仕入ですんでいたところ、300万円の仕入をするのであれば、いままでよりも余計に 100万円のおカネが必要になる。その分、資金繰りは厳しくなります。
けれども、売上が増えること(利益が増えること)ばかりがアタマにあって、おカネの動き(売上が増える前におカネが減る)が抜け落ちてしまう社長はいるものです。
実際に、「売上は右肩上がりなのに、どういうわけか資金繰りは厳しい…」という社長の嘆きは、しばしば見聞きします。
そういったことがないように。売上を増やそうとするのであれば、まずは預金通帳を確認しましょう。そのうえで、売上を増やすにあたって、その手前で減るおカネに耐えられるかどうかを確認しましょう。
ただし、預金通帳の残高は常に変動しています。一時的に残高が多いときもあれば、少ないときもあるでしょう。そのときどきの残高を見ていたのでは、「ふだんどれくらいの残高があるのか」はよくわかりません。
そこで、「定点観測」です。
具体的にはまず、毎月のなかで、いちばん残高が少なくなるのはどのあたりかを探します。給料を支払ったあとの毎月25日、仕入先に支払いをした毎月末とか。
それがもし、毎月末であれば。預金通帳から「毎月末の残高」を抜き出してみましょう。毎月末という「定点」を並べて確認することで、「ふだんどれくらいの残高があるのか」が見えやすくなるはずです。
その残高から見て、「売上を増やすにあたって、その手前で減るおカネに耐えられるかどうか」を確認することになります。
売上を増やすにあたっては、さきほど例に挙げた仕入のほかにも、設備投資をするとか、人を採用・教育するとか、広告を出すとか、いろいろです。これらの場合にも、やはり、売上が増える手前でおカネが減りますので。
預金通帳を見て、確認をするようにしましょう。
【理由2】おカネが減らないように融資を考えるべきだから
売上を増やすにあたっては、その手前で減るおカネに耐えられるかどうか。預金通帳を見て確認しましょう、というお話をしました。
では、預金通帳を確認した結果、おカネが足りない。足りなくなりそうだ、という場合にはどうしたらいいか?
有効な選択肢として、「銀行融資」が挙げられます。足りないおカネを、銀行から借入することで補うわけです。
さきほど例に挙げた、「売上が増えるにあたって仕入が増える、だからおカネが必要」というケース。そのようなケースでの借入を、「増加運転資金」の借入と呼びます。
売上増加という「前向き」な前提があることから、増加運転資金の融資に対して、銀行の姿勢もまた前向きです。融資のなかでも、比較的借りやすい融資だと言えます。
ですから、社長は預金通帳を見て、増加運転資金の必要性を把握したら、できるだけ早く、銀行に融資の依頼をしましょう。
融資を受けるまでには、書類の準備や審査もあるので時間がかかります。そのあいだにおカネが足りなくなることがないように、できるだけ早く、融資の依頼をすることが重要です。
このあたり、くわしくはこちらの記事もどうぞ↓
融資の依頼はできるだけ早く、そこにはもうひとつの意味があります。
銀行は、預金残高が少ない会社には融資をしたがらない。だから、融資を受けるなら、預金残高が多いときのほうがいい。預金残高が少なくなる前に、できるだけ早く融資を依頼したほうがいい。という意味です。
預金残高が少ないと、潰れてしまう可能性が高い。融資をして、返済してもらえないのは困る。ですから、預金残高が少ない会社ほど、融資は受けにくくなります。
ひとつの目安は、平均月商(年間売上高÷12ヶ月)の1ヶ月分です。預金残高が、平均月商1ヶ月分にも満たないような会社は「自転車操業」と見られるため、融資が受けにくくなる傾向があります。
だからこそ、社長は「定期的」に預金通帳を確認して、融資を受けるタイミングをはかることが大切です。同じ融資を受けるにも、預金残高が多いか少ないかで、受けやすさに差が出ます。
【理由3】売上を増やすよりもおカネを増やすべきだから
言うまでもありませんが、おカネ(預金残高)がなくなると会社は潰れてしまいます。いくら売上があろうと、利益があろうと、おカネがなければ会社は潰れてしまう。
にもかかわらず、「預金目標」というハナシはあまり聞いたことがありません。あまりというか、ほぼ聞いたことがない、といっていいでしょう。
売上目標や利益目標という言葉はよく見聞きすることを考えると、預金目標はあまりにも注目度が低すぎます。繰り返しになりますが、おカネがなければ会社は潰れてしまうのにもかかわらずです。
この点で、自社が目指すべき預金額の目標を設定することをおすすめします。ひとつの目安としては、売上高の半年分。これくらいの預金残高があると、新型コロナのような不測の事態にも、落ち着いて対応できるでしょう。
とはいえ、売上高の半年分の預金なんて準備できない! そう思われるかもしれません。けれども、ここで言う預金は自己資金だけではなく、銀行借入も含めて、です。
自己資金だろうが、借りたおカネであろうが、おカネはおカネ。とにかくまずは、銀行から借入をしてでも、預金残高を増やす。預金目標を目指すようにしてみましょう。
それでも、すぐに「売上高の半年分」というわけにはいかない会社は多いものです。そのときは、預金目標を段階的に引き上げながら、預金残高を少しずつでも増やしていくことを考えましょう。
社長は、預金通帳を見ること。預金目標を決めて、目標との差異を定期的に確認すること。
それが会社を守ることにもつながりますし、売上を増やそうとするときに必要になるおカネで困ることもなくなるはずです。
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まとめ
売上を増やしたければ、預金通帳を見るべき。いやいや見ているし、という場合でも。その「見方」や「考え方」に問題があるかもしれません。
売上を増やしたければ社長は預金通帳を見るべき3つの理由について、確認をしておくようにしましょう。
- 売上を増やすときにはおカネが減るから
- おカネが減らないように融資を考えるべきだから
- 売上を増やすよりもおカネを増やすべきだから