創業当初や小規模事業のあいだは「信用金庫」からの融資がおすすめですが。
いずれやってくる「この信用金庫からだけの融資ではムリだ!」を会社が判断すべきタイミングについて、お話をしていきます。
信用金庫が良い、とは言っても。
会社が融資を受けるのであれば、銀行選びが大切です。この点で、創業当初や小規模事業のあいだは「信用金庫」からの融資がおすすめになります。
銀行にはそれぞれ「役割分担」があり、大きな銀行は大きな会社と、小さな銀行は小さな会社と。中くらいの銀行は中くらいの会社とお付き合いをするものだからです。
したがって、会社は自社に合った銀行を選ぶ。自社が小さいうちは、小さな銀行である「信用金庫」を選ぶべき、ということになります。くわしくはこちらの記事もどうぞ↓
ところがいずれ、信用金庫だけからの融資では厳しい… ムリ… というタイミングはやってきます。それって、いつ? どうやって判断するの?
というわけで。この信用金庫からだけの融資ではムリだ! を会社が判断すべきタイミングについて、お話をしていきます。おもに、次の3つです↓
- 信用保証協会付き融資がいっぱい
- プロパー融資がいっぱい
- 会社が遠方に移転
それではこのあと、順番に見ていきましょう。
この信用金庫からだけの融資ではムリだ!を会社が判断すべきタイミング3選
【タイミング1】信用保証協会付き融資がいっぱい
信用金庫からの融資は、大きく2つに分かれます。ひとつは、信用保証協会付き融資。もうひとつは、プロパー融資です。
信用保証協会付き融資とは、もしも会社が返済できなくなった場合、信用保証協会が返済を肩代わりしてくれる融資を言います。銀行としては安心であり、貸しやすいのが信用保証協会付きです。
いっぽうで、プロパー融資とは。信用保証協会の保証が無い融資、つまり、会社が返済できなくなった場合には、銀行が 100%まるまる損をかぶる融資です。ゆえに、銀行としては貸しにくく、審査が厳しくなります。
そのうえで、信用保証協会付き融資について。信用保証協会付き融資には、「上限」が定められています。
具体的には、担保提供無しの融資であれば 8,000万円、担保有りの融資であれば 2億円。担保がなかったり、あっても提供したくないことが多いでしょうから、8,000万円が上限になるでしょう。
この上限は、あくまで上限であって、会社の状況によって異なります。イメージとしては、会社規模が小さいほど上限は低くなる。年間売上高の 30%〜50%ていど、がひとつの目安です。
では、会社が 8,000万円の上限いっぱいまで、信用金庫から信用保証協会付き融資を受けたらどうなるか?
当然、それ以上の信用保証協会付き融資は受けることができません(ほかにセーフティ保証などの「特別枠」もありますが、ここでは「一般枠」に限ってのお話になります)。
これは、取引する信用金庫を増やしても同じことです。上限の 8,000万円は、一社あたりの上限であって、銀行ごとに 8,000万円ではありませんので気をつけましょう。
したがって、信用金庫から 8,000万円いっぱいまで信用保証協会付き融資を受けた場合には、「ほかの融資・ほかの銀行」をあたることになります。
ひとつは、日本政策金融公庫です。日本政策金融公庫は、公的金融機関であり、中小企業はぜひともお付き合いをすべき銀行だと言えます。
基本、担保無しの融資であれば 2,000万円まで融資を受けることが可能です。ほかにも、いろいろな融資制度が用意されているので、別枠として融資を受けられることもあります。
いずれにせよ、信用保証協会付き融資がいっぱいであれば、信用金庫のほかに「日本政策金融公庫」からの融資も検討しましょう。
【タイミング2】プロパー融資がいっぱい
さきほど、こんなお話をしました。信用金庫から 8,000万円いっぱいまで信用保証協会付き融資を受けた場合には、「ほかの融資・ほかの銀行」をあたる、という話です。
そのひとつとして、日本政策金融公庫を挙げました。それからもうひとつ、「プロパー融資」が挙げられます。
信用保証協会付き融資の上限いっぱいなのであれば、プロパー融資を受けられるようにする。プロパー融資に上限はありませんので、会社は引き続き、その信用金庫から融資を受けることができます。
ところが、です。
上限が無いとは言っても、それは「ルール上」の話であって、「実務上」はそうではありません。実務上は、どこかで上限を迎えます。なぜなら、ひとつの信用金庫にできるプロパー融資は限られているからです。
信用金庫は、小さな銀行(厳密には銀行ではなく、金融機関)であり、大きな銀行ほど利益をあげているわけではありません。
この点で。プロパー融資は、銀行にとってリスクが大きな融資です。前述したとおり、信用保証協会の肩代わりもないので、会社が返済できなくなった場合には、銀行が損をまるまるかぶることになります。
ですから、あまりプロパー融資をしすぎて損が出てしまうと、信用金庫の利益ではまかないきれません。利益が大きく減る、ヘタをすれば赤字になってしまいます。
それを避けるためには、「一社あたりへのプロパー融資の金額を制限する」ということになるでしょう。
結果として、ひとつの信用金庫から受けられるプロパー融資は、多くても 3,000万円〜5,000万円くらいまで(担保無しの場合)が目安になります。
もちろん、それぞれの信用金庫によって差はありますが。だからと言って、億円単位でプロパー融資を受けられるものでもないはずです。
したがって、会社がとるべき対応としては、信用金庫よりも大きな「地方銀行」とのお付き合いをはじめるべき、ということになります。地方銀行であれば、信用金庫よりも取れるリスクが大きく、より大きな額のプロパー融資が期待できるからです。
なお、信用保証協会付き融資は信用金庫で、プロパー融資は地方銀行で、という借り方は現実的ではありません。どの銀行も、リスクが大きい「プロパー融資だけ」はイヤですから、プロパー融資をするにしても、信用保証協会付き融資との組み合わせです。
地方銀行とお付き合いをはじめたいのであれば、信用保証協会付き融資が受けられる余地を残しておく必要があります。信用金庫からの融資だけで、信用保証協会付き融資の上限いっぱいにならないように気をつけましょう。
【タイミング3】会社が遠方に移転
信用金庫は、法律によって営業エリアが限定されています。
つまり、一定範囲内の地域にある会社にしか融資ができません。地方銀行や都市銀行に比べると、営業エリアが極端に狭いのが信用金庫であることを覚えておきましょう。
この点で、注意しなければいけないのが、会社が遠方に「移転」をするケースです。遠方に移転することで、その信用金庫の営業エリアから外れてしまうと、融資を受けることができなくなってしまいます。
本社が移転をしても、支店が営業エリア内に残っていればOKというケースもありますが。会社まるごとすべてが、営業エリアの外に移転となると、その信用金庫から融資を受け続けることはできません。
ですから、移転をする場合には必ず、取引している信用金庫の営業エリアは確認をするようにしましょう。
移転した先で、すぐに別の銀行から融資を受けるのもカンタンではありませんから。場合によっては、移転自体を考え直さなければ行けないケースもありえます。
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まとめ
創業当初や小規模事業のあいだは、「信用金庫」からの融資がおすすめです。ところがいずれ、信用金庫だけからの融資では厳しい… ムリ… というタイミングはやってきます。
というわけで。この信用金庫からだけの融資ではムリだ! を会社が判断すべきタイミングについて、理解をしておきましょう
- 信用保証協会付き融資がいっぱい
- プロパー融資がいっぱい
- 会社が遠方に移転